こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです!
見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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2月分の拍手お礼文UPしたのはこれの為(笑
続きです。
遅れたホワイトディネタ。
「聞いてくれよティエリアー!
明日休日出勤だってよ~」
帰って来たばっかりの彼に温め直した夕飯を出しながら愚痴を聞く。
「しっかり稼いで来て下さいよ」
シビアな事言うものだからテーブルに項垂れていた彼の動きがぴたりと止まる。
「今日も12時帰りなのに、ご苦労さまです」
一応労いの言葉を。
確かに休日出勤してまで稼がなくても良い位の給料は貰っている。
「はぁー、かったりーなー」
「ぐだぐだ言わないで下さい。社会人ならそれくらい我慢……」
そこで急にティエリアの言葉が途切れた。
「ん?」
どうしたとロックオンが顔を上げると、何処かを見詰めたまま固まったティエリアがいた。
何処を見ていると思ったら壁に掛かったカレンダー。
「今日は……13日、金曜日……」
「お、ホントだ。13日目の金曜日? 不吉?」
年に数回しかない奇遇。
するといきなりティエリアが走り出して部屋から消えた。
当然驚いた俺は追う。
見付けたティエリアは明かりも点けず、キッチンから微かに届く光を頼りに何かを探している。
チラリ、ティエリアの陰から見えたのは俺がさっきまで持っていた通勤用バッグ。
「何してんだよ!?」
恋人が俺のバッグを引っくり返していた。
盛大に。
俺には今、バッグをコイツに見られちゃ不味い理由があった。
ティエリアが見つけ出したのは俺の黒革の財布。
俺が止める前に開けた。
「札が減ってる……」
それだけ言うと財布を捨て、再び俺の横を駆け抜ける。
「おい、ティエっ…?!」
この散乱したバッグの中身を早く戻したいが、今はまた何処かへ走って行ったティエリアだ。
急いで追う。そして見えたのは玄関でサンダルを履いているティエリア。
だが捕まえる前に外へ出てしまう。
全く行動が読めない。
こんな深夜に何故に外へ出る?!
エレベーターなんて待ってられないティエリアは階段でマンション5階を下る。
ああ、止めてくれ。俺にはもう子供みたいなバカ体力はないんだ。
しかし追わない訳にはいかない俺は大分遅れて追い付いた。
「はーはー、ティエリアー……」
駐車場に入ってくこの子を辛うじて見れた俺は強運者。
俺の車の後部座席のドアからティエリアの足が見えている。
いつの間に俺から車の鍵を……。
あ、そうか。俺の鞄をひっくり返した時か。
「やはりあったか」
何が? と聞く前に、それはそれは不機嫌な顔をしたティエリア車から出て来た。
「あ」
不機嫌ティエリアは、ピンク色の小袋を摘んでいた。
「ホワイトディのお返しですね?」
ピシャリ、当てやがる。
「すっかり忘れてました。3月14日はホワイトディですね」
遡ること1ヶ月前、俺は大変悲惨な目に遭った。
その原因であるのは同じ職場の彼女達。
そんな彼女らにお返しをやらない訳にはいかない。
食べる前に大半がこの恋人によって、人生初のチョコレートシャワーとなって消えたが。
嫉妬は俺の想像を超えた。
ティエリアがいるのにくれると言うチョコを全部貰って来た自分も悪かったと確かに思うが。
「…個数も合ってる」
頭が良すぎて困る。
貰って来たチョコレートの数を覚えてると来たか。
「返さない訳にもいかないだろう……、俺にも会社での付き合いってもんがあるんだから」
そこは一応理解してるつもりでも、悔しいには悔しいのだ、ティエリアは。
その部分は俺だって分かってる。
「全部義理だから……」
「じゃなきゃ困る」
ああ、その顔弱いんだって……。
一見ムスッとしてるように見えるが、これは泣く寸前の顔なんだ。
「本気の女も居ただろうに。義理で返すなんて酷い男だ」
「そう言うなよ…」
全力で本気で恋人がいるんで無理だって言いますから。
「こんな事にお金を使うなんて勿体ない」
それと同じだけのチョコを貰って来たんだ。
全部一緒に溶かしてしまうから実感が無いだけで。
「渡す時一声掛けとくよ。『恋人が拗ねちゃうので来年はナシね』って」
「誰が拗ねてなんか!」
「あはは、かーわいいねぇ」
バシン。
きた。毎度お馴染みバイオレンス。
俺の頭にピンクの小包。
「ダメだろ! それ明日渡すんだぞ?!」
恋人を虐めるのはこの位にしておかないと俺が危ない。
形が崩れなくて良かった。
「中身は何です?」
「キャンディー」
「………」
「お前、それ溶かしてまた俺にぶっ掛けようなんて思うなよ」
「っち」
何て恐ろしい子!
