こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです!
見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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もう少しの我慢。
A good medicine tastes bitter 5
「最近、やっと顔色が良くなってきましたね?」
「その様だ」
返答が前に比べて味気ない。
探りを入れる。
「気分は、どうですか?」
「酷く、冴えている」
口角が上がった。
「礼を言う」
いいえ、お礼なんて要らないわ。
その内、全ての感覚が支配され無くなる。
意思を支配され、殺され、残るのはイノベイターの本能。
きっと貴方は月が恋しくなる。
なのに、だ。
中々感覚を、感情を、意思を手放そうとしない。
一瞬、再生のみを求める自分達のあるべき表情を見せるが、振り切ってしまうのだ。
もう完全に薬は全身に回っている筈だ。
ならなぜ、ティエリアは堕ちない?
----------
「かはっ……」
ティエリアは冷たい水で顔を洗った。
自分はどうしてしまったんだ?
戦う理由を失いそうになる。
一瞬でも、敵を全て殲滅させ様とした自分にゾッとする。
そうだ、こんな事をしている暇は無い。
スメラギに報告しなくては……。
澄み切った筈の頭は、何かと葛藤している。
楽になろうと思うと、全てを何かを持って行かれそうになる。
痛くはない。頭を、何かに押し潰される感覚。
この感覚から解放された後の自分は、思い返すと酷く冷たい人間なんだ。
あれは嘗ての自分と似ていて。
自分は決めたんだ。約束したんだ。
真の平和を、貴方の望んだ世界を。
たまに、その想いを忘れる自分が、許せないでいる。
----------
やはり此処にいた。
今日も愛機の整備をするティエリアを見付けた。
「ティエリアさん?」
「アニュー・リターナー……?」
振り返るも焦点が合わない。
「今日は凄いですね、敵の殲滅率90%超え」
「……当たり前の事をしたまでだ」
声に全く温かみを感じない。まるで機械から発せられた言葉の様。
時期が来た。
貴方の帰る時が。
「ティエリア、仲間が待っているわ。帰りましょ?」
「仲間……?」
「そう、貴方はもう分かってる筈よ? 誰が仲間か、さあ」
手を差し伸べると、ゆっくり、ぎこちなくも確実に手が伸びる。
「イノ……ベ……い………」
ティエリアに眠る潜在能力。貴方は再生の為の存在。
再生まで破壊してしまったら、私達の存在理由は無くなる。
思い出して、ティエリア、貴方のあるべき姿を。
「何してんだ?」
アニューは心の中で舌打ちをした。
まさか人が来るなんて。
暫くは整備用のハロしか来ない筈なのに。
茶色い癖毛が無重力で跳ねる。
「ロックオン……、ライル……」
「ようアニューにティエリア。お、アンタずいぶん顔色良くなったじゃねぇか」
心中とは裏腹に笑顔を作る。
「どうしたんですか?」
「いや、俺のハロいないかなーって」
「此処にはいませんでしたけど…?」
「そうか、ありがと。
……つか、どうしたティエリア? そんな固まって」
ライルの言葉でアニューははっとした。
さっきまで無表情だったティエリアの唇が震えている。
「私は…っ、何を……?」
「ん? どうしたって、ティエリア?」
ぐらりと体が地面に落ちて行くティエリアを見たアニューは、流石に顔を歪ませた。
後、もう一歩だったのに。
「はぁ…はぁ…っ」
しゃがんだティエリアに驚いたライルが近付いた。それはそうだ、つい先日まで体調が悪いとクルー皆が心配していたから。
「げほっ、かっ…! っく…!」
苦しそうに息を吸うティエリアの背中を擦る。
どうして突然、我を取り戻したのだ?
