こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです!
見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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大分間開いた気がします。
前回の続きです。
展開どうなるかと思ったら足踏みをするグダグダな結果……。
だから、僕は人との粘膜液の接触が嫌いなんだ。
人の息とか、体温とか、汗とか、涙とか、大嫌いだ。
だからだから、唾液とか、それこそ精液なんてもってのほか。
「安心しろ、さっき部屋に戻る時に部屋ロックしといたからよ」
出来るかバカーーーー!!
「もっとちゃんとゆっくり。読み取れない」
読唇術、どっから身に付けた。
アッパーは確かに当たった筈なのに。
マイスターは頑丈で困る。
ほら、顔がまた近付いて来る。
もう嫌だ。
気持ち悪い気持ち悪い。
でも、彼が好きなのは確かだから。
気持ち悪いと思っているのだと、悟られるのが怖い。
嫌われたくない。
「あれ…? ひょっとして、初めて?」
まさか読心術も身に付けているのか?!
「……っ」
嫌われたくないけど、気持ち悪い。
「喋らないと分からないだろ…?
って、喋れないんだっけ」
彼は未だ僕に軽く圧し掛かったまま。
左手は僕の方をベッドに押さえ付けている。
右手に嵌めたグローブの端を口で咥え外す。
僕を押さえ付けたままするには仕方ない行為だが、“口で”と言う部分に僕は堪らずぶるっと身震いした。
そして、出て来たのは彼のヨーロッパ圏特集の白い肌の手。
普段見慣れない手に釘付けになる。
ひょっとしたら、彼の手が好きなのは彼がグローブを嵌めているからかもしれない。
例え彼が僕に触れても、それは彼の手ではなくてグローブだ。
「そんなに怯えんなよ、俺が犯罪者みたいじゃないか。ま、CBだから犯罪者で合ってるけどよ」
手が、彼の手が、自分の髪に触れる。
「――っ」
「んなに驚くなよ、俺、傷ついちまうぜ?」
そうだ、彼を傷つけたくない。
彼に嫌な思いはさせられない。
「初めて、なんだな?」
急に真顔になる。
「そうなんだろ?」
そうだけど、違う。
首を声の代わりに全力で振った。
「嘘付くなよ。声が出ない分、表情に良く出る」
髪に触れていた手が、今度は頬を撫で顎まで行く。
ぞぞっ、と肌が粟立つ。
今日は声が出なくて良かった。
もしも出ていたらならば、僕は悲鳴を上げていた。
「ごめんな、そんなに嫌なら止めれば良いんだろうけどさ、俺もまだまだ若いってか、なんつーか」
顎に添えられていた手の意味がやっと分かった。
「―――」
「いたたたたた! いってぇ、ティエリアっ!
……ティエリア?」
良かった、声が出なくて良かった。
『嫌だ! 触るな! 気持ち悪い!!』
そう叫んでいた。
手はどうにもならず、彼の髪の毛を目一杯引っ張ってしまったが。
「どうしたんだお前?」
いつもは『ひっでぇ事するなぁ』なんて笑ってくれるのに、どうして今日はそう真顔を見せる。
「声、出ないの不便だな」
こつん、と彼がおでこを重ねる。
それがこの上なく背中を冷たくする。
視界が歪んでいく。
彼からしてみれば、これは人を安心させる為の行動なのだろう。
なのに僕の反応と来たら。すまない気持ちで一杯だ。
「な、泣くなよ?!」
「…―っ」
「ん?」
「―――」
「何で謝んだよ?」
彼は僕の唇の動きから『ごめんなさい』と読み取ってくれた。
兎に角、この近い顔同士の距離を取りたい。
ごめんなさい、もう限界。
離れて下さい。
でも、部屋からは出て行かないで、独りにしないで。
「ティエリア、俺も謝るよ、ごめん」
「…?