飴が溶ける温度が何度だと思ってるんだ。
今度こそ火傷だ。
「やはり気に食わない」
何がですかお姫様。
「僕に隠れてソコソコするのが気に食わない。バレンタインの時もそうだ。
疾しい気持ちが無いのなら堂々と出せば良いじゃないですか」
それはそうだ。
でも出したら出したで怒りそう。
とことんまで不機嫌に落ちたティエリア。
でも今日の俺はそんな恋人の機嫌を直す打開策がある。
「ティエリア、お前自分の分のお返しないって拗ねてんだろ?」
ぱっと顔を上げたティエリア。
きっと会社の女の子達に渡す分を探すと同時に、自分の分も探してたに違いない。
恋人の勘。
「あ……あんなの、チョコをあげた内に入らない……。
貴方に火傷を負わせるとこをしたし」
でも本日は外れた。
思ったよりセンチメンタルならしくて。
自分はあれが結構嬉しくて。(変態臭いが)
かなり大満足だったんだが。
一枚シーツを駄目にしてしまったが。
「あ…あるんですか? 僕にもお返し…?」
顔を赤くして返事を待つティエリアが可愛かった。
「勿論。お前さんには特別な飴玉を準備してるぜ?」
「……チョコみたいに、口に咥えてとか嫌ですよ…?」
「はぁ?! あれお前からしたんじゃん!」
「違います! あれはスメラギが推奨したのでしたんです!!
って、貴方しようとしてたんですか?!」
味を占めた俺の脳内なんてお見通しなティエリア。
「……寒い、もう帰る」
駐車場が寒いと俺の隣を通り抜ける。
ああ、そっちは階段、また登るのか……。
「部屋の中あったけーー」
機嫌が悪いティエリアは何も返してくれない。
見事にシカト。
今晩は違う人の所に泊めて貰うと言わないだけ良い。
一緒にお風呂は今日は駄目そうだな。
でも大丈夫、コイツにバレンタインのお返しを渡せばコロリと変わる。
「ほーら、良いもんやるよ?」
「……」
顔を顰めた恋人を、この家に一つしかないベッドに寝にやって来た所で捕まえた。
ソファーで寝ると言う選択肢もあったが、基本ソファーで寝るのが嫌いな為どうしてもベッドで寝たいのだ。
やはりシカトして俺に背を向けて横になる。
「ティエリア?」
「飴なんて要らない」
久し振りに口を開いたと思ったら。
「ティエリア鞄引っくり返しただろ? あん時凄いビビったんだからなー?
これ見付かっちゃうかもーって」
しかし、ティエリアは飴なんて見当たらなかったと思い返す。
仮にも自分は恋人だ。あの女共にあげる袋より大きい筈なのに、見逃すなんて有り得ない。
しかし彼は出まかせを言う様な人間ではない。
むくり、ティエリアが上半身を起こす。
「どれだ、見せろ」
口が悪いティエリアは久し振り。
でも興味を示したらこっちの物。
ロックオンは1ヶ月前のあの夕飯時から、ずっとこの計画を練っていた。
ロックオンが後ろを向き、ゴソゴソ動く。
「ひへりあ」
多分、今自分の名前を呼んだんだ。
「飴、咥えてるじゃないですか……」
ロックオンの口にはキラリ、光る球体。
「うへへへへ」
笑って誤魔化すな!!
