こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです!
見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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ぶっちゃけ、ティエとライルの間にはニール絡みの問題が発生すると思ってたけど、なかったね。
私はティエリアとライルの関係がこうであって欲しいな……って言う。
自我を保つ為の方法は、餓鬼だった。
人でなしだった。
「ぅ……、いっ!」
床に崩れた体は無抵抗で、それが更に怒りを掻きたてていた。
「はぁー、はぁー」
今日も気が済むまで。
自分の気持ちが落ち着くまで。
沈黙が今日のそれが終わる合図だと彼は学んでいた。
ゆっくりと、よろけながら立ちあがる。
「あまり、顔を殴らない方がいい。刹那に今日指摘された。疑われているぞ?」
「は…? 何言ってんだよ……それ決めんのは俺だろ?」
紫の髪の毛を鷲掴むと、思いっきり壁目がけて投げる。
半無重力の体はまた無抵抗に流れ、壁がぶつかる音がする。
無重力に散ったのは赤い点。
ポタリ、額から一筋血が流れた。
「っ……」
「出てけ、誰にも見られんじゃねーぞ?」
こんなの歪んでる、可笑しい。自分が一番分かってるのに。
俺は、どうしてこんな可笑しな方向へ行ったんだ?
アイツから言って来たんだ。それがいつもの言い訳。
【僕を殴って構わない】
『お前が死ねば良かったんだ』
言ってしまうと、何とも心がすっきりした。
そして涙が流れてくる。
「…ぁ……」
「どうした、早く出てけ」
「すまない……頭が………」
出血した部分を押さえたまま、ティエリアが蹲った。
「おい……」
「だいじょ……」
ぶ を言う前に意識が途切れた。
遂にやってしまった。
人を急いで呼んで、診察すると軽い脳しんとう。
安心したが、それと同時にばれてしまったんだ、ティエリアと俺の関係が。
「喧嘩にしては、随分と貴方が勝っているわね?」
スメラギと、俺と、ベッドに寝たティエリア。
頭に包帯を巻いたティエリアが静かに眠るメディカルルーム。
実質、俺と彼女の二人きり。
さっきまで、緩く笑って見せていた顔が一気に引き締まった。
「貴方、ティエリアに何したの? いつから、何をしたの?」
言える筈が無い。
例え、ティエリアが許可したと言っても悪いのは俺なんだ。自分が一番分かっている。
「私の想像通りなのね……」
彼女からして見れば、きっとティエリアは弟みたいなものだろう。
このトレミーの母なんだろう。
「貴方、自分が何をしたか分かってるの?! ティエリアがこんなになるまで!!」
誰かに頬を叩かれたのは久し振りだった。
母親に叱られて以来。じゃあ、相当前だ。
ヒリヒリした。
自分は子供だな。我が儘な子供、現実を受け入れられない子供。
もっと殴ってくれ。
叱ってくれ。じゃないと割が合わない。泣く理由は叱られたからがいい。
後悔の涙なんてかっこ悪い。
「止めて…下さい」
第二撃に振り上げたスメラギの手を、白い手が伸びて来て抑えた。
「彼は……悪くないんです……」
「ティエリア!」
そう来ると思っていた。
彼は悪くない、言い出したのは自分だ。そう当然のように言うティエリアに対して申し訳なくて。
「自分が言い出したって………」
