こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです!
見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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気付いたら止まらなくなっていた。
これで終わりです。
コレの続きもいつかやりたいなー。
明らかに未成年の美少女。(壁掛けにセーラー服掛けて有り)
所謂彼氏のブカT着用。
そんな彼女の肩に手を置き、顔は後10センチでチュー。
そんな状況、どう見たって。
「……?」
首を傾げた第三者。
それはお隣に住む……。
「刹那・F・セイエイ……?」
彼の名前を呼んだのは俺ではなく、目の前の彼女だった。
「え? ティエリア、知り合い…?」
「同じクラスだが……どうして彼が此処に?」
「此処の部屋の、お隣なんだ……」
刹那は隣に住む高校生。
両親は既に亡く、普段は近所に住んでいる親戚の女性の家に食べに行くか、作りに来て貰うかの生活をしている。
そう聞いて、たまに面倒を見てやっていたのだが……。
まさか、こんな場面で仇となるとは。
「どうしてアンタの家にティエリア・アーデが居るんだ?」
そうだ、ティエリアと同じ高校の制服を着ていた時点で顔見知りの可能性がある事に気付くべきだった。
それより、それより、
「何で今なんだよぉおおおおお!!!」
もうちょっとで、ティエリアと、ティエリアと!!
「ちくしょおおおお!!!」
ベランダから大声で叫んだ。
「近所迷惑だぞ、ニール」
お前の方が迷惑だ刹那!!
ティエリアは状況を読み込めていなく、固まったまま座っている。
「てか刹那ぁ…、お前何処から入った? 玄関の鍵閉めてたろ…?」
「ベランダを伝って来た」
「危ないでしょぉぉがぁぁ!!」
「何故泣きそうなんだ?」
箸と皿を持参して来た刹那は、俺の夕飯の残りにでも肖ろうと思ったのだろう。
「マリナさんはどうした?!」
「友達と旅行に行くと言って今朝立った」
マリナさんも何てタイミングで旅行に行ってんだ。
「あの…? ニール?」
オロオロしたティエリアが俺を見上げて来る。
「そうだ、ニール。どうしてティエリアが此処にいるんだ?」
そうだ、どう考えたって俺とティエリアは高校が一緒だった位で接点なんて全くない。
素直に付き合ってます。と答えても俺は完全に変態扱い。
一生ロリコンと言われ続ける気がする。
ティエリアにとっても都合悪いだろう。
絵に描いた様な優等生のティエリアが、24の男と付き合っているなんて。しかもお泊りなんて。
此処は、実は親戚だとか、無難な嘘を……。
「恋人関係にあるからに決まってるだろう」
驚いた。
サラッと。
フツーに。
「成程」
それしか言わないお前もお前だけど。
「え?! そこはもっとつっこむ所あるだろう?! ティエリアこんな恰好で、さっきまでどう見てもキスしようとしてただろう?!!」
「恋人関係なのだろう? それは良いがご飯くれ」
ああ……、そうだった。お前はそう言う性格だったな刹那。
「ご飯やったら帰るか…?」
「帰る!」
即答か。
「そうだ、ティエリアっ!」
「はい?」
その格好、やばくないか?!
生足丸見え。
「お前、ブカブカでも良いから俺のスウェットの下履いて来い!」
「何故です?」
「……どうしても」
お前、兄弟の目がなきゃ、何やっても良いと思ってんじゃないだろうな?