本能を抑えられるほどの何かが、あるんだ。
しかし、直ぐにアニューはそれが何か分かった。
「ロックオ……、はぁっ……ぅ……」
「ティエリア、しっかりしろ! 熱もあるじゃねぇか!?」
「ロックオン……、わた、し…は」
ポロポロと涙が零れる。
涙を流すなんて、まるで人間ではないか。
ああ、成程。
ロックオン・ストラトス。
それがこの子の最後の要。我を保てる最後の砦。
ライルから瓜二つの兄を想っているなんて直ぐに分かる。
「ごめんなさい………、私は、誓ったのに、貴方の望む……」
わっ、とライルが声を上げた。ティエリアがライルに縋る。
「ロックオン……、ロックオン……!」
ロックオン・ストラトス、いいえニールはそこまでティエリアを人間臭くしてしまったのね。
死んでも尚、自分達を邪魔する。
もう一握りしかない人間臭いティエリアは、亡き面影を見て必死にイノベイターと言う運命に抗おうとする。
自分も、こうなる事があるかもしれない。このティエリアを目に焼き付けておこうと思うアニュー。
これがイノベイターである者の最悪の姿。
「おい! アニュー、何してんだ、ティエリアを部屋まで運ぶぞ?!」
ライルが叫ぶ頃には、ティエリアは意識を手放していた。
----------
『随分、手間取ってるみたいだね。アニュー』
『あんなに感化されているなんて予想外だわ』
『なら、そのロックオンも殺しちゃえば? 僕は早くティエリアに会いたいんだ』
『そしたらあの子、本当に精神崩壊しちゃって使い物にならなくなっちゃうわよ?』
横に眠るティエリアを見た。
これ以上薬を投与したら、本当に動物の様に反射で生きる下等生物にまで落ちてしまう。
だが、このままいつまでもCBにいられたら困る。
『精神崩壊……』
精神の崩壊はつまり意思が消える。
ああ、そうか。それで無理やり本能以外を殺す。
『リジェネ、リボンズに伝えておいて。傷なしで手に入れられるほど、イノベイターは簡単じゃないと』
アニューはティエリアを置いて部屋を出た。
----------
「んぅ……っつぅ……」
重い頭を押さえながらティエリアは体を起こした。
記憶が、ぼやけてる。何をした、自分は。
「ロックオン…?」
その単語が急に出て来た。
しかし、その単語を発した瞬間、視界が一気に開け、自分が今どう言う状況か把握できた。
「アニューと、……それからライルと……?」
断片的にしかない記憶に苛立つ。
体調が良くなったと思った矢先、また倒れたのだろう。不甲斐ない。
彼に、申し訳ない。
そう長くは寝ていない筈だ。
廊下を出てから当てもなくさ迷う。無意識の内に何かを探していた。
見付けた。緑色の制服。無意識の内にだ、無性に会いたくて。
「ロックオ………」
話し掛けた背中に、ティエリアの心臓は大きく波打った。
A good medicine tastes bitter 5
「最近、やっと顔色が良くなってきましたね?」
「その様だ」
返答が前に比べて味気ない。
探りを入れる。
「気分は、どうですか?」
「酷く、冴えている」
口角が上がった。
「礼を言う」
いいえ、お礼なんて要らないわ。
その内、全ての感覚が支配され無くなる。
意思を支配され、殺され、残るのはイノベイターの本能。
きっと貴方は月が恋しくなる。
なのに、だ。
中々感覚を、感情を、意思を手放そうとしない。
一瞬、再生のみを求める自分達のあるべき表情を見せるが、振り切ってしまうのだ。
もう完全に薬は全身に回っている筈だ。
ならなぜ、ティエリアは堕ちない?
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「かはっ……」
ティエリアは冷たい水で顔を洗った。
自分はどうしてしまったんだ?
戦う理由を失いそうになる。
一瞬でも、敵を全て殲滅させ様とした自分にゾッとする。
そうだ、こんな事をしている暇は無い。
スメラギに報告しなくては……。
澄み切った筈の頭は、何かと葛藤している。
楽になろうと思うと、全てを何かを持って行かれそうになる。
痛くはない。頭を、何かに押し潰される感覚。
この感覚から解放された後の自分は、思い返すと酷く冷たい人間なんだ。
あれは嘗ての自分と似ていて。
自分は決めたんだ。約束したんだ。
真の平和を、貴方の望んだ世界を。
たまに、その想いを忘れる自分が、許せないでいる。
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やはり此処にいた。
今日も愛機の整備をするティエリアを見付けた。
「ティエリアさん?」
「アニュー・リターナー……?」
振り返るも焦点が合わない。
「今日は凄いですね、敵の殲滅率90%超え」
「……当たり前の事をしたまでだ」
声に全く温かみを感じない。まるで機械から発せられた言葉の様。
時期が来た。
貴方の帰る時が。
「ティエリア、仲間が待っているわ。帰りましょ?」