―――!!」
初めての感触に、脳が一時停止した。
「っ……?! ―――っ!!!」
呼吸が出来ない。
理由は単純だ、空気の通り道である口を塞がられたから。
初めは呼吸できない感覚に混乱していたが、次第に自分じゃない体温に気付き鳥肌が立った。
暴れる思考も残っちゃいない。
動いている。自分の口の中で。
元から、自分は生物を口に入れるのが嫌いだ。
固まりなんて無くして、ミンチにして、元が何か分からなくしないと吐いてしまう。
それが今、生き物が、うねうねと動く彼の舌が、僕の口内を這う。
口の端から唾液が垂れるのが分かる。
重力的に、彼のだ。
唾液、粘膜……。
「目ぇ、閉じてろよ。俺が恥ずかしい」
空いている左手で視界を塞がれた。
再び熱い生き物の感触。
声も出なくて、視界も奪われて。
「ティエリア」
「っ!」
やっと新鮮な空気が入って来た。
噎せ返る。
動ける上半身を捩り、彼から出来る限り離れた。
彼が背中を摩ってくれている。
それも今は恐怖だ。
ロックオンが自分の上から久し振りに避けると、ずっと呼吸が楽になる。
「苦しかったか?」
すっと、背中の手が離れて行くのを感じ、彼の服の端を咄嗟に掴んでしまった。
「嫌がってんだか、一緒に居たいんだか」
本当に矛盾している。
それは自分が一番良く分かっている。
「ごめん、もっかい、させて」
嫌だ、なんて言えない。
息が掛かる、彼の荒い息遣いを感じる。
彼の体温が流れ込んでくる。
人間は興奮状態になると、体温が上昇するらしい。
ならば、彼は自分に対して興奮しているの?
普段は大人ぶって、自分を手玉に取った様に扱って。
さっきから、何も言わなくても口の動きと表情で僕の考えなんて全て理解してしまう癖に。
そうなら、嬉しいかも。
「……ティエリア?」
彼が、僕に対してだ。僕がこんなに拒否を示しているのに、屈せず、僕に性交を仕掛けて来る。
「気持ち良かったりした?」
「……」
「首振るなよ」
気持ち良くはない。良い筈ない。
「―――」
「う、れ、し、い?
…それって、気持ち良いと変わらなくないか?」
全然違う。
首を全力で振った。
「てか、もう一回謝るわ……、ごめん、こんなに嫌がってるのに、無理やりして……最低だな」
まぁ、確かに最低だ。
「頷くなよ……」
何だか、自分ばかし彼の大人な余裕に振り回されていると思ったが、自分も何だかんだ言って彼を振り回していないか?
彼は自分の反応でこうも表情を変化させる。
少しの落ち着きと、優越感が生まれた。
彼は他人の粘膜接触を気持ち悪いとは思わないらしい。
キスなんて、自分以外にも沢山しているのだろう。
これが嫉妬と言うものか。
キスなんて僕は気持ち悪くて仕方ないが、いざ他人にもしていると考えるとドス黒い感情が渦巻く。
…待てよ、
と言う事は、僕は彼を通じて彼が今までキスしてきた相手と間接的に接触したのか?
「どうした、吐きそうか?!」
吐きたいのは山々だが、彼が、僕以外の人とだなんて……。
気持ち悪さよりショックが強い。
こんなの初めてで、自分でも驚く。
彼の、彼の口内を、自分のモノで消毒したい。
「いっ?!」
彼の口に指を突っ込み、無理やりこじ開けた。
「ひへりあ?!」
例え、毎日歯磨きしていると考えても、気持ち悪い。胸糞悪い。
「んぶっ?!」
やり方なんて知らないが、とりあえず奥歯から、舌の裏から、口内を全部消毒する。
さっきは無理やり自分を押さえ込んだ癖に、今は宙をぶらぶらする腕がうざったい。
「おまえっ……、てっきり、キスとか、他人とこうするの、嫌いなんだと思ってたのに……」
あれ?
「ひょっとして、俺が初めてじゃないからって、嫉妬したのか?」
彼は僕が他人と粘膜接触が嫌いな事を悟っているじゃないか。
それを分かった上での行為、結局一本食わされるのは僕か。
嫉妬しての行為だとも分かっている様だし。
「不意突かれたっ、……ティエリア、俺、もう我慢できない」
珍しく、彼の顔が赤い。
なんて考えていると彼の腕が背中に回っていた。
「…!」
抱き付かれた。
これは抱き締められたと言う表現が正しいのか?