そう叫びたい。
「貴方は馬鹿の一つ覚えですか…、一回味を占めたら……」
でも、普通の飴と違う。
飴にしては光を良く反射してるし、色も澄んでいる。
透明なんて飴に有り得ない。
「ビー…玉?」
キラキラと光り、向こうにある彼の赤い舌を少し映す。
ロックオンが咥える飴玉は、ガラス玉によく似ていた。
「さぁて、どぉでほー?」
どうでしょう? と言っている。
真偽を確かめたかったら受け取ってみろと言っているんだ。
意地を張ったティエリアはそこで素直に受け取る訳が無い。
受け取らず、目を細めながらロックオンが咥える物を睨む。
無意識に顔が徐々に近付いて行く。
(あ……、飴じゃない)
それよりも、彼は完全な球体且つ、表面がツルツルしてるガラス玉をどうやって咥えているんだろう?
更に顔をより近く、更に真剣になる目付き。
ロックオンは耐えられなかった。
お前より8つ年上と言っても、まだ25だぜ?
「なにす……ふんぅ?!」
「飲み込むなよ?」
無防備な後頭部に手を添えて、無防備に半開きの口にバレンタインのお返しを押し込むなんて簡単な事だった。
顔が熱くなり掛けるが、違和感に直ぐに恥ずかしさを忘れる。
ガチ、と奥歯に固形物が当たった。
「ん……? ゆびわ……?」
舌の上に転がすと、当然甘い味などせず。
ガヂリガヂリ、無味。
でも舌の感覚から伝わって来た形状は、球体の先に何か着いてて、それが輪っかだと分かった時点で指輪と脳が弾き出す。
「っぺ」
吐き出したら見事正解。
「ビー玉……」
「違う、とんぼ玉」
唾液の所為でちょっと普通より光って見える。
ガラス玉の中で綺麗なエメラルドグリーンが螺旋を描いていた。
「確かに…これはとんぼ玉だ」
初めて見たとんぼ玉。ビー玉と同じだと思ったら全然違った。
しかも大きい。飴にしても大きいサイズだ。
「どう? 気に入った?」
ティエリアはハッとする。
嬉しそうにしてしまった。今日は彼に泣きベソを掻かせようと思っていたのに。
驚き、興味深げな様子なティエリアに微笑みかける。
「宝石じゃないんですね」
精一杯の反抗。
「お前さんには早いだろう?
これ位が丁度良いの」
口を尖らせてみても相手はちっとも慌てる様子が無い。
今回は自分の負けだ。
そろそろ意地も限界だ。
「良かった、サイズぴったり」
「此処の位置で、良いんですよね?」
左手の薬指。
自分の指の太さを上回る大きさのとんぼ玉。
「そこ以外何処がある?」
自分の唾液で汚れたとんぼ玉を袖で拭く。
予想以上の反応にロックオンは嬉しくて堪らない。
子供なこの子には、小さいけど高い指輪を渡すよりも、
大きくて、嫌でも目に入るこれが丁度良い。
「飴玉みたいだ」
「そのつもりで買って来たんですけど」
悪い言い方をするとおもちゃの指輪。
直径3センチ、子供ははしゃぐ大きさ。
「これ、学校にして行ったら怒られるでしょうか?
そもそも教師は結婚指輪をしてきて良くて、生徒がアクセサリー禁止なんて不公平ですよね?」
そもそも高校は結婚禁止じゃない?
「お前、持ち物検査で没収されたら悲惨だぞ?」
「その時は、飴玉の中に紛れ込ませます」
冗談めいた事を言い、くすくす笑う。
ダイヤじゃないとか言っておきながら、相当気に入ってるなこりゃ。
リングととんぼ玉の比率の不釣り合いったら。
一応安くはないのを買って来たから、そう簡単にはボロッと取れはしないと思うけど。
「いつか本物あげるからな?」
「……僕はこれで十分です………」
左手を高く上げ、蛍光灯に透かすとその輝きにティエリアは満面の笑み。
久し振りに見た、年相応の顔。
「これで飴ドロドロの刑は無しです」
わお。
しようとしてたんですかバイオレンスなお姫様。
------------------------
≪高校生なティエ嬢、やってて楽しかったです…はい≫
続きです。
遅れたホワイトディネタ。
「聞いてくれよティエリアー!