「仲間……?」
「そう、貴方はもう分かってる筈よ? 誰が仲間か、さあ」
手を差し伸べると、ゆっくり、ぎこちなくも確実に手が伸びる。
「イノ……ベ……い………」
ティエリアに眠る潜在能力。貴方は再生の為の存在。
再生まで破壊してしまったら、私達の存在理由は無くなる。
思い出して、ティエリア、貴方のあるべき姿を。
「何してんだ?」
アニューは心の中で舌打ちをした。
まさか人が来るなんて。
暫くは整備用のハロしか来ない筈なのに。
茶色い癖毛が無重力で跳ねる。
「ロックオン……、ライル……」
「ようアニューにティエリア。お、アンタずいぶん顔色良くなったじゃねぇか」
心中とは裏腹に笑顔を作る。
「どうしたんですか?」
「いや、俺のハロいないかなーって」
「此処にはいませんでしたけど…?」
「そうか、ありがと。
……つか、どうしたティエリア? そんな固まって」
ライルの言葉でアニューははっとした。
さっきまで無表情だったティエリアの唇が震えている。
「私は…っ、何を……?」
「ん? どうしたって、ティエリア?」
ぐらりと体が地面に落ちて行くティエリアを見たアニューは、流石に顔を歪ませた。
後、もう一歩だったのに。
「はぁ…はぁ…っ」
しゃがんだティエリアに驚いたライルが近付いた。それはそうだ、つい先日まで体調が悪いとクルー皆が心配していたから。
「げほっ、かっ…! っく…!」
苦しそうに息を吸うティエリアの背中を擦る。
どうして突然、我を取り戻したのだ?
本能を抑えられるほどの何かが、あるんだ。
しかし、直ぐにアニューはそれが何か分かった。
「ロックオ……、はぁっ……ぅ……」
「ティエリア、しっかりしろ! 熱もあるじゃねぇか!?」
「ロックオン……、わた、し…は」
ポロポロと涙が零れる。
涙を流すなんて、まるで人間ではないか。
ああ、成程。
ロックオン・ストラトス。
それがこの子の最後の要。我を保てる最後の砦。
ライルから瓜二つの兄を想っているなんて直ぐに分かる。
「ごめんなさい………、私は、誓ったのに、貴方の望む……」
わっ、とライルが声を上げた。ティエリアがライルに縋る。
「ロックオン……、ロックオン……!」
ロックオン・ストラトス、いいえニールはそこまでティエリアを人間臭くしてしまったのね。
死んでも尚、自分達を邪魔する。
もう一握りしかない人間臭いティエリアは、亡き面影を見て必死にイノベイターと言う運命に抗おうとする。
自分も、こうなる事があるかもしれない。このティエリアを目に焼き付けておこうと思うアニュー。
これがイノベイターである者の最悪の姿。
「おい! アニュー、何してんだ、ティエリアを部屋まで運ぶぞ?!」
ライルが叫ぶ頃には、ティエリアは意識を手放していた。
----------
『随分、手間取ってるみたいだね。アニュー』
『あんなに感化されているなんて予想外だわ』
『なら、そのロックオンも殺しちゃえば? 僕は早くティエリアに会いたいんだ』
『そしたらあの子、本当に精神崩壊しちゃって使い物にならなくなっちゃうわよ?』
横に眠るティエリアを見た。
これ以上薬を投与したら、本当に動物の様に反射で生きる下等生物にまで落ちてしまう。
だが、このままいつまでもCBにいられたら困る。
『精神崩壊……』
精神の崩壊はつまり意思が消える。
ああ、そうか。それで無理やり本能以外を殺す。
『リジェネ、リボンズに伝えておいて。傷なしで手に入れられるほど、イノベイターは簡単じゃないと』
アニューはティエリアを置いて部屋を出た。
----------
「んぅ……っつぅ……」
重い頭を押さえながらティエリアは体を起こした。
記憶が、ぼやけてる。何をした、自分は。
「ロックオン…?」
その単語が急に出て来た。
しかし、その単語を発した瞬間、視界が一気に開け、自分が今どう言う状況か把握できた。
「アニューと、……それからライルと……?」
断片的にしかない記憶に苛立つ。
体調が良くなったと思った矢先、また倒れたのだろう。不甲斐ない。
彼に、申し訳ない。
そう長くは寝ていない筈だ。
廊下を出てから当てもなくさ迷う。無意識の内に何かを探していた。
見付けた。緑色の制服。無意識の内にだ、無性に会いたくて。
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HN:
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HP:
性別:
女性
職業:
実家に帰りたい盛り
趣味:
見ての通り
自己紹介:
只今実家を離れて就職中(東北出身)
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
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