脈拍が通常時より速い。
体温も連なって高い。
「お前の返事、聞きたいのに」
それは、今からする行動に対しての返事。
「……ティエリア?」
「―――」
ゆっくり、彼に唇を読み取れる様にわざと。
「は、じ、め、て、で、す、か?
……ごめん、お前に俺の初めて、捧げらんねぇわ」
「………」
予想通りだが。
「あ、でもキスは初めてだぜ?」
「……… 、
――っ?!」
「俺、一回も他人とした事あるって言ってないし。
……や、なんかキスはさぁ……本当に好きになった相手がいいなぁって………。あ、お前乙女みたいで気持ち悪いとか思ったろ?」
初めて?
僕は初めて本当に好きなった相手?
「俺もさあ、結構硬いんだぜ? みんな俺を軽そうに思ってるみたいだけど。
前職上さ、そりゃぁ女と寝るのは仕方ない行為だけど……キスは家族以外とない。それもほっぺだからな。
………ティエリア、顔引き攣ってる」
ちょっと、彼の口内を自分のモノで汚してしまった気がするが、これは彼から仕掛けた行為だ。彼が望んだ事ならば、だ。
「ん?」
もう、素手位じゃ気持ち悪いと思わなくなった。
彼の手を取り、自分の頬へ寄せる。
あの革の下には、こんな大きな手が居たのか。
「ティエリア、いい?」
きた。
やっぱりくるか。
僕には拒否権が無い。
首を振ったら彼は何処に行くか分からない。
「お前、まだ俺を疑ってんな?
安心しろって、今嫌がったからって他の女の所にはいかねぇよ」
そんな心の余裕、今の僕には無い。
『はい、じゃあしましょう』
なんて言える筈が無い。そもそも今日は言おうとしても言えない。
かと言って、彼をベッドへ引っ張るのも恥ずかしい。
「止めるか、ティエリア?」
ああっ、読心術はどうした?!
僕の心を読み取って…!
「ティエリア……」
彼の眼を真っ直ぐ見れた。
暫く見詰め合う。
「……電気点けたままでいいよな? お前、暗いの嫌いだろ?」
電気?
何の話だろう?
「お前なぁ……。ま、いいか。
俺、昨日の晩から風呂入って無いんだけど?」
それは僕も同じだ。
自分もだと頷いた。
「ってか今何時? ……夕方にもなってないよな…?」
時間?
何か用事でもあるのだろうか?
「ティエリア、お前、何するか分かってねーだろ…?
なっ!」
「…っ?!」
ベッドに座らされる。
覗き込んで来る、その目は彼に似合わず不安げ。
重々承知だ。
ただ、実写は見た事無い。
文、生物学がぎっしり書いた分厚い本と、ヴェーダのデータバンクからしか知らない文字のみの知識。
「……!」
今気付いた。
「―――!!!」
「何?」
「―――っ!!!」
「はぁ?!」
いい加減分かれ!!
大切な場面で読み取れない、駄目男め!
マイスターから外すぞ?!
『僕の性別、男なんですけど!!』
「あーっ、分かんねぇー!」
気付け馬鹿!!!
「泣くなよ、ごめんな。安心しろティエリア、絶対無茶させないから」
話が通じなくて、涙が出て来た。
カーディガンに手が伸びて来て、咄嗟に手を払ってしまった。
「自分で脱ぐか?」
「……っ」
違う、そんなんじゃない。
「ティエリア、俺の方見て?」
(……、格好いい)
な、何を考えている、僕は!
「あー、お前、成程、分かった分かった。
大丈夫、俺はお前が男だって分かってるから」
「?!」
「やー、幾ら女装したって分かるさ。俺の目は誤魔化せないぜ?
アレルヤ辺りはどうだか分からないけど」
噛み合っている様で合っていない解釈。
僕は断じて女装なんてしていない。これがナチュラルな格好だ。
怒る前にショックだ、これは。
それより、彼は今、僕が男だと分かっていると言ったではないか。
性交は男女の営み。
男同士なんて聞いた事が無い。
「だから、全部分かってるって言ってるだろう?
