こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです!
見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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ラースト。
「……あれ?」
夕飯が出来たから二人を呼ぼうと思ったのだが見当たらくて。
廊下を歩いていると声がした。
「シャワー…室?」
動物と触れ合った彼女達はどうやら体を洗っている模様。
何だかんだで一緒に入ったのか。
何となく、声が聞こえて来た気がしてドアに耳を当てた。
『アーデさん、白いですね』
そういきなり聞こえて来たのだ。
「!!」
びっくりして息を潜めてしまった。
このタイミング。
俺は運が良いのか悪いのか。
別に対象にしてた訳では無い筈なのに、ミレイナの所為だ。
彼女の勘違いを流していたらやたらと自分達の絡み度具合を見てくるんだもの。
変に意識してしまう、ティエリアを。
『髪を乾かせ、風邪を引いたらイアン・ヴァスティにごちゃごちゃ言われる』
『じゃあアーデさん、乾かして下さいよー』
『……断る』
『えー! ママはやってくれるです! アーデさんも今日はミレイナのママなんですからやって下さいよ!』
ママ?!
じゃあ自分をパパだなんて思ってたらどうしよう。
お兄さんとお姉さんじゃないのか?
『……じゃあ、ロックオンに頼め』
自分の名前が出て来てドキリ。
ガチャ。
「あ」
「何してるんですか?」
「きゃー! 覗き見ですか?! えっちー!」
ミレイナがまた二ヤけて…。
恋人の裸を覗き見とかマンガじゃないんだから、しないよ。
ミレイナの期待には答えられない。
「夕飯出来たから呼びに来ただけだよ」
「ちぇー!」
ぷくーっと膨れる。
まるで駄々をこねた時の妹に似ていて懐かしくなる。
「髪を乾かしてやれ」
ティエリアは横を通り過ぎてしまった。
やっぱり子供の面倒はご免なようだ。
「ったく、俺が食事作ったんだから、それ位やってもいいよなー」
子供の前で愚痴を少し吐いてしまった。
「アーデさん、ミレイナの事やっぱり嫌いみたいです……」
「え?」
「体を洗ってって言ってもやだって言うし、洗ってあげようとしても怒るんです」
しゅうん、と項垂れるミレイナ。
「気にすんなよ、ティエリアは元から人に触られるのが苦手なんだよ」
いつでもそうだった。
思い返したらあんなにティエリアの側にいた事はなかった。
だから意外な一面と言うか、見れなかった彼の一部を見れたんだ。
でもやっぱり他人と絡むのが嫌いなようで。
「何でそんなに嫌いなんですか? 前に誰かに虐められたんですか?
なでなでされるのが嫌いだなんて……寂しいです……」
ミレイナの言葉にハッとした。
寂いじゃないか。
人と絡むのが、触れあうのが嫌いなんて悲し過ぎるだろう?
「ストラトスさん、お料理お上手です~!」
ハンバーグが刺さったフォークを高く掲げた。
「あ…? ああ、お口に合って嬉しいよ」
ミレイナに言われた言葉、「寂しいです」。頭から離れず上の空。
確かに刹那もティエリアと対して変わらないと思っていた。
でもティエリアはあからさまに嫌いと言い張る。
それに今日は怯えも入った。
一瞬でも怯えるなんて。単に子供が苦手だっただけか?
「ぅ~……」
気になり出すと食が進まなくなったりする。
チラリ、ティエリアの表情を盗み見るといつもと変わらず、一定のリズムでチャキチャキ食す。
「…あれ? ティエリア牛肉嫌いじゃなかったけ?」
「それはステーキ等の場合です。ハンバーグの様にミンチ状にまですれば食べれます」
分かんねえ、ああ分かんねえ。
「あ、ミレイナちゃん、ケチャップ口に付いてるよ」
やっぱり年相応、口の周りを汚して食べている。
「……貴方は子供を産んだ事があるのですか?」
横から物凄い質問が飛んで来た。
「………、は?」
「子供の扱いに慣れている様に見える、そうなのですか?」
「ちがっ!」
これは単純に気が利くだけで。
妹が居たからかもしれないし。
「やーーー! ストラトスさん浮気ですか?!」
「違う! 妹いたからだよ!!」
あー、ミレイナの所為で激しくややこしくなる。
ティエリアを見ると特に表情の変化なし。
モグモグ。
そもそも、ミレイナとティエリアの組み合わせだからややこしくなってるのか?