明日休日出勤だってよ~」
帰って来たばっかりの彼に温め直した夕飯を出しながら愚痴を聞く。
「しっかり稼いで来て下さいよ」
シビアな事言うものだからテーブルに項垂れていた彼の動きがぴたりと止まる。
「今日も12時帰りなのに、ご苦労さまです」
一応労いの言葉を。
確かに休日出勤してまで稼がなくても良い位の給料は貰っている。
「はぁー、かったりーなー」
「ぐだぐだ言わないで下さい。社会人ならそれくらい我慢……」
そこで急にティエリアの言葉が途切れた。
「ん?」
どうしたとロックオンが顔を上げると、何処かを見詰めたまま固まったティエリアがいた。
何処を見ていると思ったら壁に掛かったカレンダー。
「今日は……13日、金曜日……」
「お、ホントだ。13日目の金曜日? 不吉?」
年に数回しかない奇遇。
するといきなりティエリアが走り出して部屋から消えた。
当然驚いた俺は追う。
見付けたティエリアは明かりも点けず、キッチンから微かに届く光を頼りに何かを探している。
チラリ、ティエリアの陰から見えたのは俺がさっきまで持っていた通勤用バッグ。
「何してんだよ!?」
恋人が俺のバッグを引っくり返していた。
盛大に。
俺には今、バッグをコイツに見られちゃ不味い理由があった。
ティエリアが見つけ出したのは俺の黒革の財布。
俺が止める前に開けた。
「札が減ってる……」
それだけ言うと財布を捨て、再び俺の横を駆け抜ける。
「おい、ティエっ…?!」
この散乱したバッグの中身を早く戻したいが、今はまた何処かへ走って行ったティエリアだ。
急いで追う。そして見えたのは玄関でサンダルを履いているティエリア。
だが捕まえる前に外へ出てしまう。
全く行動が読めない。
こんな深夜に何故に外へ出る?!
エレベーターなんて待ってられないティエリアは階段でマンション5階を下る。
ああ、止めてくれ。俺にはもう子供みたいなバカ体力はないんだ。
しかし追わない訳にはいかない俺は大分遅れて追い付いた。
「はーはー、ティエリアー……」
駐車場に入ってくこの子を辛うじて見れた俺は強運者。
俺の車の後部座席のドアからティエリアの足が見えている。
いつの間に俺から車の鍵を……。
あ、そうか。俺の鞄をひっくり返した時か。
「やはりあったか」
何が? と聞く前に、それはそれは不機嫌な顔をしたティエリア車から出て来た。
「あ」
不機嫌ティエリアは、ピンク色の小袋を摘んでいた。
「ホワイトディのお返しですね?」
ピシャリ、当てやがる。
「すっかり忘れてました。3月14日はホワイトディですね」
遡ること1ヶ月前、俺は大変悲惨な目に遭った。
その原因であるのは同じ職場の彼女達。
そんな彼女らにお返しをやらない訳にはいかない。
食べる前に大半がこの恋人によって、人生初のチョコレートシャワーとなって消えたが。
嫉妬は俺の想像を超えた。
ティエリアがいるのにくれると言うチョコを全部貰って来た自分も悪かったと確かに思うが。
「…個数も合ってる」
頭が良すぎて困る。
貰って来たチョコレートの数を覚えてると来たか。
「返さない訳にもいかないだろう……、俺にも会社での付き合いってもんがあるんだから」
そこは一応理解してるつもりでも、悔しいには悔しいのだ、ティエリアは。
その部分は俺だって分かってる。
「全部義理だから……」
「じゃなきゃ困る」
ああ、その顔弱いんだって……。
一見ムスッとしてるように見えるが、これは泣く寸前の顔なんだ。
「本気の女も居ただろうに。義理で返すなんて酷い男だ」
「そう言うなよ…」
全力で本気で恋人がいるんで無理だって言いますから。
「こんな事にお金を使うなんて勿体ない」
それと同じだけのチョコを貰って来たんだ。
全部一緒に溶かしてしまうから実感が無いだけで。
「渡す時一声掛けとくよ。『恋人が拗ねちゃうので来年はナシね』って」
「誰が拗ねてなんか!」
「あはは、かーわいいねぇ」
バシン。
きた。毎度お馴染みバイオレンス。
俺の頭にピンクの小包。
「ダメだろ! それ明日渡すんだぞ?!」
恋人を虐めるのはこの位にしておかないと俺が危ない。
形が崩れなくて良かった。
「中身は何です?」
「キャンディー」
「………」
「お前、それ溶かしてまた俺にぶっ掛けようなんて思うなよ」
「っち」
何て恐ろしい子!