今夜はお説教だな。
:
:
もうやだ。
そう思いながら残り物の冷ご飯と余った野菜で炒飯を作る。
急げ俺。
初日で何も無かったらこれから先も何もない流れになるぞ。
「着て来ました……」
不服そうな顔。
手で掴んでないと落ちてしまうほど大きいズボンを履いて来た。
「はい、良い子良い子」
炒飯を炒めながら思う。
待ってろよ、刹那が帰ったらそのスウェット脱がしてやるからな………あれ? 何か変だ。
「ところでニール、ティエリア。アンタ等が恋人関係にある事は世間ではあまり良い事ではないんじゃないか?」
「………」
あー、刹那さんって一応一般常識はお持ちなんですねー凄いー。
「せ…せっちゃん…? その事、まさか……?」
「刹那・F・セイエイ!!」
ドス。
ティエリアの低い怒声の直ぐ後、聞こえて来た。
何の音だろうと振り返れば床に刹那を押し倒すティエリア。
跨り、刹那の顔の横にはさっきまでそこに置いてあった包丁が床に刺さっている。
「床!!!」
ここ、アパートです。
「もしこの事を他者に広言したら、貴様の口にこの包丁を突き刺す」
サーっと血が引いていく。
「どうしてだ?」
「兄さん達の情報網は馬鹿に出来ない。どこから情報が行くか分からないからな」
「知られたら困るのか?」
「……嫌だ」
最後の一言は、か細く、震えていた。
「……分かった」
安心したのか、自然と綻ぶティエリア。
因みに、ティエリアの笑顔は凄く貴重。
床から包丁を引き抜くと、元あった場所へ平然と返すティエリア。
「………」
どう考えても叱らなきゃいけない状況。人に刃物を向けるなんて。
しかし、あまりにもの衝撃で暫く何も言えなかった。
それも、俺との関係の為と来たら。
「……っ、」
パン。
それは頬を叩く音。
「駄目だろう、ティエリア! どんな状況だろうと人に刃物を向けるなんて!」
「ニール……」
「次にそう言う事したら、嫌いになるからな」
「…! ごめ、なさ……」
もぐもぐ、刹那から鋭い突っ込みが来た。
「ニール、口元が笑ってるぞ」
「ティエリア、良いか? 此処は俺ん家じゃないの。大家さんから部屋を借りてるアパートって奴なの?」
「…はい」
「だからな、壁に穴開けたりな、……床に包丁刺したりしたら駄目なんだ」
「…わ、分かった」
刹那を部屋に帰し、漸く少し落ち着いたところ。
「それにしてもビックリした~」
もう、今夜はさっきの様な甘い雰囲気には戻らないだろう。
「人を殺す瞬間を見てしまうって思ったぜ」
「殺しませんよ。それに彼は剣道部なので刃物に慣れてます」
「剣道は竹刀だからな?」
そして気付いた。
さっきより声がワントーン落ちてる。
(叱られてしょ気てんな……)
シュウン、と言う効果音が良く合う。大人しく床で体育座り。
「今日は…もう寝ます……」
「ああ。……ああ?!」
今日夜更かしすんじゃなかったのかよ?!
その時のティエリアの表情。
今にも『やっぱり実家に帰ります』と言い出しそう。
いつかは帰らなきゃいけないが、もうちょっと居ませんか?!
「な、なあ、気を取り直して一緒にゲームやらないか?」
「いいえ、結構です」
「じゃあ、借りて来たDVD一緒に観ようぜ!」
「…貴方一人で観て下さい……歯磨きして来ます」
「……」
どうしよう、次の日の朝、起きたらティエリアがいなくなっていそうな……。
「はー……、てか寝る前に絶対歯磨きとか、マジ優等生じゃん」
俺とか、凄く眠い日は朝やるからいいかなんて寝るのに。
……歯磨き?!!