天真爛漫と、天然を会わせちゃ駄目だ。
「って言うか、ティエリア天然?」
「天然とはどう言う意味ですか?」
「ほら、それ」
そんなやりとりをまたミレイナが勘違いしてニヤニヤ見ている。
ホントだ、ややこしくなってる。
もう否定しなくていいや。
ミレイナは父親に報告するだろう。
そうしたらティエリアは男で、もし女でもそう言う対象にはならないと教えてあげる筈だ。
「どう言う事だ!」
「仕方ないだろ、予想外の不具合なんだから」
夜に迎えに来る筈のイアンが整備中に不具合を見つけ、今日は帰らないと来た。
だから、明日の朝迎えに来る。
シャワーを浴びた直ぐ後イアンからメールが届いた。
気付くと俺の部屋に集合していてこの状況。
「寂しいだろミレイナ・ヴァスティ! 住所を教えるから……」
「それは駄目でしょ!」
しかしミレイナと来たら、
「全然寂しくないですよ? 今日はストラトスさんとアーデさんの行く末を見守るのです!」
貴方が思う行く末はどんなんだ。
布団の上、パジャマ姿で俺達と寝る気満々だ。
「で、ティエリアも何で俺の部屋にいる訳?」
そう、ティエリアも何故だかパジャマ姿で居たのだ。
「どうせ、ミレイナが俺も一緒じゃないと嫌だと泣きそうだから」
おお!
「な…何だ、その目は…!」
「いやぁ…、別に」
ミレイナに興味を抱いた様だ。
良かった、ティエリアは優しい子だった。
「その笑った顔! 何故だか腹立つ!!」
俺に詰め寄るティエリアは心なしか顔が赤く見えて。
「ミレイナ、こう言うの何って言うか知っているです。
アーデさんはツンデレちゃんです!」
うわ、ミレイナ、どうしてそうもティエリアを怒らせたがる。
「つんでれ……とは何だ?」
おっと、こっちは天然無知だった。
「って言うか、俺のベッドに3人なの?」
「大丈夫だ、CBの備品だぞ」
確かにみんな乗れるが、狭い。
間にミレイナ。
これで「アーデさんと二人でどうぞ」なんて空気の読み方をしたら俺はイアンに苦情を言う。
「何だか、パパとママに挟まれてるみたいです」
そうか、両親は俺達のMS開発に忙しいんだ。
たまにしか会えないと聞く。
今じゃイアンはトレミー専属だし。
「悪いな…パパとママ奪っちゃって」
「いいんです。世界を直すお仕事してるパパとママ、大好きです!」
武力介入も子供の言葉じゃ世界を直すお仕事。
裏はいつも血で汚れているのに。
ロックオンは急に罪悪感を感じた。
そう言えばティエリアが何も言わない。
「ママみたい」なんて言われたのに。
今日は寝る前まで本当に可笑しなティエリア。
やっぱり色恋に詳しくて興味が人一倍あっても子供は子供。9歳だ。
ロックオンに頭を撫でられたらまどろみの中へ落ちて行く。
ミレイナの表情を見ていると、視界に一緒にティエリアも入る。
一緒に寝てやると言うものの、本当にそこにいるだけ。
俺みたいに頭を撫でるでもなく。胸に手を置いてあげる事さえもしない。
棒の様に、そこに横たわっていた。
「ティエリア、ミレイナにいつも寂しくても我慢してるご褒美に、ママになり切って頭撫でてあげれば?」
小声で。
驚いた表情半分、戸惑い半分。
「……」
口をキュッと締めたのが分かった。
「じゃあ、お腹とんとんとかは?」
目を伏せて、身を捩って離れるではないか。
その表情は俺が苦手だ。