「戻ろうとした彼女を全力で救えなかった、自分もイノベイターでありながらこうして生きている。
でも、まだ逝く訳にはいかないので、今はこの程度と言う事で」
それは全て先日彼に浴びせた言葉。
スメラギが睨んだ。言い返す言葉も無い。それが真実なんだ。
真っ白なティエリアに、洗脳してしまった。
まだ覚醒し切ってないティエリアは、焦点が何処となく合わない。
着替えらせられた服。裾から覗いた腕には赤黒い鬱血。
いつも暗闇か小電灯だったから、こんな明るい部屋で見たの初めて。
痛々しくてぞっとした。
これの全ては俺がやったもの。
この前まで、彼女を優しく撫でていた筈の同じ手は、彼の身体を変色させていた。
彼女は嬉しそうに肌をピンクに染めたのに、彼は血の気の引いた青い顔で身体を引き摺るように寝台から降りた。
「まだ寝てなさい!」
「では、自室で寝ます」
寝る気なんてない癖に。
廊下を歩くティエリア。足取りは普段より若干遅くて、軸がふら付く。
誰もいない事を確認すると、ティエリアはやはり、俺に謝るのだった。
「すまない、貴方にいらない誤解を招いた」
どうやって育てば、こうなるんだろう。
泣いて、スメラギに言えばいいのに。
引け目を感じて、俺の虐待に耐えてたんじゃない。純粋にだったんだ、本気で言ってたんだ。
真っ直ぐ過ぎて、歪んだ俺が際立つ。
彼はこの生き方しか知らないんだろう。
だから、全てが終わったら、殺してくれても構わないなんて言えるんだ。
だから、彼女は俺から離れて行ったんだ。
でも、彼女と違うのは、彼は以前からイノベイターだと知っていたのに此処に居続けた。同胞を殺した。
「あの…?」
何時までも返答を返さない俺の顔を覗くティエリア。
「暫く会わないようにしよう」
やはり沸き起こる感情は、
『なら、なぜ彼女は行ってしまったんだ?』
『なんでお前はそうしていられたんだ?』
彼の存在を許せないでいる。またティエリアに手を上げてしまいそうだ。
「……了解しました」
暫く乱暴されずに済むのに、どうしてそんなにも悲しそうな顔をするのだろうか。
俺への同情は感じられない。ならどうしてなんだ、ティエリア。
「ごめんなさい、この前叩いちゃって」
彼女は、とても大人だと思った。
自分と大して歳も変わらない筈なのに。
人生経験の違い…だろうか。
彼女の部屋に呼ばれ、叱られる。もしくはマイスターから落とされるとばかり思っていた。
「貴方だって、ボロボロの状態だったのにね。うん、好きな人を失った時の心境と言うか、分かってる筈なのにね」
彼女も、自分と同じ境遇にあった事があるんだろう。表情で悟った。
「でも、だからと言ってティエリアに当たるのは頂けないわ。貴方だって分かってるんでしょう?」
声はまだ怒っていた。
許されようとは思わない。
「あれ以来、してません……会ってませんし」
スメラギだって、分かっていた。
アニューが死んだのはイノベイターと言う宿命。同じ宿命を背負った筈なのに生きるティエリアに憎しみが行くのは変な話じゃない。
でも、彼だってもがいていた。
失っても、失っても、それでも手足を引き摺りながらここまで来たんだ。
だから失って、抵抗もせずに落ちて行った彼が許せなかった。
「四年前、私達は今の貴方みたいに、失ったの。まだ、20しか生きてないのに。ただ純粋に世界の平和を願っただけなのに」
嘗ての仲間を想い泣く。
その中には、自分の最後の肉親も含まれているのだろう。
「貴方の知っての通り、あまり胸を張って言えないけど、それは一生忘れられないから。立ち向かうしかないの」