重大な事を思い出した。
「ティエリア!!」
「はひ?」
洗面台に向かうティエリア。
振り返ると、やっぱり見覚えのある歯ブラシ。
「コンビニ……行って来いって、言っただろう……」
「こんひに?」
てか、歯ブラシ共有とか、引かれるレベルだろう。
キスは16歳になるまでしないって言っておいて、これって軽くディープ間接キスだろ。
何だよ、俺と全然ゲームも、DVDも観たくないって言っておいて。無自覚でも、これは……。
頭の中にある一本の糸が焼け切れそうだ。
「お前ん家は歯ブラシ一本しかないのか?」
「ほんなわへ……」
「俺が、どんだけ我慢して、踏ん張って……。
俺、何歳か知ってる? 24だぜ? お前からしたら大人かも知れないけどさ。
なってみれば分かるよ、24でもな、全然子供なんだよ」
「んぐっ?!」
掴んだ肩は、女である事プラス、まだ成長途中なんだと感じる程薄かった。
力任せに床にねじ伏せる。
ティエリアに跨り、上からティエリアを見降ろした。
「…っ?! ゴホッ、ゴホッ」
俺に抗議しようとして開いた喉が詰まり、むせ返るティエリア。
口から落ちかけた自分の歯ブラシが目に付いた。
それを奪い返し、躊躇なく口に含んだ。元々から俺のだし。
「……ゴホッ…ケホ……」
「無知は罪……って誰の言葉だっけ?」
「げほっ…、知は空虚なり…?」
「はっ、流石優等生ちゃん」
ティエリアの口の端から唾液が垂れる。
歯磨き粉を含んだ白い唾液が床に小さな水溜りを作った。
「そ、お前さんは天才だけど無知だ」
「……けほ……」
ティエリアは自分に何が起きたか理解していないのか、俺の顔を見詰めたまま。
「……寝るなんて言うなよ、俺ともっと遊ぼうぜ?」
やっと軌道を確保したティエリアは苦しげに「はーはー」と肩で息をする。
「ロックオン…?」
「ニールだ。さっきも言ったよな?」
親指で口の端を拭ってやる。
「良いとこで刹那来るし、お前寝るって言うし、お前15だし」
俺、男なんだぜ?
「……にー…る」
か細い声の後、目尻に溜まった涙が、遂に零れた。
その水が、俺の焼き切れそうな思考回路を消火する。
「あー、ごめん! 今のなし! ……無理か…な?」
泣かせるとか最悪だな。
こんな事をしてしまうなんて……、人として最低だ。
こんな俺を好きになってくれたティエリアに申し訳なくなってきた。
「少し頭冷やして来る。ベッドは自由に使ってくれ。俺はソファーで寝るから。……じゃ」
不甲斐なくて死にそうだ。
早くこの場から立ち去りたくて、急いで立ち上がり振り返ると、
「………」
「………」
なんのデジャヴだ?
褐色色の瞳が、俺を見ていた。
「せっちゃん……どっから入った…?」
「ベランダ」
また危ない事を。
それよりも、だ。
これもデジャヴ。さっきティエリアが握り締めていた物を、今刹那が握り締めていた。
「ぎゃああああ!! せっちゃんそれ置いて来なさい!!!」
カラン、と床に落ちる歯ブラシ。
キラリ、銀色に光る、包丁。
「夜食を食べに来たら、あんたの姿が見えてな。そうだ今使うしかないと思って」
ハッとする。
未だ床に倒れて動けないティエリア。
「ほ、包丁を離しなさい…!」
「だが……」
とティエリアに視線を送る刹那。
確かに、どう見たって俺が襲おうとしてた。
跨って、多分、凄い恐ろしい顔で。
「いや、これは…! ………、……俺が、悪かったけど」
「………」
「うわっ?! 危ない危ない危ない!!」
深夜。凄く近所迷惑です。
:
:
どうにか刹那から包丁を取り上げた。
そして、俺は床に正座。
目の前には腕組みした刹那が見下ろしていた。
「すいません、その、イチャイチャしたかったのに、そんな雰囲気にならなくて……思わず」
ティエリアは隣の部屋から俺を覗いていた。
強制的に刹那が離れさせたのだ。
「だから殴り掛かろうとしていたのか?」
「や……殴るって言うより……」
襲おうと……。
「でも! 寸前で抑えたろ、俺!」
「だから刺さなかっただろう」
あのままやっていたら俺は殺されていたと言う事か。
「恋愛関係にあるのではなかったのか?」
「そうだけど……、それ故と言いますか……」
「?」
おっと、此処はまだ15歳と言った感じか。
分かられても恥ずかしいが。
怒った俺がティエリアに殴り掛かろうとしていると捉えた様だ。
子供の思考回路で助かった。
「はっきり言って、アンタとティエリア・アーデが一緒の部屋にいると言う事を許せないな」
何て男らしいのだ、彼は。
「刹那、お前男らしいなー」
「煽てても許さないぞ」
分かってるよ。
「たまたま爆発しかけただけでさ、普段は凄い健全なお付き合いしてんだぜ?!