「怖いじゃないですか……、こんなに小さくて、軟らかくて。
俺なんかが触れたら壊れてしまいそうだ……」
そんな弱気な言葉を聞くのは2回目だ。
1回目は昼行った動物園での事。
ウサギを怖がるティエリアが言った言葉。
ぎゅっと胸を掴まれた感覚。
どうにかしてあげたい、どうにかして他人の柔らかさを教えてあげたい。
「…っ! 何するんですか!」
「これだよ、この強さで撫でてあげればいいんだ」
経験が無いから出来ないんだ。俺が教えてやるよ。
ぷにっ、と。
撫でてあげたティエリアは子供と引けを取らない軟らかさ。
いや、ティエリアもまだ子供なんだ。
頬を撫でると驚いたティエリアに言う。
知らないなら、教えてあげる。
「やられるのと、やるのは違う……」
ああ言えばこう言う。
ティエリアの表情が今にも崩れそう。
ティエリアらしくない。
いや、これがこの子の本質なのかもしれない。
「じゃあ」
ティエリアの怯える手を引いた。
「俺で予行練習」
俺よりちょっとだけ体温が低い手の平を俺の頬に持って来させた。
「出来るだろ?」
「…っ」
息を呑み込んだ。
「できんじゃねーか」
震える手を直に感じて笑えて来た。
何故だか笑える。可笑しいんじゃなくて微笑ましくて。
込み上げてくるのはきっと父性。
「いい子だ、ティエリア」
あ、少し子供扱いし過ぎたか。
ロックオンは思うがティエリアは、
「笑った……」
「はい?」
「いや」
呆気にとられているとティエリアの手が離れ、直ぐ隣で眠りかけるミレイナに行く。
「こうですか、ロックオン?」
「え? あっ…ああ」
ミレイナのおでこを撫でるティエリアはやはり笑っている様に見える。
「子供は軟らかい……、あの時ウサギも触れば良かった」
おでこから頬へ。感触を確かめるティエリアは本当に初めて触った様で。
「……か」
わいい。
可愛い。
ミレイナも可愛いけど、違う。
自分の中で2種類の可愛いが生まれた。
「ロックオン?」
急に名前を呼ばれた。
「赤ちゃんなら、もっと柔らかいでしょうか…?」
質問の内容が意外過ぎて驚く。
「…ロックオン?」
そうこなくっちゃ。興味を抱かないなんて、彼女の言葉を借りると寂し過ぎる。
「そりゃもう。気持ちいのなんの」
「そんなにですか?」
「そんなに」
目が輝いたのが分かった。
それからミレイナに再び目をやったティエリアは俺を超えてそっと抱きついた。
「温かい。子供は、抱き着心地がいい」
目を閉じて、ティエリアも寝る態勢になる。
「いつか、お前も子供欲しかったりする?」
「ん…ほし……かも………」
今から数十時間前までは子供があからさまに嫌いだって顔してたのに。
「ミレイナ見てたら俺も欲しくなってきた」
ティエリアも眠ったのだろうか、返事が返ってこなくなった。
「ティエリアも…見てたら欲しくなってきた………」
口に出すと自分が自分に笑えてきた。
何言ってんだか。ミレイナに課せられた恋人ごっこに当てられ過ぎたか。
「そう言う事を起きてる内に言わないからチキンなんですよ、ストラトスさんは!」
パチ。
閉じていた筈の紫の瞳がこっちを見ていた。
頭真っ白。
顔面蒼白。
「ミレイナ!!?」
「聞いちゃった、聞いちゃったですぅ~」
「い…今のは……!」
「結婚するとコウノトリさんが赤ちゃんを運んで来てくれるらしいですよ!」
あ…そこは小学生だ。
って違う違う!
