同世代親子６－２（パロ♀）

前回の続き

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（ああ…今でも鮮明に思い出す。あの時の貴方の顔が）


『そっから何が見えるんだ、お嬢ちゃん？』


（街のネオンが、とても綺麗で、）


『流石２０階建てのビルの屋上だ。ごちゃごちゃした街がよく見える』


（折角自由になろうと思ったのに、貴方の所為で出来なくなった）


『さ、お嬢ちゃん、そこはよく見えるとけど危ないから柵の内側で見ろよ』



（それから貴方は悉く来て、僕の自由になるチャンスを潰す）



『お前高校生だよな、え？　俺？　普通のサラリーマンさ』


（そんな事は聞いていない。僕も馬鹿だ。自由になる場所なんていくらでもあるのに）
（多分これは意地だ。いつか貴方をかわして、ここで自由になるんだ）






『よう、お前勉強は？　徹夜とかしねーのか？』

（僕の気も知らないで、毎日毎日、今日新しく出来た傷が疼くんだ、早く僕に自由をくれ）







『雨の時も来るのか』


（僕が家から抜け出せる時間と貴方の仕事時間がピッタリ合うのか、いつだって出くわす）

（自由のチャンスを逃し、落胆する僕を中へ引きずる貴方は、いつからそんなに僕に馴れ馴れしくなったんだ）




『おい、どうしたんだ？　お嬢ちゃん、気分でも悪いのか？』

（そうだ、僕は初めて貴方ともっともらしい会話をしたんだ）
（何で僕にそんなに構うんだと聞いたんだ）


『何でだろうな？』


（その笑った顔を見て、僕は初めて人に縋りたくなった）
（初めて人に僕の過ごした十年間を話せた）

（ただ頷いて、静かに話を聞いて）

（それで、）



「僕は自由より、貴方と過ごす時間が欲しくなった」


（もっと一緒に話していたくなった）



『じゃあさ、俺達一緒に暮らさないか？』


（驚いた。息が止まった。しかし何故だかいつもみたいに否定の言葉が出てこない）
（今思えば、それは、初めて自分に訪れた幸福）



『そういや、お前名前なんて言うんだ？』











「名前も知らなかったのか？！」
「ああ、そうだが？」

流石はアリーと言うか、こいつもこいつで。


要は自殺願望の塊だったティエリアを、サーシェスが通いつめて落したって話。

本来ならドキュメンタリー一本出来る位の話なのに…、実に展開が速く、名前はプロポーズした後、更に出会って１ヶ月程度。



「可笑しいだろ…？」

「アリーは僕の痣を実に優しく撫でてくれた。そう思うと痣が無くなるのが惜しくてな。そう言ったらアリーが痣が無くなっても撫でてくれるって……」

俺はそんな惚気話なんて聞きたくない。サーシェスなら尚更。



「ただいまー」
「あ、おかえりアリー！」


モヤモヤしてた事が晴れたのは良かったが、いい加減な男丸出しの射止め方に俺は凄くイライラしていた。


俺なら、もっとこう、ボロボロのティエリアを……。

（何を考えてるんだ俺！）




やはり、俺はサーシェスは嫌いだが、尊敬するし、羨ましい。



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≪単にティエの過去の設定を書きたかっただけ≫