キスは16までしないって決めてるし、だから他も全然手、出してないし!
……結婚前提、だし」
言ってて恥ずかしくなって来た。
我ながら、どんどん声が小さくなって行く。
そう、あの時ティエリアに約束をした。
キスは16歳までしない。
因みに、営みの方も高校卒業までしない。
結婚は、今年の12月9日しよう。
「本気だ」
これはティエリアに誓ったのではなく、俺自身に誓ったのだ。
ティエリアと、子供と恋をする覚悟。
「………成程」
成程って何だ。
「カップラーメンが食べたい」
「いつも通り、冷蔵庫の横の棚に」
「了解した」
急に、いつも通りの何事も無関心なクールな少年に戻った。
つまり、許して貰えたと言う事か?
「では、貰って行くぞ」
本当に許して貰えた様で、カップラーメンを一つ手に取ると、ベランダから出て行った。
「はぁ~」
体の力が一気に抜ける。ソファーに雪崩れ込んだ。
「凄い、疲れた……」
今何時だろう? 日は跨いだな。
とりあえず、包丁の仕舞う場所を変えておかないとなー。
眠いのか、頭が上手く働かず焦点が合わない。
目蓋が重い。
つんつん、と頬を突かれて閉じかけた瞳を再び開いた。
「ああ……ティエリア」
赤い瞳が見えた。
「!!」
とても顔を合わせ辛かった。
怖い。何を言われるか怖かった。
この恐怖は、小さい頃いたずらをして物を壊してしまい、母親に怒られないかとビクビクしていたあの時の心境と似ている。
「ロック……ニール?」
眉は八の字。
恐る恐る、と言った感じ。目は潤んでいた。
ああ……この心境は、怒られるだろうけど嫌われないだろうと言う確信がある時のものに似ていたのか。
「嫌いになった?」
「貴方こそ、私を嫌いにならないのですか?」
「なるか馬鹿」
馬鹿って言わないで下さい。頭に手を置いても抵抗はなかった。
「私はまだ悔しいけど子供だ。貴方とは平等に釣り合えない」
何と、あのティエリア様がそんな事思っていたなんて。
「俺こそ、まだ15で、もっと同世代の人とも出会いがあるかもしれないのに、俺に捧げて貰っちゃって」
「捧げているのは貴方でしょう?」
…!
言われて、初めて気付いた。
自分はずっと恋人には尽くして欲しい、そっちの分類だと思っていたら、実は俺の方が尽くしていたのか。
キスしたい衝動を抑えて、手を出したい衝動も抑えて。
ティエリアが泊まりに来ても良い様に、新しい料理を覚えて。
今日だって、暫くいるのだったら友達との飲み会を控えて、早く帰ろうと思って。
「お前だって、捧げてくれるんだろ?」
「ええ、勿論です」
ティエリアが俺の顔に掛かる前髪を除ける。
何をするかと思えば、
「んぶっ!?」
ティエリアの長い睫毛が少しだけ俺の顔を掠った。
「はい、捧げました」
キス、した。
ティエリアから。少女がするフレンチキス。
「貴方は16までしないって決めていた様ですけど、私は決めてませんから。
その所為で、貴方を悲しませたくない」
本当に、お前さんは…!
あんな事した俺を、こんなにも愛してくれるなんて!
「次、俺が捧げる番な?」
「は、はいっ、どうぞ…!」
ああっ…!
何だかんだでキス出来るんじゃないか…!