「おやすみです~、結婚式は、ミレイナに……ブーケくださ……ぃ」
あー、寝ないで下さいミレイナさん。
子供の口はユルユル。
きっとおやっさんに返したら直ぐにでも伝わるんだろう。
寝つきが良いティエリアはこう言う時だけ聞こえない。
----------------------
≪ホントにやりたかっただけです…、すみませんでした≫
「……あれ?」
夕飯が出来たから二人を呼ぼうと思ったのだが見当たらくて。
廊下を歩いていると声がした。
「シャワー…室?」
動物と触れ合った彼女達はどうやら体を洗っている模様。
何だかんだで一緒に入ったのか。
何となく、声が聞こえて来た気がしてドアに耳を当てた。
『アーデさん、白いですね』
そういきなり聞こえて来たのだ。
「!!」
びっくりして息を潜めてしまった。
このタイミング。
俺は運が良いのか悪いのか。
別に対象にしてた訳では無い筈なのに、ミレイナの所為だ。
彼女の勘違いを流していたらやたらと自分達の絡み度具合を見てくるんだもの。
変に意識してしまう、ティエリアを。
『髪を乾かせ、風邪を引いたらイアン・ヴァスティにごちゃごちゃ言われる』
『じゃあアーデさん、乾かして下さいよー』
『……断る』
『えー! ママはやってくれるです! アーデさんも今日はミレイナのママなんですからやって下さいよ!』
ママ?!
じゃあ自分をパパだなんて思ってたらどうしよう。
お兄さんとお姉さんじゃないのか?
『……じゃあ、ロックオンに頼め』
自分の名前が出て来てドキリ。
ガチャ。
「あ」
「何してるんですか?」
「きゃー! 覗き見ですか?! えっちー!」
ミレイナがまた二ヤけて…。
恋人の裸を覗き見とかマンガじゃないんだから、しないよ。
ミレイナの期待には答えられない。
「夕飯出来たから呼びに来ただけだよ」
「ちぇー!」
ぷくーっと膨れる。
まるで駄々をこねた時の妹に似ていて懐かしくなる。
「髪を乾かしてやれ」
ティエリアは横を通り過ぎてしまった。
やっぱり子供の面倒はご免なようだ。
「ったく、俺が食事作ったんだから、それ位やってもいいよなー」
子供の前で愚痴を少し吐いてしまった。
「アーデさん、ミレイナの事やっぱり嫌いみたいです……」
「え?」
「体を洗ってって言ってもやだって言うし、洗ってあげようとしても怒るんです」
しゅうん、と項垂れるミレイナ。
「気にすんなよ、ティエリアは元から人に触られるのが苦手なんだよ」
いつでもそうだった。
思い返したらあんなにティエリアの側にいた事はなかった。
だから意外な一面と言うか、見れなかった彼の一部を見れたんだ。
でもやっぱり他人と絡むのが嫌いなようで。
「何でそんなに嫌いなんですか? 前に誰かに虐められたんですか?
なでなでされるのが嫌いだなんて……寂しいです……」
ミレイナの言葉にハッとした。
寂いじゃないか。
人と絡むのが、触れあうのが嫌いなんて悲し過ぎるだろう?
「ストラトスさん、お料理お上手です~!」
ハンバーグが刺さったフォークを高く掲げた。
「あ…? ああ、お口に合って嬉しいよ」
ミレイナに言われた言葉、「寂しいです」。頭から離れず上の空。
確かに刹那もティエリアと対して変わらないと思っていた。
でもティエリアはあからさまに嫌いと言い張る。
それに今日は怯えも入った。
一瞬でも怯えるなんて。単に子供が苦手だっただけか?
「ぅ~……」
気になり出すと食が進まなくなったりする。
チラリ、ティエリアの表情を盗み見るといつもと変わらず、一定のリズムでチャキチャキ食す。
「…あれ? ティエリア牛肉嫌いじゃなかったけ?」
「それはステーキ等の場合です。ハンバーグの様にミンチ状にまですれば食べれます」
分かんねえ、ああ分かんねえ。
「あ、ミレイナちゃん、ケチャップ口に付いてるよ」
やっぱり年相応、口の周りを汚して食べている。
「……貴方は子供を産んだ事があるのですか?」
横から物凄い質問が飛んで来た。
「………、は?」
「子供の扱いに慣れている様に見える、そうなのですか?」
「ちがっ!」
これは単純に気が利くだけで。
妹が居たからかもしれないし。
「やーーー! ストラトスさん浮気ですか?!」
「違う! 妹いたからだよ!!」
あー、ミレイナの所為で激しくややこしくなる。
ティエリアを見ると特に表情の変化なし。
モグモグ。
そもそも、ミレイナとティエリアの組み合わせだからややこしくなってるのか?