お前が知らない事なんて山程あるさ、俺が教えてやる」
またベッドに押し付けられた。
さっきより随分と優しく。
「俺、お前なら性別なんて気にしちゃいないさ」
耳元で囁かれた。
普段よりも低い声で。
「…っ」
何だ、今の感覚。
身体に、何か走った。
拒みたい。
気持ち悪いだろ、拒めばいいと心の声が言う。
でも、力が入らない。
「よし、いい子だ」
動かない。
唯一動いたのは首。
上下に振った。
このゾワゾワする感覚が、他人を拒むものなのか、彼に対しての興奮か分からない。
自分の事が分からない。
「眼鏡、危ないから外すぞ?」
肉眼だ。
電気の光を強く感じて目が眩む。
「度なんて入って無い癖に。俺、眼鏡掛けない方が好きだけどな。
や、普段掛けてる奴が外すから良いのか…? うーん」
いつもこの服かノーマルスーツを身に纏う体。
ノーマルスーツのアンダーシャツが今まで見て来た中で一番の薄着。
彼がまず、上に来ていたベストを抜いた。
「……!」
彼が、僕のカーディガンを脱がそうと襟を掴んだ。
「――っ」
「脱ぐのが嫌だ?
服脱がないでやるのはちょっと難しいかな…?」
そんなの、ズボンのチャックを下げればいいだろう。
その前にだ、男同士はどうやるのだ?
「でも、俺は脱いで欲しいな……。俺も全部脱ぐからさ」
二人とも脱いだら良いと言う話ではない。
だから、僕は他人との肌の触れ合いが嫌いだ。
全裸を見るのも不快だ。
それなのに、
「体中にキスしたい。
俺のもんだって、証拠を付けたい……」
そんな事言われたら。
『もう、貴方のものなのに……』
読み取ってくれましたか?
-----------------------------
≪きっと続く結局≫
≪次こそパス付ブログ行きかも。出来たらこの後書きスペースの下にでもリンクこっそり貼ろうかな?≫
前回の続きです。
展開どうなるかと思ったら足踏みをするグダグダな結果……。
だから、僕は人との粘膜液の接触が嫌いなんだ。
人の息とか、体温とか、汗とか、涙とか、大嫌いだ。
だからだから、唾液とか、それこそ精液なんてもってのほか。
「安心しろ、さっき部屋に戻る時に部屋ロックしといたからよ」
出来るかバカーーーー!!
「もっとちゃんとゆっくり。読み取れない」
読唇術、どっから身に付けた。
アッパーは確かに当たった筈なのに。
マイスターは頑丈で困る。
ほら、顔がまた近付いて来る。
もう嫌だ。
気持ち悪い気持ち悪い。
でも、彼が好きなのは確かだから。
気持ち悪いと思っているのだと、悟られるのが怖い。
嫌われたくない。
「あれ…? ひょっとして、初めて?」
まさか読心術も身に付けているのか?!
「……っ」
嫌われたくないけど、気持ち悪い。
「喋らないと分からないだろ…?
って、喋れないんだっけ」
彼は未だ僕に軽く圧し掛かったまま。
左手は僕の方をベッドに押さえ付けている。
右手に嵌めたグローブの端を口で咥え外す。
僕を押さえ付けたままするには仕方ない行為だが、“口で”と言う部分に僕は堪らずぶるっと身震いした。
そして、出て来たのは彼のヨーロッパ圏特集の白い肌の手。
普段見慣れない手に釘付けになる。
ひょっとしたら、彼の手が好きなのは彼がグローブを嵌めているからかもしれない。
例え彼が僕に触れても、それは彼の手ではなくてグローブだ。
「そんなに怯えんなよ、俺が犯罪者みたいじゃないか。ま、CBだから犯罪者で合ってるけどよ」
手が、彼の手が、自分の髪に触れる。
「――っ」
「んなに驚くなよ、俺、傷ついちまうぜ?」
そうだ、彼を傷つけたくない。
彼に嫌な思いはさせられない。
「初めて、なんだな?」
急に真顔になる。
「そうなんだろ?」
そうだけど、違う。
首を声の代わりに全力で振った。
「嘘付くなよ。声が出ない分、表情に良く出る」
髪に触れていた手が、今度は頬を撫で顎まで行く。
ぞぞっ、と肌が粟立つ。
今日は声が出なくて良かった。
もしも出ていたらならば、僕は悲鳴を上げていた。
「ごめんな、そんなに嫌なら止めれば良いんだろうけどさ、俺もまだまだ若いってか、なんつーか」
顎に添えられていた手の意味がやっと分かった。
「―――」
「いたたたたた! いってぇ、ティエリアっ!