私は一回逃げ出したけどと自嘲した。
「ねえ、聞いてくれるかしら? 彼が貴方をそこまでしてあげる理由。ティエリアに怒られちゃいそうだけど?」
自分の存在理由を、失い続ける。
ヴェーダ。イノベイター。ロックオン。
彼まで失う訳にはいかないんだ。
自分と同じように、宿命に抗った彼女の為にも。あの人の為にも。
ティエリアは治りかけ、赤かった皮膚が青くなり、そして赤黒くなった肌を撫でた。
流石にまだ痛い。
ベッドに投げ出した体は、久し振りに冷めていた。
きっと久しく仲間を失ってなかったから。もしも自分が気付けていたのなら、今はきっと変わっていた。
くよくよするなと彼が笑うが無理です。
僕は人を励ます方法を知りません。癒し方を知りません。
教えて欲しかった。
「何だ、居るんじゃねえか」
声がして驚いた。
でも、違うと直ぐに理解した。
同じ声で、少し紛らわしいが、愛おしい。
「そんな目で見るなよ。今日はそんなつもりで来たんじゃない」
ティエリアは自分がどんな目をしていたのか気になった。
では、どんな用で来たんだと見上げるが、その表情から予測できるほどライルは分かりやすい表情をしてた。
「悪かった」
「何でですか?」
間を入れず訊くティエリアにライルは苦笑した。
スメラギから聞かされた彼の潜在。
生真面目で、何よりも強くて、何よりも弱い。真っ直ぐ過ぎて時に危うい。
四年前、既に兄は気付いていた。
彼女も彼に言われて気付いたそうだ。
「お前は強いよ」
今度は間を開ける。
これは予想外の言葉だったらしい。
「それはありません! 僕は貴方の指摘した通り、彼女をどうする事も出来なかった!」
そう来ると思ってた。
「んや、アンタは強いよ。俺が恥ずかしくなる位に」
ティエリアの眉が八の字になる。
首を捻って考えるが分からない。
「笑ってもいいんだぜ? 人間の弱いトコ丸出しだろ俺?」
しかし、ティエリアは首を横に振る。
今度は俺が分からない。頷いても良い筈だ。
「私は知っています、人は、素敵なんです。
だから、貴方も素敵な人間なんです」
性格をそのまま表したような真っ直ぐな目線。
とても慈しむ様に俺を見るものだから、彼は本当にそう思っているんだろう。
彼はズタズタになっても、もがいても人間でありたいと思う。
今の俺みたいに弱くて、脆くて。とても歪んでいて。
それだから、全て決められて生まれて来た彼からすると魅力的なんだろう。
「兄さんにでも教えて貰った?」
まさか俺からその単語が出てくるとは思ってなかったティエリアは意外そうに目を見開く。
しかし、直ぐに笑うのだ。
「はい!」
笑うと、とても可愛らしかった。
彼の笑顔は、案外子供っぽかった。
そこら中にいる人間と同じだった。
「あ、笑いました」
ティエリアに指摘されて気付いた。
「でも涙を流すと言う事は笑ってないと言う事になるんでしょうか?」
泣き笑いと言う物は教えて貰っていない様だ。
どこかまだ幼い。
その危うさ、彼女にほんの少しだけ似ていて胸が詰まる。
「それでも、お前は死ぬとか言うんだよな?」
「ええ、僕はイノベイターですから」
人間になりたくても、僕はやはり試験管から生まれた疑似人間。貴方達に剣を向ける可能性がゼロじゃないと分かってしまったから。
そんな悲しい事を言うものだから、ライルはやり切れなくなる。
彼女も生きていたら、同じ事を言うのだろうか? 自分も殺せと言うのだろうか?
