こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです!
見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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拍手を取り換えたので9月のをうp致します。
内容は9月も今月も【幼妹パロ】の奴です。
嫌いな方は注意。
拍手は番外編みたいな感じで10年後ネタ、やりやすいです。
『あっ、せっちゃん』
玄関から出てたら、直ぐバッタリ会った。
『ティエリア……』
『明日から学校だね』
『……ぅん』
小学校一年生には分からない。
刹那の方が下の階に住んでるのだ、バッタリ会う筈などない。
『せっちゃんは工作、何やったの?』
『………』
無言でも、それがいつも通り。
『算数のドリルの答え合わせしない?
リジェネ、絶対当ってない』
流石に小学校一年生の問題を間違う筈などないのに。
兄には信用がない。
『………』
『ねぇ、せっちゃんってば!』
:
:
『ティエリアちゃん、いらっしゃい』
マリナさんは久し振りにやって来たティエリアにオレンジジュースを出す。
ティエリアは久し振りに刹那の部屋に遊びに来ていた。
いや、来たと言うより連れて来られた。
「ごゆっくり」とマリナさんが出て行った途端、刹那は青いランドセルを引っくり返す。
『……しろい』
ティエリアは、アニメで良く冴えない男の子が夏休み明け前の日に泣き付く話はありふれた話、だと思っていた。
それが目の前にいた。
『……ラジオ体操は全部ハンコある』
ティエリアはひらがなの書き取りドリルをパラパラ捲ると綺麗に白かった。
油性ペンで表紙に名前が書かれたっきり。
どんな暑い日にも欠かさず行ったのだろう、雨の日もある。
根性……と言うより、体育が好きだから通い詰めたんだ。
『せっちゃん、宿題、どうするの?』
『ん……』
『ハンコ全部あるからって、先生許してくれないよ、絶対』
『………』
パラパラ、算数ドリルも綺麗に白い。
『せっちゃん、自由工作は?』
『できてる』
指さされた机の上には青と白い、
『ガンプラ?』
『カッコいいだろ』
……確かに、夏休みはホームセンター等に『工作キット』と銘打った組み立てる木の家や飛行機などが置いてある。
それがプラスチックなだけ。
多分、該当してる。
『よくマリナさんに叱られないな』
『机に座ってれば騙される』
コラコラコラ。
似た様な事を聞いた。
兄・リジェネが言っていた、『机に座ってればマンガ読んで様が勉強してる様に見えるんだよ』。
ブリングには。
『と、言う訳で、ティエリア、』
次に来るであろう台詞は、リジェネのを見て学習していた。
『ひとりでやんなきゃダメーーー!』
バサリ。
「ふぁっ?!」
びくっとして起きた。
机の下を見ると宿題のドリルが落ちていた。
しまった。
夏休みの宿題を最後の見直しをしている内に寝てしまった様だ。
夢を見る程長い時間寝てしまったのか。
それにしても懐かしい、過去の夢。
「あ、クリーニング」
3日後、高校の夏休みが明ける。
「リジェネ、セーラー服取りに行った?」
「暑いからぃやー」
「……動けニート」
「あはは~」
外は日差しがきついだろうから帽子を被らなければ。
クーラーの下で涼む兄は外に出ない為、肌が夏なのに白い。
「さっき、懐かしい夢を見た」
「かぁわいいなぁ、居眠りしちゃったの?」
「……勉強しないで寝ていた奴に言われたくない」
脳裏に焼き付いている。
半ベソを掻くリジェネ。
自分はこうならない様にしよう、幼いながらに強く思った。
「初めての夏休み最後の日だった」
「あー、覚えてる。高校生初めての夏休み。
宿題の量、半端ねぇー…ってね」
「…違うお前じゃない、せっちゃんの方」
「小学校1年生だっけ?」
「そう」
リジェネは自分の宿題で精一杯で、他人の記憶などない。
首を捻る。
「じゃあ行ってくる」
ティエリアは財布と帽子だけ持って玄関を出た。
「あ、せっちゃん」
「ちゃん付けするな」
「ああ、すまない」
夢と同じ、刹那とバッタリ。
場所が少し違った、今回は自転車置き場。
刹那は泥だらけの野球のユニフォームを着ていた。
「暑いのに、君は良く行くな」
先生に『今日は熱中症になる、止めるか?』と言ってもグラウンドで一人素振りをする程のスポーツ大好き少年に成長していた。
本当に暑い日は来ない人も多いだろうに。
無欠席が彼の自慢だ。
「……買い物か?」
「いいや、クリーニング屋に。3日後、学校だろ?」
すると、刹那の眼が見開く。
「そうか、夏休み、もう終わるのか……」
「ああ、おわ……」
待て、刹那は夏休みがもう少しで開ける事を忘れていたのだ。
嫌な予感がした。
刹那の心中を表情から読み取るのは至難の業。
マリナさんは何となく分かる様だ。
分かると言うより、適当に言ってると当たっているのだ。うまが合うのだろう。
「あら、ティエリアちゃんいらっしゃい」
これまたデジャヴか?