天真爛漫と、天然を会わせちゃ駄目だ。
「って言うか、ティエリア天然?」
「天然とはどう言う意味ですか?」
「ほら、それ」
そんなやりとりをまたミレイナが勘違いしてニヤニヤ見ている。
ホントだ、ややこしくなってる。
もう否定しなくていいや。
ミレイナは父親に報告するだろう。
そうしたらティエリアは男で、もし女でもそう言う対象にはならないと教えてあげる筈だ。
「どう言う事だ!」
「仕方ないだろ、予想外の不具合なんだから」
夜に迎えに来る筈のイアンが整備中に不具合を見つけ、今日は帰らないと来た。
だから、明日の朝迎えに来る。
シャワーを浴びた直ぐ後イアンからメールが届いた。
気付くと俺の部屋に集合していてこの状況。
「寂しいだろミレイナ・ヴァスティ! 住所を教えるから……」
「それは駄目でしょ!」
しかしミレイナと来たら、
「全然寂しくないですよ? 今日はストラトスさんとアーデさんの行く末を見守るのです!」
貴方が思う行く末はどんなんだ。
布団の上、パジャマ姿で俺達と寝る気満々だ。
「で、ティエリアも何で俺の部屋にいる訳?」
そう、ティエリアも何故だかパジャマ姿で居たのだ。
「どうせ、ミレイナが俺も一緒じゃないと嫌だと泣きそうだから」
おお!
「な…何だ、その目は…!」
「いやぁ…、別に」
ミレイナに興味を抱いた様だ。
良かった、ティエリアは優しい子だった。
「その笑った顔! 何故だか腹立つ!!」
俺に詰め寄るティエリアは心なしか顔が赤く見えて。
「ミレイナ、こう言うの何って言うか知っているです。
アーデさんはツンデレちゃんです!」
うわ、ミレイナ、どうしてそうもティエリアを怒らせたがる。
「つんでれ……とは何だ?」
おっと、こっちは天然無知だった。
「って言うか、俺のベッドに3人なの?」
「大丈夫だ、CBの備品だぞ」
確かにみんな乗れるが、狭い。
間にミレイナ。
これで「アーデさんと二人でどうぞ」なんて空気の読み方をしたら俺はイアンに苦情を言う。
「何だか、パパとママに挟まれてるみたいです」
そうか、両親は俺達のMS開発に忙しいんだ。
たまにしか会えないと聞く。
今じゃイアンはトレミー専属だし。
「悪いな…パパとママ奪っちゃって」
「いいんです。世界を直すお仕事してるパパとママ、大好きです!」
武力介入も子供の言葉じゃ世界を直すお仕事。
裏はいつも血で汚れているのに。
ロックオンは急に罪悪感を感じた。
そう言えばティエリアが何も言わない。
「ママみたい」なんて言われたのに。
今日は寝る前まで本当に可笑しなティエリア。
やっぱり色恋に詳しくて興味が人一倍あっても子供は子供。9歳だ。
ロックオンに頭を撫でられたらまどろみの中へ落ちて行く。
ミレイナの表情を見ていると、視界に一緒にティエリアも入る。
一緒に寝てやると言うものの、本当にそこにいるだけ。
俺みたいに頭を撫でるでもなく。胸に手を置いてあげる事さえもしない。
棒の様に、そこに横たわっていた。
「ティエリア、ミレイナにいつも寂しくても我慢してるご褒美に、ママになり切って頭撫でてあげれば?」
小声で。
驚いた表情半分、戸惑い半分。
「……」
口をキュッと締めたのが分かった。
「じゃあ、お腹とんとんとかは?」
目を伏せて、身を捩って離れるではないか。
その表情は俺が苦手だ。
「怖いじゃないですか……、こんなに小さくて、軟らかくて。
俺なんかが触れたら壊れてしまいそうだ……」
そんな弱気な言葉を聞くのは2回目だ。
1回目は昼行った動物園での事。
ウサギを怖がるティエリアが言った言葉。
ぎゅっと胸を掴まれた感覚。
どうにかしてあげたい、どうにかして他人の柔らかさを教えてあげたい。
「…っ! 何するんですか!」
「これだよ、この強さで撫でてあげればいいんだ」
経験が無いから出来ないんだ。俺が教えてやるよ。