そんな世界が寂しい。
傷付けてしまった頭を撫でると、これまた子供みたいに笑うものだから。
こんな綺麗な子が、死ななければならない理由なんてない。
ああ、彼女が死んで正解だった世界になってたまるものか。
こんな悲しい存在を造り上げる理由を作ったのは、彼が素敵だという人間。
「なあ、アニュー。イノベイターは人になれるんだよな、分かり合えるんだよな?」
ティエリアは自分が必ず人間にしてみせる。
共に生きれる世界を。お前の望んだ世界を。全てのものが許され、生きれる世界を。
「あの世で同じ顔だからって浮気すんなよ、アニュー?」
ティエリアには、俺と彼女の誓いを果たす見届け人になって貰う。
----------------------
≪私は別にアニューさんの存在を否定はしませんが、扱いと言うかストーリーというか、それがちょっと尺が足りないんだと思うんですよ?≫
≪今後どう反映されて来るかが重要なんですよねー…≫
≪アンモビウム、花言葉は不変の誓いと永遠の悲しみ≫
私はティエリアとライルの関係がこうであって欲しいな……って言う。
自我を保つ為の方法は、餓鬼だった。
人でなしだった。
「ぅ……、いっ!」
床に崩れた体は無抵抗で、それが更に怒りを掻きたてていた。
「はぁー、はぁー」
今日も気が済むまで。
自分の気持ちが落ち着くまで。
沈黙が今日のそれが終わる合図だと彼は学んでいた。
ゆっくりと、よろけながら立ちあがる。
「あまり、顔を殴らない方がいい。刹那に今日指摘された。疑われているぞ?」
「は…? 何言ってんだよ……それ決めんのは俺だろ?」
紫の髪の毛を鷲掴むと、思いっきり壁目がけて投げる。
半無重力の体はまた無抵抗に流れ、壁がぶつかる音がする。
無重力に散ったのは赤い点。
ポタリ、額から一筋血が流れた。
「っ……」
「出てけ、誰にも見られんじゃねーぞ?」
こんなの歪んでる、可笑しい。自分が一番分かってるのに。
俺は、どうしてこんな可笑しな方向へ行ったんだ?
アイツから言って来たんだ。それがいつもの言い訳。
【僕を殴って構わない】
『お前が死ねば良かったんだ』
言ってしまうと、何とも心がすっきりした。
そして涙が流れてくる。
「…ぁ……」
「どうした、早く出てけ」
「すまない……頭が………」
出血した部分を押さえたまま、ティエリアが蹲った。
「おい……」
「だいじょ……」
ぶ を言う前に意識が途切れた。
遂にやってしまった。
人を急いで呼んで、診察すると軽い脳しんとう。
安心したが、それと同時にばれてしまったんだ、ティエリアと俺の関係が。
「喧嘩にしては、随分と貴方が勝っているわね?」
スメラギと、俺と、ベッドに寝たティエリア。
頭に包帯を巻いたティエリアが静かに眠るメディカルルーム。
実質、俺と彼女の二人きり。
さっきまで、緩く笑って見せていた顔が一気に引き締まった。
「貴方、ティエリアに何したの? いつから、何をしたの?」
言える筈が無い。
例え、ティエリアが許可したと言っても悪いのは俺なんだ。自分が一番分かっている。
「私の想像通りなのね……」
彼女からして見れば、きっとティエリアは弟みたいなものだろう。
このトレミーの母なんだろう。
「貴方、自分が何をしたか分かってるの?! ティエリアがこんなになるまで!!」
誰かに頬を叩かれたのは久し振りだった。
母親に叱られて以来。じゃあ、相当前だ。
ヒリヒリした。
自分は子供だな。我が儘な子供、現実を受け入れられない子供。
もっと殴ってくれ。
叱ってくれ。じゃないと割が合わない。泣く理由は叱られたからがいい。
後悔の涙なんてかっこ悪い。
「止めて…下さい」
第二撃に振り上げたスメラギの手を、白い手が伸びて来て抑えた。
「彼は……悪くないんです……」
「ティエリア!」
そう来ると思っていた。
彼は悪くない、言い出したのは自分だ。そう当然のように言うティエリアに対して申し訳なくて。
「自分が言い出したって………」
「戻ろうとした彼女を全力で救えなかった、自分もイノベイターでありながらこうして生きている。
でも、まだ逝く訳にはいかないので、今はこの程度と言う事で」