飴が溶ける温度が何度だと思ってるんだ。
今度こそ火傷だ。
「やはり気に食わない」
何がですかお姫様。
「僕に隠れてソコソコするのが気に食わない。バレンタインの時もそうだ。
疾しい気持ちが無いのなら堂々と出せば良いじゃないですか」
それはそうだ。
でも出したら出したで怒りそう。
とことんまで不機嫌に落ちたティエリア。
でも今日の俺はそんな恋人の機嫌を直す打開策がある。
「ティエリア、お前自分の分のお返しないって拗ねてんだろ?」
ぱっと顔を上げたティエリア。
きっと会社の女の子達に渡す分を探すと同時に、自分の分も探してたに違いない。
恋人の勘。
「あ……あんなの、チョコをあげた内に入らない……。
貴方に火傷を負わせるとこをしたし」
でも本日は外れた。
思ったよりセンチメンタルならしくて。
自分はあれが結構嬉しくて。(変態臭いが)
かなり大満足だったんだが。
一枚シーツを駄目にしてしまったが。
「あ…あるんですか? 僕にもお返し…?」
顔を赤くして返事を待つティエリアが可愛かった。
「勿論。お前さんには特別な飴玉を準備してるぜ?」
「……チョコみたいに、口に咥えてとか嫌ですよ…?」
「はぁ?! あれお前からしたんじゃん!」
「違います! あれはスメラギが推奨したのでしたんです!!
って、貴方しようとしてたんですか?!」
味を占めた俺の脳内なんてお見通しなティエリア。
「……寒い、もう帰る」
駐車場が寒いと俺の隣を通り抜ける。
ああ、そっちは階段、また登るのか……。
「部屋の中あったけーー」
機嫌が悪いティエリアは何も返してくれない。
見事にシカト。
今晩は違う人の所に泊めて貰うと言わないだけ良い。
一緒にお風呂は今日は駄目そうだな。
でも大丈夫、コイツにバレンタインのお返しを渡せばコロリと変わる。
「ほーら、良いもんやるよ?」
「……」
顔を顰めた恋人を、この家に一つしかないベッドに寝にやって来た所で捕まえた。
ソファーで寝ると言う選択肢もあったが、基本ソファーで寝るのが嫌いな為どうしてもベッドで寝たいのだ。
やはりシカトして俺に背を向けて横になる。
「ティエリア?」
「飴なんて要らない」
久し振りに口を開いたと思ったら。
「ティエリア鞄引っくり返しただろ? あん時凄いビビったんだからなー?
これ見付かっちゃうかもーって」
しかし、ティエリアは飴なんて見当たらなかったと思い返す。
仮にも自分は恋人だ。あの女共にあげる袋より大きい筈なのに、見逃すなんて有り得ない。
しかし彼は出まかせを言う様な人間ではない。
むくり、ティエリアが上半身を起こす。
「どれだ、見せろ」
口が悪いティエリアは久し振り。
でも興味を示したらこっちの物。
ロックオンは1ヶ月前のあの夕飯時から、ずっとこの計画を練っていた。
ロックオンが後ろを向き、ゴソゴソ動く。
「ひへりあ」
多分、今自分の名前を呼んだんだ。
「飴、咥えてるじゃないですか……」
ロックオンの口にはキラリ、光る球体。
「うへへへへ」
笑って誤魔化すな!!