夢と同じ様にマリナさんが笑顔で出迎えた。
オレンジジュースがアイスコーヒーに変わった。
でも味の好みはオレンジジュースの方が好きだったりする。
出されたアイスコーヒーも飲む余裕等なく、机の横に投げ出されたままのスクールバッグを引っ繰り返した。
「刹那! 真っ白じゃないか!!」
「……」
「君に黙秘権はない!!」
「……」
「高校生になったら変わると言ったじゃないか、去年!」
小学生の頃はどうにかなった。
所詮問題のレベルは小学生。頑張れば終われた。
中学生の頃は仲間がいたからどうにか越せられた。
同じ類のハレルヤもいたし、アレルヤと言う模範回答がいたし。
しかし、高校はそうはいかない。
中学校までは全国共通・同じ所を習うが高校は違う。
専門的分野が絡んでくるし、習う範囲・教科・レベルも学校により全然違う。
アレルヤと言う当てがいなくなったのだ。
「もうアレルヤは当てにならないぞ!」
「……」
「ワークブックにプリント、僕がやった限りでは1日じゃ終わらないぞ!」
「……」
「学生になって10年目! いい加減に計画的に過ごせないのか?!」
「だから、ティエリア……」
仁王立ちで叱るティエリアを正座で下から見上げる刹那。
実年齢より幼く見えるのは身長プラス、その大きな瞳だ。
その瞳が訴えていた。
「僕は君に解答など見せないぞ! 君の為にならないと10年も言い続けてきたじゃないか!」
「……」
瞬きするだけ、元から期待してなかったのか表情が変わらない。
「ずっと思ってきたが、少しは焦ったらどうだ?」
小学1年生の頃から変わらない。
泣き言は言わない、泣きべそも掻かない。
焦りと言うものを感じた事がない。
焦ろ、と言われても。と言った感じ。
刹那は毎年怒られる。
見せて、と目で訴えて。
君の為にならないと見張られて。
毎年恒例と言わんばかしにマリナが御馳走を作って夏休みが締め括られる。
日常茶飯事過ぎる。
「っぷ、あははっ」
「!」
本日初めての刹那の表情の変化。
仕方ない。だって、怒っていたティエリアが突然笑うのだもの。
「な……何を……?」
「悪い、君は、変わらないなって……」
ヒーヒー言うティエリア。
「あの時からそうだ。君はみんな面倒がる、ラジオ体操のカードは全部ハンコが押ささっている癖に、宿題は全部残す。
全く君は変わらない、小学生のままだ」
毎日部活に行くから肌が真っ黒。
刹那は小学生の頃からそうだった。
誰よりも黒くなって二学期を迎える。
「そうだ、君は小学生のまま、変わらない」
君だけは、小学生の頃から変わらない。
無口な少年を理解し尽くしたティエリアには面白くて仕方ない。
ティエリアは年を取る毎に寂しくて。
たった2つの年の差なのに、男か女かだけなのに、近所の双子ちゃんは自分から離れて行った。
夏休み、あんなに一緒に宿題をしたのに。
夕方まであんなに遊んでたのに。
アレルヤとハレルヤ、近所に居る筈なのに、全く会わない。
「小学生のまま……」
刹那は不機嫌そうな顔だった。
「ちが、そう言う意味じゃ」
悪く捉えた刹那が拗ねた表情を見せた。
その表情も変わらなくて笑ってしまう。
「っぷ」
「また笑った」
たまたま近所で同じ学年だったから知り会った身。
でも、今思えば互いにこの性格だから此処まで長く付き合えたんだ。
友達じゃ足りなく。親友でも少し違う。
家族じゃない。何だろう?
