例のＮＴＲごみ箱連載…

ずっと前、ごみ箱だからやりたい放題やってた話（○●）の続きです。


短いよ。
ライルにＮＴＲれてるよ。

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俺はティエリア・アーデの意外な一面を知ってしまった。


「……離してくれないか？　ティエリアさん、俺起きたいんですけど」

「………嫌だ」



凄く、甘えただ。




「汚い話ですけどトイレです。離してくれないとこの場で漏らします」

「……なら漏らせ」


今週末も兄さんではなく、俺を選んだティエリアは少し遅い日曜日の朝を迎えていた。

勿論互いに全裸。
昨夜何をしていたかはご想像通り。



「だあああああ！　餓鬼じゃねぇんだから馬鹿言ってんじゃねぇ！　ホントにヤバいんだ！　良いか？！　男の膀胱は女のより―――」

その顔は反則なんですよ。
愛人の癖に、浮気相手の癖に。

「戻って来たら二度寝するよ、一緒にな」

「ん……、やはり漏らされてしまっては困る」


腕の力が緩む。
ティエリアは夜更かしが苦手らしい、睡眠はしっかり取らないと駄目なタイプの様だ。
半分まだ眠ってる。









「嘘吐き……！」

「枕投げるな、枕！」

お腹が減った俺が、トースターに食パンをセットしたところで枕が飛んで来た。


「ったく、何ちゅう我が儘だ。そう言う奴は俺は嫌いだ！」

「ふん、嫌いになるなら嫌いになれば良い。君が僕を嫌おうがどうだっていい。一緒にいたくないなら今直ぐ出て行く」

だって、恋人同士ではないんだから。


「お前自分の格好見てから言えよ？　パンには何塗るの？　バター？　ジャム？」

「苺ジャム」

「我が家にはブルーベリーしかありません」

「仕方ない、それで我慢しよう」

「お前なぁ……！」


ハッキリ言って、兄さんの家に出入りしていた時、こんな我が儘ばかりのティエリア見た事がなかった。


俺が過ごしていて分かった事は、要はこうだ。
大好きな兄さんに対しては別れられない様、嫌われない様、一生懸命に自分を殺して兄を優先して来たのだ。

だが俺は別に恋人ではない。浮気相手。

ティエリアは兄と平等になる為。
俺は新しい恋人が出来るまでの代わり。


別に嫌われたって構わないのだ。
もしそうなったって前の関係に戻るだけ。


だから俺には子供さながらの我が儘を言って来て、駄々を捏ねて。
本来のティエリアの姿が見えた。



あんなにも堪えて、尽くしてきた健気な仮面の下には、とんでもない女王様がいた。



「服着ろよ。お前はいっつもだらしがないって言って来た癖に」

「ここは君の家だ、どうだっていいだろう」

「兄さんは駄目で、俺は良いのかよ」

「ニールの前でそんなはしたない事が出来るか。………幻滅されたら困るじゃないか……」




本心は決して見せてくれないが、嫌われない様に全身全霊を尽くされる兄。

本来の姿を全て晒け出してくれるが、決して愛される事のない俺。

どっちが良いのだろう？



俺としては、気を使わず接してくれている方が嬉しい。
でも、決して好きになって貰えないのは虚しいかな。




「約束は守って貰うからな。ご飯食べたら二度寝する」

「良いけどその代わり、もっかいするかもよー？」

「そんな事したらライルと絶交する」

「いいもーんだ。別に俺はお前の恋人じゃないし」



食パンを口に運ぶ手が止まった。

「そうだった」

何故か少し微笑んだように見えた。


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