「明日、ケーキ買ってくるから、今日の事は許してな…?」
「ふん、安く見られたものだな」
「口がにやけてるぞ?」
その、笑う唇に……。
「ニール、度々すまないがラーメンのお湯を分けて……――」
ぼとり、と床にカップ麺が落ちる音がベランダからした。
-------------------------
≪ラブラブ過ぎて困るわ。夢見過ぎた≫
これで終わりです。
コレの続きもいつかやりたいなー。
明らかに未成年の美少女。(壁掛けにセーラー服掛けて有り)
所謂彼氏のブカT着用。
そんな彼女の肩に手を置き、顔は後10センチでチュー。
そんな状況、どう見たって。
「……?」
首を傾げた第三者。
それはお隣に住む……。
「刹那・F・セイエイ……?」
彼の名前を呼んだのは俺ではなく、目の前の彼女だった。
「え? ティエリア、知り合い…?」
「同じクラスだが……どうして彼が此処に?」
「此処の部屋の、お隣なんだ……」
刹那は隣に住む高校生。
両親は既に亡く、普段は近所に住んでいる親戚の女性の家に食べに行くか、作りに来て貰うかの生活をしている。
そう聞いて、たまに面倒を見てやっていたのだが……。
まさか、こんな場面で仇となるとは。
「どうしてアンタの家にティエリア・アーデが居るんだ?」
そうだ、ティエリアと同じ高校の制服を着ていた時点で顔見知りの可能性がある事に気付くべきだった。
それより、それより、
「何で今なんだよぉおおおおお!!!」
もうちょっとで、ティエリアと、ティエリアと!!
「ちくしょおおおお!!!」
ベランダから大声で叫んだ。
「近所迷惑だぞ、ニール」
お前の方が迷惑だ刹那!!
ティエリアは状況を読み込めていなく、固まったまま座っている。
「てか刹那ぁ…、お前何処から入った? 玄関の鍵閉めてたろ…?」
「ベランダを伝って来た」
「危ないでしょぉぉがぁぁ!!」
「何故泣きそうなんだ?」
箸と皿を持参して来た刹那は、俺の夕飯の残りにでも肖ろうと思ったのだろう。
「マリナさんはどうした?!」
「友達と旅行に行くと言って今朝立った」
マリナさんも何てタイミングで旅行に行ってんだ。
「あの…? ニール?」
オロオロしたティエリアが俺を見上げて来る。
「そうだ、ニール。どうしてティエリアが此処にいるんだ?」
そうだ、どう考えたって俺とティエリアは高校が一緒だった位で接点なんて全くない。
素直に付き合ってます。と答えても俺は完全に変態扱い。
一生ロリコンと言われ続ける気がする。
ティエリアにとっても都合悪いだろう。
絵に描いた様な優等生のティエリアが、24の男と付き合っているなんて。しかもお泊りなんて。
此処は、実は親戚だとか、無難な嘘を……。
「恋人関係にあるからに決まってるだろう」
驚いた。
サラッと。
フツーに。
「成程」
それしか言わないお前もお前だけど。
「え?! そこはもっとつっこむ所あるだろう?! ティエリアこんな恰好で、さっきまでどう見てもキスしようとしてただろう?!!」
「恋人関係なのだろう? それは良いがご飯くれ」
ああ……、そうだった。お前はそう言う性格だったな刹那。
「ご飯やったら帰るか…?」
「帰る!」
即答か。
「そうだ、ティエリアっ!」
「はい?」
その格好、やばくないか?!
生足丸見え。
「お前、ブカブカでも良いから俺のスウェットの下履いて来い!」
「何故です?」
「……どうしても」
お前、兄弟の目がなきゃ、何やっても良いと思ってんじゃないだろうな?