「合うんだろうな、僕達は」
「は?」
本当に小学生の頃から変わらない癖っ毛の黒髪。
長さも切り方も変えない。
少し硬めの髪質をガシガシ。
『撫でる』には分類されない様な荒さ。
「…っ」
鬱陶しい、とふいっとソッポを向く。
「ふふっ」
「何だ、笑って……、気持ち悪い」
高校に上がる時、本当に不安だった。
刹那まで離れて行ってしまうんじゃないかと思って。
街一番の進学校に進もうと思った時、遂に別れかと思った。
だって、刹那のあの勉強のしなささっと言ったら。
そうしたら『近所で一番近いから』とちゃっかり合格した。
それは普通科で、進学科の僕と合格点数の差はあったが。
そうだ。
自分の兄姉は皆、自分とは10離れていた。
だから、遊び相手・喧嘩相手が彼しかいなかったのだ。
刹那も多分同じだろう。
自分は女にしては血の気が多い子供だったから。
「そうか、君は僕の相手か」
友達じゃ足りない。親友じゃない。
「……どうしたんだ、今日のお前」
「別に」
ツーン、とさっきの刹那同様、ソッポを向く。
刹那が白いワークブックに視線を戻す。
パラリ捲ると一緒に出されたプリントが顔を出す。
何も言わずジーっと見つめている。何を思っているんだろう。
『どうしよう』なんて不安を抱いていない事は確かだ。
「よし、仕方ない、難しい問題だけは見せてあげよう」
その時の焦った刹那の顔と言ったら。
「ね、熱でもあるのかっ?!」
それは心外だ。折角、珍しく…いや、初めて見せてやると言ったのに。
「今年は残り1日じゃない、2日あるんだ」
刹那の顔に、ずいっと人差し指を一本立てた手を付き付けた。
「1日だ。1日で全部の宿題を終わらせろ」
見せてくれる条件ならば、と必死にコクコク頷く刹那。
手玉に取った気分。面白い。
「そして、残りの1日、僕と一日中遊べ」
ポケーっと口をあんぐりさせたまま固まった刹那。
これは珍しい。
小さい頃から刹那は無口。
遊びの主導権はいつも自分だった。
さぁて、何をして遊ぶか?
蝉取りか? プールか? 花火も良い。
苦くて本当は嫌いなアイスコーヒーを一気に飲み干し、自分の部屋に宿題を取りに戻った。
-----------------
≪まさかの女王様ティエ降臨≫
≪拍手して下さった方、ありがとうございましたー≫
内容は9月も今月も【幼妹パロ】の奴です。
嫌いな方は注意。
拍手は番外編みたいな感じで10年後ネタ、やりやすいです。
『あっ、せっちゃん』
玄関から出てたら、直ぐバッタリ会った。
『ティエリア……』
『明日から学校だね』
『……ぅん』
小学校一年生には分からない。
刹那の方が下の階に住んでるのだ、バッタリ会う筈などない。
『せっちゃんは工作、何やったの?』
『………』
無言でも、それがいつも通り。
『算数のドリルの答え合わせしない?
リジェネ、絶対当ってない』
流石に小学校一年生の問題を間違う筈などないのに。
兄には信用がない。
『………』
『ねぇ、せっちゃんってば!』
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『ティエリアちゃん、いらっしゃい』
マリナさんは久し振りにやって来たティエリアにオレンジジュースを出す。
ティエリアは久し振りに刹那の部屋に遊びに来ていた。
いや、来たと言うより連れて来られた。
「ごゆっくり」とマリナさんが出て行った途端、刹那は青いランドセルを引っくり返す。
『……しろい』
ティエリアは、アニメで良く冴えない男の子が夏休み明け前の日に泣き付く話はありふれた話、だと思っていた。
それが目の前にいた。
『……ラジオ体操は全部ハンコある』
ティエリアはひらがなの書き取りドリルをパラパラ捲ると綺麗に白かった。
油性ペンで表紙に名前が書かれたっきり。
どんな暑い日にも欠かさず行ったのだろう、雨の日もある。
根性……と言うより、体育が好きだから通い詰めたんだ。
『せっちゃん、宿題、どうするの?』
『ん……』
『ハンコ全部あるからって、先生許してくれないよ、絶対』
『………』
パラパラ、算数ドリルも綺麗に白い。
『せっちゃん、自由工作は?』
『できてる』
指さされた机の上には青と白い、
『ガンプラ?』
『カッコいいだろ』
……確かに、夏休みはホームセンター等に『工作キット』と銘打った組み立てる木の家や飛行機などが置いてある。