それは全て先日彼に浴びせた言葉。
スメラギが睨んだ。言い返す言葉も無い。それが真実なんだ。
真っ白なティエリアに、洗脳してしまった。
まだ覚醒し切ってないティエリアは、焦点が何処となく合わない。
着替えらせられた服。裾から覗いた腕には赤黒い鬱血。
いつも暗闇か小電灯だったから、こんな明るい部屋で見たの初めて。
痛々しくてぞっとした。
これの全ては俺がやったもの。
この前まで、彼女を優しく撫でていた筈の同じ手は、彼の身体を変色させていた。
彼女は嬉しそうに肌をピンクに染めたのに、彼は血の気の引いた青い顔で身体を引き摺るように寝台から降りた。
「まだ寝てなさい!」
「では、自室で寝ます」
寝る気なんてない癖に。
廊下を歩くティエリア。足取りは普段より若干遅くて、軸がふら付く。
誰もいない事を確認すると、ティエリアはやはり、俺に謝るのだった。
「すまない、貴方にいらない誤解を招いた」
どうやって育てば、こうなるんだろう。
泣いて、スメラギに言えばいいのに。
引け目を感じて、俺の虐待に耐えてたんじゃない。純粋にだったんだ、本気で言ってたんだ。
真っ直ぐ過ぎて、歪んだ俺が際立つ。
彼はこの生き方しか知らないんだろう。
だから、全てが終わったら、殺してくれても構わないなんて言えるんだ。
だから、彼女は俺から離れて行ったんだ。
でも、彼女と違うのは、彼は以前からイノベイターだと知っていたのに此処に居続けた。同胞を殺した。
「あの…?」
何時までも返答を返さない俺の顔を覗くティエリア。
「暫く会わないようにしよう」
やはり沸き起こる感情は、
『なら、なぜ彼女は行ってしまったんだ?』
『なんでお前はそうしていられたんだ?』
彼の存在を許せないでいる。またティエリアに手を上げてしまいそうだ。
「……了解しました」
暫く乱暴されずに済むのに、どうしてそんなにも悲しそうな顔をするのだろうか。
俺への同情は感じられない。ならどうしてなんだ、ティエリア。
「ごめんなさい、この前叩いちゃって」
彼女は、とても大人だと思った。
自分と大して歳も変わらない筈なのに。
人生経験の違い…だろうか。
彼女の部屋に呼ばれ、叱られる。もしくはマイスターから落とされるとばかり思っていた。
「貴方だって、ボロボロの状態だったのにね。うん、好きな人を失った時の心境と言うか、分かってる筈なのにね」
彼女も、自分と同じ境遇にあった事があるんだろう。表情で悟った。
「でも、だからと言ってティエリアに当たるのは頂けないわ。貴方だって分かってるんでしょう?」
声はまだ怒っていた。
許されようとは思わない。
「あれ以来、してません……会ってませんし」
スメラギだって、分かっていた。
アニューが死んだのはイノベイターと言う宿命。同じ宿命を背負った筈なのに生きるティエリアに憎しみが行くのは変な話じゃない。
でも、彼だってもがいていた。
失っても、失っても、それでも手足を引き摺りながらここまで来たんだ。
だから失って、抵抗もせずに落ちて行った彼が許せなかった。
「四年前、私達は今の貴方みたいに、失ったの。まだ、20しか生きてないのに。ただ純粋に世界の平和を願っただけなのに」
嘗ての仲間を想い泣く。
その中には、自分の最後の肉親も含まれているのだろう。
「貴方の知っての通り、あまり胸を張って言えないけど、それは一生忘れられないから。立ち向かうしかないの」
私は一回逃げ出したけどと自嘲した。
「ねえ、聞いてくれるかしら? 彼が貴方をそこまでしてあげる理由。ティエリアに怒られちゃいそうだけど?」
自分の存在理由を、失い続ける。
ヴェーダ。イノベイター。ロックオン。
彼まで失う訳にはいかないんだ。
自分と同じように、宿命に抗った彼女の為にも。あの人の為にも。
ティエリアは治りかけ、赤かった皮膚が青くなり、そして赤黒くなった肌を撫でた。
流石にまだ痛い。
ベッドに投げ出した体は、久し振りに冷めていた。
きっと久しく仲間を失ってなかったから。もしも自分が気付けていたのなら、今はきっと変わっていた。
くよくよするなと彼が笑うが無理です。
僕は人を励ます方法を知りません。癒し方を知りません。
教えて欲しかった。