今夜はお説教だな。
:
:
もうやだ。
そう思いながら残り物の冷ご飯と余った野菜で炒飯を作る。
急げ俺。
初日で何も無かったらこれから先も何もない流れになるぞ。
「着て来ました……」
不服そうな顔。
手で掴んでないと落ちてしまうほど大きいズボンを履いて来た。
「はい、良い子良い子」
炒飯を炒めながら思う。
待ってろよ、刹那が帰ったらそのスウェット脱がしてやるからな………あれ? 何か変だ。
「ところでニール、ティエリア。アンタ等が恋人関係にある事は世間ではあまり良い事ではないんじゃないか?」
「………」
あー、刹那さんって一応一般常識はお持ちなんですねー凄いー。
「せ…せっちゃん…? その事、まさか……?」
「刹那・F・セイエイ!!」
ドス。
ティエリアの低い怒声の直ぐ後、聞こえて来た。
何の音だろうと振り返れば床に刹那を押し倒すティエリア。
跨り、刹那の顔の横にはさっきまでそこに置いてあった包丁が床に刺さっている。
「床!!!」
ここ、アパートです。
「もしこの事を他者に広言したら、貴様の口にこの包丁を突き刺す」
サーっと血が引いていく。
「どうしてだ?」
「兄さん達の情報網は馬鹿に出来ない。どこから情報が行くか分からないからな」
「知られたら困るのか?」
「……嫌だ」
最後の一言は、か細く、震えていた。
「……分かった」
安心したのか、自然と綻ぶティエリア。
因みに、ティエリアの笑顔は凄く貴重。
床から包丁を引き抜くと、元あった場所へ平然と返すティエリア。
「………」
どう考えても叱らなきゃいけない状況。人に刃物を向けるなんて。
しかし、あまりにもの衝撃で暫く何も言えなかった。
それも、俺との関係の為と来たら。
「……っ、」
パン。
それは頬を叩く音。
「駄目だろう、ティエリア! どんな状況だろうと人に刃物を向けるなんて!」
「ニール……」
「次にそう言う事したら、嫌いになるからな」
「…! ごめ、なさ……」
もぐもぐ、刹那から鋭い突っ込みが来た。
「ニール、口元が笑ってるぞ」
「ティエリア、良いか? 此処は俺ん家じゃないの。大家さんから部屋を借りてるアパートって奴なの?」
「…はい」
「だからな、壁に穴開けたりな、……床に包丁刺したりしたら駄目なんだ」
「…わ、分かった」
刹那を部屋に帰し、漸く少し落ち着いたところ。
「それにしてもビックリした~」
もう、今夜はさっきの様な甘い雰囲気には戻らないだろう。
「人を殺す瞬間を見てしまうって思ったぜ」
「殺しませんよ。それに彼は剣道部なので刃物に慣れてます」
「剣道は竹刀だからな?」
そして気付いた。
さっきより声がワントーン落ちてる。
(叱られてしょ気てんな……)
シュウン、と言う効果音が良く合う。大人しく床で体育座り。
「今日は…もう寝ます……」
「ああ。……ああ?!」
今日夜更かしすんじゃなかったのかよ?!
その時のティエリアの表情。
今にも『やっぱり実家に帰ります』と言い出しそう。
いつかは帰らなきゃいけないが、もうちょっと居ませんか?!
「な、なあ、気を取り直して一緒にゲームやらないか?」
「いいえ、結構です」
「じゃあ、借りて来たDVD一緒に観ようぜ!」
「…貴方一人で観て下さい……歯磨きして来ます」
「……」
どうしよう、次の日の朝、起きたらティエリアがいなくなっていそうな……。
「はー……、てか寝る前に絶対歯磨きとか、マジ優等生じゃん」
俺とか、凄く眠い日は朝やるからいいかなんて寝るのに。
……歯磨き?!!