それがプラスチックなだけ。
多分、該当してる。
『よくマリナさんに叱られないな』
『机に座ってれば騙される』
コラコラコラ。
似た様な事を聞いた。
兄・リジェネが言っていた、『机に座ってればマンガ読んで様が勉強してる様に見えるんだよ』。
ブリングには。
『と、言う訳で、ティエリア、』
次に来るであろう台詞は、リジェネのを見て学習していた。
『ひとりでやんなきゃダメーーー!』
バサリ。
「ふぁっ?!」
びくっとして起きた。
机の下を見ると宿題のドリルが落ちていた。
しまった。
夏休みの宿題を最後の見直しをしている内に寝てしまった様だ。
夢を見る程長い時間寝てしまったのか。
それにしても懐かしい、過去の夢。
「あ、クリーニング」
3日後、高校の夏休みが明ける。
「リジェネ、セーラー服取りに行った?」
「暑いからぃやー」
「……動けニート」
「あはは~」
外は日差しがきついだろうから帽子を被らなければ。
クーラーの下で涼む兄は外に出ない為、肌が夏なのに白い。
「さっき、懐かしい夢を見た」
「かぁわいいなぁ、居眠りしちゃったの?」
「……勉強しないで寝ていた奴に言われたくない」
脳裏に焼き付いている。
半ベソを掻くリジェネ。
自分はこうならない様にしよう、幼いながらに強く思った。
「初めての夏休み最後の日だった」
「あー、覚えてる。高校生初めての夏休み。
宿題の量、半端ねぇー…ってね」
「…違うお前じゃない、せっちゃんの方」
「小学校1年生だっけ?」
「そう」
リジェネは自分の宿題で精一杯で、他人の記憶などない。
首を捻る。
「じゃあ行ってくる」
ティエリアは財布と帽子だけ持って玄関を出た。
「あ、せっちゃん」
「ちゃん付けするな」
「ああ、すまない」
夢と同じ、刹那とバッタリ。
場所が少し違った、今回は自転車置き場。
刹那は泥だらけの野球のユニフォームを着ていた。
「暑いのに、君は良く行くな」
先生に『今日は熱中症になる、止めるか?』と言ってもグラウンドで一人素振りをする程のスポーツ大好き少年に成長していた。
本当に暑い日は来ない人も多いだろうに。
無欠席が彼の自慢だ。
「……買い物か?」
「いいや、クリーニング屋に。3日後、学校だろ?」
すると、刹那の眼が見開く。
「そうか、夏休み、もう終わるのか……」
「ああ、おわ……」
待て、刹那は夏休みがもう少しで開ける事を忘れていたのだ。
嫌な予感がした。
刹那の心中を表情から読み取るのは至難の業。
マリナさんは何となく分かる様だ。
分かると言うより、適当に言ってると当たっているのだ。うまが合うのだろう。
「あら、ティエリアちゃんいらっしゃい」
これまたデジャヴか?
夢と同じ様にマリナさんが笑顔で出迎えた。
オレンジジュースがアイスコーヒーに変わった。
でも味の好みはオレンジジュースの方が好きだったりする。
出されたアイスコーヒーも飲む余裕等なく、机の横に投げ出されたままのスクールバッグを引っ繰り返した。
「刹那! 真っ白じゃないか!!」
「……」
「君に黙秘権はない!!」
「……」
「高校生になったら変わると言ったじゃないか、去年!」
小学生の頃はどうにかなった。
所詮問題のレベルは小学生。頑張れば終われた。
中学生の頃は仲間がいたからどうにか越せられた。
同じ類のハレルヤもいたし、アレルヤと言う模範回答がいたし。
しかし、高校はそうはいかない。
中学校までは全国共通・同じ所を習うが高校は違う。
専門的分野が絡んでくるし、習う範囲・教科・レベルも学校により全然違う。
アレルヤと言う当てがいなくなったのだ。
「もうアレルヤは当てにならないぞ!」
「……」
「ワークブックにプリント、僕がやった限りでは1日じゃ終わらないぞ!」
「……」
「学生になって10年目! いい加減に計画的に過ごせないのか?!」
「だから、ティエリア……」
仁王立ちで叱るティエリアを正座で下から見上げる刹那。
実年齢より幼く見えるのは身長プラス、その大きな瞳だ。
その瞳が訴えていた。
「僕は君に解答など見せないぞ! 君の為にならないと10年も言い続けてきたじゃないか!」
「……」
瞬きするだけ、元から期待してなかったのか表情が変わらない。
「ずっと思ってきたが、少しは焦ったらどうだ?」
小学1年生の頃から変わらない。
泣き言は言わない、泣きべそも掻かない。
焦りと言うものを感じた事がない。
