ごみ箱連載も、後ちょっとの我慢…

もうすぐです、
A good medicine tastes bitter 6

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「あれ？　アニュー、ティエリアはどうした？」

「それより、ライル、その……」


分かる、分かるわ。
近付いて来てる。貴方がこちらへ。この人の元へ。



さようなら、人間のティエリア。



「ロックオ………」

声がしたタイミングで。


「ライルっ」

彼が振り返る前にその体を押さえ込んだ。
ティエリアから見れば、きっと抱き合ってる様に見えるのだろうけど。


さあ、壊れて頂戴？
貴方の大好きなロックオンが、最近出会ったばかりの女と抱き合っているのよ？



「あ、アニュー？！」


ライルが、自分の名前を呼んだ瞬間にだ。


ガダン。
ティエリアが崩れたのが分かった。




「あっ……ぁあ………」




「ティエリア？！」

ライルが気付いて名前を呼ぶがもう遅い。




「や……いやだぁ………」


ハタハタと涙が床を濡らす。


「そ、な……ロックオン………」


震えながら見上げるティエリアは酷い顔をしていた。
まるで親に捨てられた子供よう。

貴方の親は、ヴェーダの筈なのに。


目を見開くティエリアに、黒い笑みを返した。


「……っ！」

ひゅっと息を吸うと、ガタガタと震え始めるティエリア。



「ティエリア、おいティエリア！」

様子がおかしいティエリアに駆け寄るライルは、たった今自分に抱き付かれていた事を忘れている様
。


当たり前、ティエリアが壊れているのだから。



「くるなぁ……、うそつき………、裏切りもの……」

立てない足を引きずりながら後退する。
零れる涙が、次々と制服を変色させていく。


「あんなに……私に……、うぅっ…ぁ…」


ニールと何を約束したのだろう？
またもや予想外だった。こんなに、壊れてくれるなんて。




「うぁ……、っく………、いっ…！」

頭を押さえ、崩れてゆく今までの自分と最後の葛藤。
勝つのは勿論、本能。

「ティエリア？！」


悶えるティエリアにライルが背中に手を伸ばそうとした。



「うぁああああ！」

パシン……。
廊下に乾いた音が響いた。

ティエリアがライルの顔を叩いた音。


「っくふ」
笑いを、抑えるのがやっと。




「人間の癖に……、触るな………私に………」

ドスの利いた低い声にライルがビクッとなる。
こんなティエリア、見た事が無かったから。


「ティエリア……？」


おかえりなさい、ティエリア・アーデ。



しかし、何故だかティエリアの涙は止まらなかった。