重大な事を思い出した。
「ティエリア!!」
「はひ?」
洗面台に向かうティエリア。
振り返ると、やっぱり見覚えのある歯ブラシ。
「コンビニ……行って来いって、言っただろう……」
「こんひに?」
てか、歯ブラシ共有とか、引かれるレベルだろう。
キスは16歳になるまでしないって言っておいて、これって軽くディープ間接キスだろ。
何だよ、俺と全然ゲームも、DVDも観たくないって言っておいて。無自覚でも、これは……。
頭の中にある一本の糸が焼け切れそうだ。
「お前ん家は歯ブラシ一本しかないのか?」
「ほんなわへ……」
「俺が、どんだけ我慢して、踏ん張って……。
俺、何歳か知ってる? 24だぜ? お前からしたら大人かも知れないけどさ。
なってみれば分かるよ、24でもな、全然子供なんだよ」
「んぐっ?!」
掴んだ肩は、女である事プラス、まだ成長途中なんだと感じる程薄かった。
力任せに床にねじ伏せる。
ティエリアに跨り、上からティエリアを見降ろした。
「…っ?! ゴホッ、ゴホッ」
俺に抗議しようとして開いた喉が詰まり、むせ返るティエリア。
口から落ちかけた自分の歯ブラシが目に付いた。
それを奪い返し、躊躇なく口に含んだ。元々から俺のだし。
「……ゴホッ…ケホ……」
「無知は罪……って誰の言葉だっけ?」
「げほっ…、知は空虚なり…?」
「はっ、流石優等生ちゃん」
ティエリアの口の端から唾液が垂れる。
歯磨き粉を含んだ白い唾液が床に小さな水溜りを作った。
「そ、お前さんは天才だけど無知だ」
「……けほ……」
ティエリアは自分に何が起きたか理解していないのか、俺の顔を見詰めたまま。
「……寝るなんて言うなよ、俺ともっと遊ぼうぜ?」
やっと軌道を確保したティエリアは苦しげに「はーはー」と肩で息をする。
「ロックオン…?」
「ニールだ。さっきも言ったよな?」
親指で口の端を拭ってやる。
「良いとこで刹那来るし、お前寝るって言うし、お前15だし」
俺、男なんだぜ?
「……にー…る」
か細い声の後、目尻に溜まった涙が、遂に零れた。
その水が、俺の焼き切れそうな思考回路を消火する。
「あー、ごめん! 今のなし! ……無理か…な?」
泣かせるとか最悪だな。
こんな事をしてしまうなんて……、人として最低だ。
こんな俺を好きになってくれたティエリアに申し訳なくなってきた。
「少し頭冷やして来る。ベッドは自由に使ってくれ。俺はソファーで寝るから。……じゃ」
不甲斐なくて死にそうだ。
早くこの場から立ち去りたくて、急いで立ち上がり振り返ると、
「………」
「………」
なんのデジャヴだ?
褐色色の瞳が、俺を見ていた。
「せっちゃん……どっから入った…?」
「ベランダ」
また危ない事を。
それよりも、だ。
これもデジャヴ。さっきティエリアが握り締めていた物を、今刹那が握り締めていた。
「ぎゃああああ!! せっちゃんそれ置いて来なさい!!!」
カラン、と床に落ちる歯ブラシ。
キラリ、銀色に光る、包丁。
「夜食を食べに来たら、あんたの姿が見えてな。そうだ今使うしかないと思って」
ハッとする。
未だ床に倒れて動けないティエリア。
「ほ、包丁を離しなさい…!」
「だが……」
とティエリアに視線を送る刹那。
確かに、どう見たって俺が襲おうとしてた。
跨って、多分、凄い恐ろしい顔で。
「いや、これは…! ………、……俺が、悪かったけど」
「………」
「うわっ?! 危ない危ない危ない!!」
深夜。凄く近所迷惑です。
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どうにか刹那から包丁を取り上げた。
そして、俺は床に正座。
目の前には腕組みした刹那が見下ろしていた。
「すいません、その、イチャイチャしたかったのに、そんな雰囲気にならなくて……思わず」
ティエリアは隣の部屋から俺を覗いていた。
強制的に刹那が離れさせたのだ。
「だから殴り掛かろうとしていたのか?」
「や……殴るって言うより……」
襲おうと……。
「でも! 寸前で抑えたろ、俺!」
「だから刺さなかっただろう」
あのままやっていたら俺は殺されていたと言う事か。
「恋愛関係にあるのではなかったのか?」
「そうだけど……、それ故と言いますか……」
「?」
おっと、此処はまだ15歳と言った感じか。
分かられても恥ずかしいが。
怒った俺がティエリアに殴り掛かろうとしていると捉えた様だ。
子供の思考回路で助かった。
「はっきり言って、アンタとティエリア・アーデが一緒の部屋にいると言う事を許せないな」
何て男らしいのだ、彼は。
「刹那、お前男らしいなー」
「煽てても許さないぞ」
分かってるよ。
「たまたま爆発しかけただけでさ、普段は凄い健全なお付き合いしてんだぜ?!