「何だ、居るんじゃねえか」
声がして驚いた。
でも、違うと直ぐに理解した。
同じ声で、少し紛らわしいが、愛おしい。
「そんな目で見るなよ。今日はそんなつもりで来たんじゃない」
ティエリアは自分がどんな目をしていたのか気になった。
では、どんな用で来たんだと見上げるが、その表情から予測できるほどライルは分かりやすい表情をしてた。
「悪かった」
「何でですか?」
間を入れず訊くティエリアにライルは苦笑した。
スメラギから聞かされた彼の潜在。
生真面目で、何よりも強くて、何よりも弱い。真っ直ぐ過ぎて時に危うい。
四年前、既に兄は気付いていた。
彼女も彼に言われて気付いたそうだ。
「お前は強いよ」
今度は間を開ける。
これは予想外の言葉だったらしい。
「それはありません! 僕は貴方の指摘した通り、彼女をどうする事も出来なかった!」
そう来ると思ってた。
「んや、アンタは強いよ。俺が恥ずかしくなる位に」
ティエリアの眉が八の字になる。
首を捻って考えるが分からない。
「笑ってもいいんだぜ? 人間の弱いトコ丸出しだろ俺?」
しかし、ティエリアは首を横に振る。
今度は俺が分からない。頷いても良い筈だ。
「私は知っています、人は、素敵なんです。
だから、貴方も素敵な人間なんです」
性格をそのまま表したような真っ直ぐな目線。
とても慈しむ様に俺を見るものだから、彼は本当にそう思っているんだろう。
彼はズタズタになっても、もがいても人間でありたいと思う。
今の俺みたいに弱くて、脆くて。とても歪んでいて。
それだから、全て決められて生まれて来た彼からすると魅力的なんだろう。
「兄さんにでも教えて貰った?」
まさか俺からその単語が出てくるとは思ってなかったティエリアは意外そうに目を見開く。
しかし、直ぐに笑うのだ。
「はい!」
笑うと、とても可愛らしかった。
彼の笑顔は、案外子供っぽかった。
そこら中にいる人間と同じだった。
「あ、笑いました」
ティエリアに指摘されて気付いた。
「でも涙を流すと言う事は笑ってないと言う事になるんでしょうか?」
泣き笑いと言う物は教えて貰っていない様だ。
どこかまだ幼い。
その危うさ、彼女にほんの少しだけ似ていて胸が詰まる。
「それでも、お前は死ぬとか言うんだよな?」
「ええ、僕はイノベイターですから」
人間になりたくても、僕はやはり試験管から生まれた疑似人間。貴方達に剣を向ける可能性がゼロじゃないと分かってしまったから。
そんな悲しい事を言うものだから、ライルはやり切れなくなる。
彼女も生きていたら、同じ事を言うのだろうか? 自分も殺せと言うのだろうか?
そんな世界が寂しい。
傷付けてしまった頭を撫でると、これまた子供みたいに笑うものだから。
こんな綺麗な子が、死ななければならない理由なんてない。
ああ、彼女が死んで正解だった世界になってたまるものか。
こんな悲しい存在を造り上げる理由を作ったのは、彼が素敵だという人間。
「なあ、アニュー。イノベイターは人になれるんだよな、分かり合えるんだよな?」
ティエリアは自分が必ず人間にしてみせる。
共に生きれる世界を。お前の望んだ世界を。全てのものが許され、生きれる世界を。
「あの世で同じ顔だからって浮気すんなよ、アニュー?」
ティエリアには、俺と彼女の誓いを果たす見届け人になって貰う。
----------------------
≪私は別にアニューさんの存在を否定はしませんが、扱いと言うかストーリーというか、それがちょっと尺が足りないんだと思うんですよ?≫
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実家に帰りたい盛り
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見ての通り
自己紹介:
只今実家を離れて就職中(東北出身)
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
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