……ティエリア?」
良かった、声が出なくて良かった。
『嫌だ! 触るな! 気持ち悪い!!』
そう叫んでいた。
手はどうにもならず、彼の髪の毛を目一杯引っ張ってしまったが。
「どうしたんだお前?」
いつもは『ひっでぇ事するなぁ』なんて笑ってくれるのに、どうして今日はそう真顔を見せる。
「声、出ないの不便だな」
こつん、と彼がおでこを重ねる。
それがこの上なく背中を冷たくする。
視界が歪んでいく。
彼からしてみれば、これは人を安心させる為の行動なのだろう。
なのに僕の反応と来たら。すまない気持ちで一杯だ。
「な、泣くなよ?!」
「…―っ」
「ん?」
「―――」
「何で謝んだよ?」
彼は僕の唇の動きから『ごめんなさい』と読み取ってくれた。
兎に角、この近い顔同士の距離を取りたい。
ごめんなさい、もう限界。
離れて下さい。
でも、部屋からは出て行かないで、独りにしないで。
「ティエリア、俺も謝るよ、ごめん」
「…?
―――!!」
初めての感触に、脳が一時停止した。
「っ……?! ―――っ!!!」
呼吸が出来ない。
理由は単純だ、空気の通り道である口を塞がられたから。
初めは呼吸できない感覚に混乱していたが、次第に自分じゃない体温に気付き鳥肌が立った。
暴れる思考も残っちゃいない。
動いている。自分の口の中で。
元から、自分は生物を口に入れるのが嫌いだ。
固まりなんて無くして、ミンチにして、元が何か分からなくしないと吐いてしまう。
それが今、生き物が、うねうねと動く彼の舌が、僕の口内を這う。
口の端から唾液が垂れるのが分かる。
重力的に、彼のだ。
唾液、粘膜……。
「目ぇ、閉じてろよ。俺が恥ずかしい」
空いている左手で視界を塞がれた。
再び熱い生き物の感触。
声も出なくて、視界も奪われて。
「ティエリア」
「っ!」
やっと新鮮な空気が入って来た。
噎せ返る。
動ける上半身を捩り、彼から出来る限り離れた。
彼が背中を摩ってくれている。
それも今は恐怖だ。
ロックオンが自分の上から久し振りに避けると、ずっと呼吸が楽になる。
「苦しかったか?」
すっと、背中の手が離れて行くのを感じ、彼の服の端を咄嗟に掴んでしまった。
「嫌がってんだか、一緒に居たいんだか」
本当に矛盾している。
それは自分が一番良く分かっている。
「ごめん、もっかい、させて」
嫌だ、なんて言えない。
息が掛かる、彼の荒い息遣いを感じる。
彼の体温が流れ込んでくる。
人間は興奮状態になると、体温が上昇するらしい。
ならば、彼は自分に対して興奮しているの?
普段は大人ぶって、自分を手玉に取った様に扱って。
さっきから、何も言わなくても口の動きと表情で僕の考えなんて全て理解してしまう癖に。
そうなら、嬉しいかも。
「……ティエリア?」
彼が、僕に対してだ。僕がこんなに拒否を示しているのに、屈せず、僕に性交を仕掛けて来る。
「気持ち良かったりした?」
「……」
「首振るなよ」
気持ち良くはない。良い筈ない。
「―――」
「う、れ、し、い?