キスは16までしないって決めてるし、だから他も全然手、出してないし!
……結婚前提、だし」
言ってて恥ずかしくなって来た。
我ながら、どんどん声が小さくなって行く。
そう、あの時ティエリアに約束をした。
キスは16歳までしない。
因みに、営みの方も高校卒業までしない。
結婚は、今年の12月9日しよう。
「本気だ」
これはティエリアに誓ったのではなく、俺自身に誓ったのだ。
ティエリアと、子供と恋をする覚悟。
「………成程」
成程って何だ。
「カップラーメンが食べたい」
「いつも通り、冷蔵庫の横の棚に」
「了解した」
急に、いつも通りの何事も無関心なクールな少年に戻った。
つまり、許して貰えたと言う事か?
「では、貰って行くぞ」
本当に許して貰えた様で、カップラーメンを一つ手に取ると、ベランダから出て行った。
「はぁ~」
体の力が一気に抜ける。ソファーに雪崩れ込んだ。
「凄い、疲れた……」
今何時だろう? 日は跨いだな。
とりあえず、包丁の仕舞う場所を変えておかないとなー。
眠いのか、頭が上手く働かず焦点が合わない。
目蓋が重い。
つんつん、と頬を突かれて閉じかけた瞳を再び開いた。
「ああ……ティエリア」
赤い瞳が見えた。
「!!」
とても顔を合わせ辛かった。
怖い。何を言われるか怖かった。
この恐怖は、小さい頃いたずらをして物を壊してしまい、母親に怒られないかとビクビクしていたあの時の心境と似ている。
「ロック……ニール?」
眉は八の字。
恐る恐る、と言った感じ。目は潤んでいた。
ああ……この心境は、怒られるだろうけど嫌われないだろうと言う確信がある時のものに似ていたのか。
「嫌いになった?」
「貴方こそ、私を嫌いにならないのですか?」
「なるか馬鹿」
馬鹿って言わないで下さい。頭に手を置いても抵抗はなかった。
「私はまだ悔しいけど子供だ。貴方とは平等に釣り合えない」
何と、あのティエリア様がそんな事思っていたなんて。
「俺こそ、まだ15で、もっと同世代の人とも出会いがあるかもしれないのに、俺に捧げて貰っちゃって」
「捧げているのは貴方でしょう?」
…!
言われて、初めて気付いた。
自分はずっと恋人には尽くして欲しい、そっちの分類だと思っていたら、実は俺の方が尽くしていたのか。
キスしたい衝動を抑えて、手を出したい衝動も抑えて。
ティエリアが泊まりに来ても良い様に、新しい料理を覚えて。
今日だって、暫くいるのだったら友達との飲み会を控えて、早く帰ろうと思って。
「お前だって、捧げてくれるんだろ?」
「ええ、勿論です」
ティエリアが俺の顔に掛かる前髪を除ける。
何をするかと思えば、
「んぶっ!?」
ティエリアの長い睫毛が少しだけ俺の顔を掠った。
「はい、捧げました」
キス、した。
ティエリアから。少女がするフレンチキス。
「貴方は16までしないって決めていた様ですけど、私は決めてませんから。
その所為で、貴方を悲しませたくない」
本当に、お前さんは…!
あんな事した俺を、こんなにも愛してくれるなんて!
「次、俺が捧げる番な?」
「は、はいっ、どうぞ…!」
ああっ…!
何だかんだでキス出来るんじゃないか…!
「明日、ケーキ買ってくるから、今日の事は許してな…?」
「ふん、安く見られたものだな」
「口がにやけてるぞ?」
その、笑う唇に……。
「ニール、度々すまないがラーメンのお湯を分けて……――」
ぼとり、と床にカップ麺が落ちる音がベランダからした。
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≪ラブラブ過ぎて困るわ。夢見過ぎた≫
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実家に帰りたい盛り
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只今実家を離れて就職中(東北出身)
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
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