焦ろ、と言われても。と言った感じ。
刹那は毎年怒られる。
見せて、と目で訴えて。
君の為にならないと見張られて。
毎年恒例と言わんばかしにマリナが御馳走を作って夏休みが締め括られる。
日常茶飯事過ぎる。
「っぷ、あははっ」
「!」
本日初めての刹那の表情の変化。
仕方ない。だって、怒っていたティエリアが突然笑うのだもの。
「な……何を……?」
「悪い、君は、変わらないなって……」
ヒーヒー言うティエリア。
「あの時からそうだ。君はみんな面倒がる、ラジオ体操のカードは全部ハンコが押ささっている癖に、宿題は全部残す。
全く君は変わらない、小学生のままだ」
毎日部活に行くから肌が真っ黒。
刹那は小学生の頃からそうだった。
誰よりも黒くなって二学期を迎える。
「そうだ、君は小学生のまま、変わらない」
君だけは、小学生の頃から変わらない。
無口な少年を理解し尽くしたティエリアには面白くて仕方ない。
ティエリアは年を取る毎に寂しくて。
たった2つの年の差なのに、男か女かだけなのに、近所の双子ちゃんは自分から離れて行った。
夏休み、あんなに一緒に宿題をしたのに。
夕方まであんなに遊んでたのに。
アレルヤとハレルヤ、近所に居る筈なのに、全く会わない。
「小学生のまま……」
刹那は不機嫌そうな顔だった。
「ちが、そう言う意味じゃ」
悪く捉えた刹那が拗ねた表情を見せた。
その表情も変わらなくて笑ってしまう。
「っぷ」
「また笑った」
たまたま近所で同じ学年だったから知り会った身。
でも、今思えば互いにこの性格だから此処まで長く付き合えたんだ。
友達じゃ足りなく。親友でも少し違う。
家族じゃない。何だろう?
「合うんだろうな、僕達は」
「は?」
本当に小学生の頃から変わらない癖っ毛の黒髪。
長さも切り方も変えない。
少し硬めの髪質をガシガシ。
『撫でる』には分類されない様な荒さ。
「…っ」
鬱陶しい、とふいっとソッポを向く。
「ふふっ」
「何だ、笑って……、気持ち悪い」
高校に上がる時、本当に不安だった。
刹那まで離れて行ってしまうんじゃないかと思って。
街一番の進学校に進もうと思った時、遂に別れかと思った。
だって、刹那のあの勉強のしなささっと言ったら。
そうしたら『近所で一番近いから』とちゃっかり合格した。
それは普通科で、進学科の僕と合格点数の差はあったが。
そうだ。
自分の兄姉は皆、自分とは10離れていた。
だから、遊び相手・喧嘩相手が彼しかいなかったのだ。
刹那も多分同じだろう。
自分は女にしては血の気が多い子供だったから。
「そうか、君は僕の相手か」
友達じゃ足りない。親友じゃない。
「……どうしたんだ、今日のお前」
「別に」
ツーン、とさっきの刹那同様、ソッポを向く。
刹那が白いワークブックに視線を戻す。
パラリ捲ると一緒に出されたプリントが顔を出す。
何も言わずジーっと見つめている。何を思っているんだろう。
『どうしよう』なんて不安を抱いていない事は確かだ。
「よし、仕方ない、難しい問題だけは見せてあげよう」
その時の焦った刹那の顔と言ったら。
「ね、熱でもあるのかっ?!」
それは心外だ。折角、珍しく…いや、初めて見せてやると言ったのに。
「今年は残り1日じゃない、2日あるんだ」
刹那の顔に、ずいっと人差し指を一本立てた手を付き付けた。
「1日だ。1日で全部の宿題を終わらせろ」
見せてくれる条件ならば、と必死にコクコク頷く刹那。
手玉に取った気分。面白い。
「そして、残りの1日、僕と一日中遊べ」
ポケーっと口をあんぐりさせたまま固まった刹那。
これは珍しい。
小さい頃から刹那は無口。
遊びの主導権はいつも自分だった。
さぁて、何をして遊ぶか?
蝉取りか? プールか? 花火も良い。
苦くて本当は嫌いなアイスコーヒーを一気に飲み干し、自分の部屋に宿題を取りに戻った。
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HN:
兎羽
HP:
性別:
女性
職業:
実家に帰りたい盛り
趣味:
見ての通り
自己紹介:
只今実家を離れて就職中(東北出身)
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
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