…それって、気持ち良いと変わらなくないか?」
全然違う。
首を全力で振った。
「てか、もう一回謝るわ……、ごめん、こんなに嫌がってるのに、無理やりして……最低だな」
まぁ、確かに最低だ。
「頷くなよ……」
何だか、自分ばかし彼の大人な余裕に振り回されていると思ったが、自分も何だかんだ言って彼を振り回していないか?
彼は自分の反応でこうも表情を変化させる。
少しの落ち着きと、優越感が生まれた。
彼は他人の粘膜接触を気持ち悪いとは思わないらしい。
キスなんて、自分以外にも沢山しているのだろう。
これが嫉妬と言うものか。
キスなんて僕は気持ち悪くて仕方ないが、いざ他人にもしていると考えるとドス黒い感情が渦巻く。
…待てよ、
と言う事は、僕は彼を通じて彼が今までキスしてきた相手と間接的に接触したのか?
「どうした、吐きそうか?!」
吐きたいのは山々だが、彼が、僕以外の人とだなんて……。
気持ち悪さよりショックが強い。
こんなの初めてで、自分でも驚く。
彼の、彼の口内を、自分のモノで消毒したい。
「いっ?!」
彼の口に指を突っ込み、無理やりこじ開けた。
「ひへりあ?!」
例え、毎日歯磨きしていると考えても、気持ち悪い。胸糞悪い。
「んぶっ?!」
やり方なんて知らないが、とりあえず奥歯から、舌の裏から、口内を全部消毒する。
さっきは無理やり自分を押さえ込んだ癖に、今は宙をぶらぶらする腕がうざったい。
「おまえっ……、てっきり、キスとか、他人とこうするの、嫌いなんだと思ってたのに……」
あれ?
「ひょっとして、俺が初めてじゃないからって、嫉妬したのか?」
彼は僕が他人と粘膜接触が嫌いな事を悟っているじゃないか。
それを分かった上での行為、結局一本食わされるのは僕か。
嫉妬しての行為だとも分かっている様だし。
「不意突かれたっ、……ティエリア、俺、もう我慢できない」
珍しく、彼の顔が赤い。
なんて考えていると彼の腕が背中に回っていた。
「…!」
抱き付かれた。
これは抱き締められたと言う表現が正しいのか?
脈拍が通常時より速い。
体温も連なって高い。
「お前の返事、聞きたいのに」
それは、今からする行動に対しての返事。
「……ティエリア?」
「―――」
ゆっくり、彼に唇を読み取れる様にわざと。
「は、じ、め、て、で、す、か?
……ごめん、お前に俺の初めて、捧げらんねぇわ」
「………」
予想通りだが。
「あ、でもキスは初めてだぜ?」
「……… 、
――っ?!」
「俺、一回も他人とした事あるって言ってないし。
……や、なんかキスはさぁ……本当に好きになった相手がいいなぁって………。あ、お前乙女みたいで気持ち悪いとか思ったろ?」
初めて?
僕は初めて本当に好きなった相手?
「俺もさあ、結構硬いんだぜ? みんな俺を軽そうに思ってるみたいだけど。
前職上さ、そりゃぁ女と寝るのは仕方ない行為だけど……キスは家族以外とない。それもほっぺだからな。
………ティエリア、顔引き攣ってる」
ちょっと、彼の口内を自分のモノで汚してしまった気がするが、これは彼から仕掛けた行為だ。彼が望んだ事ならば、だ。
「ん?」
もう、素手位じゃ気持ち悪いと思わなくなった。
彼の手を取り、自分の頬へ寄せる。
あの革の下には、こんな大きな手が居たのか。
「ティエリア、いい?」
きた。
やっぱりくるか。
僕には拒否権が無い。
首を振ったら彼は何処に行くか分からない。
「お前、まだ俺を疑ってんな?
安心しろって、今嫌がったからって他の女の所にはいかねぇよ」
そんな心の余裕、今の僕には無い。
『はい、じゃあしましょう』
なんて言える筈が無い。そもそも今日は言おうとしても言えない。
かと言って、彼をベッドへ引っ張るのも恥ずかしい。
「止めるか、ティエリア?」
ああっ、読心術はどうした?!