ぷにっ、と。
撫でてあげたティエリアは子供と引けを取らない軟らかさ。
いや、ティエリアもまだ子供なんだ。
頬を撫でると驚いたティエリアに言う。
知らないなら、教えてあげる。
「やられるのと、やるのは違う……」
ああ言えばこう言う。
ティエリアの表情が今にも崩れそう。
ティエリアらしくない。
いや、これがこの子の本質なのかもしれない。
「じゃあ」
ティエリアの怯える手を引いた。
「俺で予行練習」
俺よりちょっとだけ体温が低い手の平を俺の頬に持って来させた。
「出来るだろ?」
「…っ」
息を呑み込んだ。
「できんじゃねーか」
震える手を直に感じて笑えて来た。
何故だか笑える。可笑しいんじゃなくて微笑ましくて。
込み上げてくるのはきっと父性。
「いい子だ、ティエリア」
あ、少し子供扱いし過ぎたか。
ロックオンは思うがティエリアは、
「笑った……」
「はい?」
「いや」
呆気にとられているとティエリアの手が離れ、直ぐ隣で眠りかけるミレイナに行く。
「こうですか、ロックオン?」
「え? あっ…ああ」
ミレイナのおでこを撫でるティエリアはやはり笑っている様に見える。
「子供は軟らかい……、あの時ウサギも触れば良かった」
おでこから頬へ。感触を確かめるティエリアは本当に初めて触った様で。
「……か」
わいい。
可愛い。
ミレイナも可愛いけど、違う。
自分の中で2種類の可愛いが生まれた。
「ロックオン?」
急に名前を呼ばれた。
「赤ちゃんなら、もっと柔らかいでしょうか…?」
質問の内容が意外過ぎて驚く。
「…ロックオン?」
そうこなくっちゃ。興味を抱かないなんて、彼女の言葉を借りると寂し過ぎる。
「そりゃもう。気持ちいのなんの」
「そんなにですか?」
「そんなに」
目が輝いたのが分かった。
それからミレイナに再び目をやったティエリアは俺を超えてそっと抱きついた。
「温かい。子供は、抱き着心地がいい」
目を閉じて、ティエリアも寝る態勢になる。
「いつか、お前も子供欲しかったりする?」
「ん…ほし……かも………」
今から数十時間前までは子供があからさまに嫌いだって顔してたのに。
「ミレイナ見てたら俺も欲しくなってきた」
ティエリアも眠ったのだろうか、返事が返ってこなくなった。
「ティエリアも…見てたら欲しくなってきた………」
口に出すと自分が自分に笑えてきた。
何言ってんだか。ミレイナに課せられた恋人ごっこに当てられ過ぎたか。
「そう言う事を起きてる内に言わないからチキンなんですよ、ストラトスさんは!」
パチ。
閉じていた筈の紫の瞳がこっちを見ていた。
頭真っ白。
顔面蒼白。
「ミレイナ!!?」
「聞いちゃった、聞いちゃったですぅ~」
「い…今のは……!」
「結婚するとコウノトリさんが赤ちゃんを運んで来てくれるらしいですよ!」
あ…そこは小学生だ。
って違う違う!
「おやすみです~、結婚式は、ミレイナに……ブーケくださ……ぃ」
あー、寝ないで下さいミレイナさん。
子供の口はユルユル。
きっとおやっさんに返したら直ぐにでも伝わるんだろう。
寝つきが良いティエリアはこう言う時だけ聞こえない。
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兎羽
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性別:
女性
職業:
実家に帰りたい盛り
趣味:
見ての通り
自己紹介:
只今実家を離れて就職中(東北出身)
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
A型!身長約150!腐女子!
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