そう叫びたい。
「貴方は馬鹿の一つ覚えですか…、一回味を占めたら……」
でも、普通の飴と違う。
飴にしては光を良く反射してるし、色も澄んでいる。
透明なんて飴に有り得ない。
「ビー…玉?」
キラキラと光り、向こうにある彼の赤い舌を少し映す。
ロックオンが咥える飴玉は、ガラス玉によく似ていた。
「さぁて、どぉでほー?」
どうでしょう? と言っている。
真偽を確かめたかったら受け取ってみろと言っているんだ。
意地を張ったティエリアはそこで素直に受け取る訳が無い。
受け取らず、目を細めながらロックオンが咥える物を睨む。
無意識に顔が徐々に近付いて行く。
(あ……、飴じゃない)
それよりも、彼は完全な球体且つ、表面がツルツルしてるガラス玉をどうやって咥えているんだろう?
更に顔をより近く、更に真剣になる目付き。
ロックオンは耐えられなかった。
お前より8つ年上と言っても、まだ25だぜ?
「なにす……ふんぅ?!」
「飲み込むなよ?」
無防備な後頭部に手を添えて、無防備に半開きの口にバレンタインのお返しを押し込むなんて簡単な事だった。
顔が熱くなり掛けるが、違和感に直ぐに恥ずかしさを忘れる。
ガチ、と奥歯に固形物が当たった。
「ん……? ゆびわ……?」
舌の上に転がすと、当然甘い味などせず。
ガヂリガヂリ、無味。
でも舌の感覚から伝わって来た形状は、球体の先に何か着いてて、それが輪っかだと分かった時点で指輪と脳が弾き出す。
「っぺ」
吐き出したら見事正解。
「ビー玉……」
「違う、とんぼ玉」
唾液の所為でちょっと普通より光って見える。
ガラス玉の中で綺麗なエメラルドグリーンが螺旋を描いていた。
「確かに…これはとんぼ玉だ」
初めて見たとんぼ玉。ビー玉と同じだと思ったら全然違った。
しかも大きい。飴にしても大きいサイズだ。
「どう? 気に入った?」
ティエリアはハッとする。
嬉しそうにしてしまった。今日は彼に泣きベソを掻かせようと思っていたのに。
驚き、興味深げな様子なティエリアに微笑みかける。
「宝石じゃないんですね」
精一杯の反抗。
「お前さんには早いだろう?
これ位が丁度良いの」
口を尖らせてみても相手はちっとも慌てる様子が無い。
今回は自分の負けだ。
そろそろ意地も限界だ。
「良かった、サイズぴったり」
「此処の位置で、良いんですよね?」
左手の薬指。
自分の指の太さを上回る大きさのとんぼ玉。
「そこ以外何処がある?」
自分の唾液で汚れたとんぼ玉を袖で拭く。
予想以上の反応にロックオンは嬉しくて堪らない。
子供なこの子には、小さいけど高い指輪を渡すよりも、
大きくて、嫌でも目に入るこれが丁度良い。
「飴玉みたいだ」
「そのつもりで買って来たんですけど」
悪い言い方をするとおもちゃの指輪。
直径3センチ、子供ははしゃぐ大きさ。
「これ、学校にして行ったら怒られるでしょうか?
そもそも教師は結婚指輪をしてきて良くて、生徒がアクセサリー禁止なんて不公平ですよね?」
そもそも高校は結婚禁止じゃない?
「お前、持ち物検査で没収されたら悲惨だぞ?」
「その時は、飴玉の中に紛れ込ませます」
冗談めいた事を言い、くすくす笑う。
ダイヤじゃないとか言っておきながら、相当気に入ってるなこりゃ。
リングととんぼ玉の比率の不釣り合いったら。
一応安くはないのを買って来たから、そう簡単にはボロッと取れはしないと思うけど。
「いつか本物あげるからな?」
「……僕はこれで十分です………」
左手を高く上げ、蛍光灯に透かすとその輝きにティエリアは満面の笑み。
久し振りに見た、年相応の顔。
「これで飴ドロドロの刑は無しです」
わお。
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兎羽
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性別:
女性
職業:
実家に帰りたい盛り
趣味:
見ての通り
自己紹介:
只今実家を離れて就職中(東北出身)
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
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