僕の心を読み取って…!
「ティエリア……」
彼の眼を真っ直ぐ見れた。
暫く見詰め合う。
「……電気点けたままでいいよな? お前、暗いの嫌いだろ?」
電気?
何の話だろう?
「お前なぁ……。ま、いいか。
俺、昨日の晩から風呂入って無いんだけど?」
それは僕も同じだ。
自分もだと頷いた。
「ってか今何時? ……夕方にもなってないよな…?」
時間?
何か用事でもあるのだろうか?
「ティエリア、お前、何するか分かってねーだろ…?
なっ!」
「…っ?!」
ベッドに座らされる。
覗き込んで来る、その目は彼に似合わず不安げ。
重々承知だ。
ただ、実写は見た事無い。
文、生物学がぎっしり書いた分厚い本と、ヴェーダのデータバンクからしか知らない文字のみの知識。
「……!」
今気付いた。
「―――!!!」
「何?」
「―――っ!!!」
「はぁ?!」
いい加減分かれ!!
大切な場面で読み取れない、駄目男め!
マイスターから外すぞ?!
『僕の性別、男なんですけど!!』
「あーっ、分かんねぇー!」
気付け馬鹿!!!
「泣くなよ、ごめんな。安心しろティエリア、絶対無茶させないから」
話が通じなくて、涙が出て来た。
カーディガンに手が伸びて来て、咄嗟に手を払ってしまった。
「自分で脱ぐか?」
「……っ」
違う、そんなんじゃない。
「ティエリア、俺の方見て?」
(……、格好いい)
な、何を考えている、僕は!
「あー、お前、成程、分かった分かった。
大丈夫、俺はお前が男だって分かってるから」
「?!」
「やー、幾ら女装したって分かるさ。俺の目は誤魔化せないぜ?
アレルヤ辺りはどうだか分からないけど」
噛み合っている様で合っていない解釈。
僕は断じて女装なんてしていない。これがナチュラルな格好だ。
怒る前にショックだ、これは。
それより、彼は今、僕が男だと分かっていると言ったではないか。
性交は男女の営み。
男同士なんて聞いた事が無い。
「だから、全部分かってるって言ってるだろう?
お前が知らない事なんて山程あるさ、俺が教えてやる」
またベッドに押し付けられた。
さっきより随分と優しく。
「俺、お前なら性別なんて気にしちゃいないさ」
耳元で囁かれた。
普段よりも低い声で。
「…っ」
何だ、今の感覚。
身体に、何か走った。
拒みたい。
気持ち悪いだろ、拒めばいいと心の声が言う。
でも、力が入らない。
「よし、いい子だ」
動かない。
唯一動いたのは首。
上下に振った。
このゾワゾワする感覚が、他人を拒むものなのか、彼に対しての興奮か分からない。
自分の事が分からない。
「眼鏡、危ないから外すぞ?」
肉眼だ。
電気の光を強く感じて目が眩む。
「度なんて入って無い癖に。俺、眼鏡掛けない方が好きだけどな。
や、普段掛けてる奴が外すから良いのか…? うーん」
いつもこの服かノーマルスーツを身に纏う体。
ノーマルスーツのアンダーシャツが今まで見て来た中で一番の薄着。
彼がまず、上に来ていたベストを抜いた。
「……!」
彼が、僕のカーディガンを脱がそうと襟を掴んだ。
「――っ」
「脱ぐのが嫌だ?
服脱がないでやるのはちょっと難しいかな…?」
そんなの、ズボンのチャックを下げればいいだろう。
その前にだ、男同士はどうやるのだ?
「でも、俺は脱いで欲しいな……。俺も全部脱ぐからさ」
二人とも脱いだら良いと言う話ではない。
だから、僕は他人との肌の触れ合いが嫌いだ。
全裸を見るのも不快だ。
それなのに、
「体中にキスしたい。
俺のもんだって、証拠を付けたい……」
そんな事言われたら。
『もう、貴方のものなのに……』
読み取ってくれましたか?
-----------------------------
≪きっと続く結局≫
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