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こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです! 見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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続き。

「その子、怪我人なんだからね、しっかり抱いてなさいよ?」

「ならもっと安全運転でお願いします」

ティエリアとロックオンは後部座席に座っていた。




彼等は何処へ向かっているのだろう?
何故そんなに焦っているのだろう?
どうして自分も一緒なのだろう?

そんな疑問、もうどうでも良いと思ってしまうと直ぐに消える。
ああ姉さん、今姉さんは何をしているんだろう?





【GOOD-BYE HALCYON DAYS-3】







「悪いな、驚かせたろ?」

自称、ライルの兄だと名乗る人物は眉を八の字にして笑った。



「さっき、お前さんの話聞いたからな。お礼ってか、お相子ってか、今度は俺の事話すよ。
気になってるだろ? 俺はさっきニールって言ったのに、みんなロックオンって俺を呼ぶの」


確かに、そこは特に興味は抱かないが、理由は知りたい。
運転するスメラギが「本名教えたの?!」と驚いていた。



「ミス・スメラギの言う通り、ロックオンは俺の仕事する時の名前」

「仕事?」

「そ。ヒットマンの時の」


ヒットマン。
暗殺者。

金さえ払えば依頼主の消したい相手を確実に消す。



「あれ? 驚かないね?」

「いえ、昨晩の事に納得がいって……」


拳銃を持っていた事も納得がいく。


「俺もさー、小さい時両親亡くして孤児でさー……。俺もどうにかして弟を食わせて行かなきゃいけないって思ったんだ」

「で、この職業を?」

「ははっ、職業に分類されるかどうかわかないけどさ」


ニールは、この子はどこかずれているな、と思っていた。反応が薄いし、この状況下にしては落ち着き過ぎている。
一度は死のうと思った身、もうどうでも良いのからかもしれないが。



「元から才能あったのかもしれないけど、結構腕が良いって有名になっちまってな。あ、勿論裏社会で」

冗談っぽく言ってみるが全く笑わない。


「……一発当てりゃあ、大きな金が入るからな。別々の孤児院に引き取られた俺は、あいつも俺みたいな危ない道に進まないよう、生活に困らない金を送ってたんだ」

「人を殺して手に入った金なんて、堂々と渡せませんものね」

「言ってくれるな」


そう言えば、名前を聞いてなかった事に気が付いた。


「お前さんの名前は何て言うんだ? 俺はさっき言ったけど、仕事上はロックオン・ストラトス。本名はニール・ディランディ。好きな方で呼んでくれ」

「ここではロックオンと呼んだ方が貴方に都合が良いんでしょう?」

「勘が良いなお前は。ドラマの見過ぎだ」


ティエリアはそんな世界が本当に存在していたんだと、まるで他人事の様に聞いていた。
そんな社会、もう消滅したと思っていた。

今度は自分が教える番だ。


「ティエリア・アーデ」

「綺麗な名前だな」

「姉さんが付けてくれたんだ」


まるで姉さんが誉められた様でティエリアは嬉しくなった。



「じゃあティエリア、お前さんは兄がこんな世界で生きていてライルを蔑んだか? 姉さんに相応しくないと思ったか?」

「そんな訳ありません。貴方は貴方だし、姉は本当にライルを愛していた。今更そんな理由で姉から幸せを奪う気は無い」


寧ろ、姉を幸せにする存在を陰から支えてくれてたロックオンに感謝を覚えた。



(やはり、ライルはティエリアの幸せを奪ったのか……)

弟の存在が、こんな子供を死に追いやったのか。





「はい、話はそこまで。着いたわよ、降りて。
あ、私はスメラギ・李・ノリエガ、よろしくね?」

振り返り軽くウィンクして見せる。



「立てるか?」

「はい……あ」

どうしたとロックオンが顔を覗く。

「服、違う……」

「あ、悪い。お前さんの服、血がベットリでな。とりあえず俺の着替え着せといた。…ってか今気付くのかよ」


ロックオンに笑われた。
勝手に笑ってれば良い、邪魔臭いと袖を折って長さを調節した。


「そこの建物に入って。モレノさんの顔は分かるわよね?」

「金髪の…」

「そう、その人」


ロックオンに「逃げるなよ」と釘を刺される。
逃げるなんて事はしない。面倒だ。

自分は見てはいけない裏社会の一部を見たんだ。
ほっといてもきっと殺される。その方が都合が良い。

フラフラと言われた建物にティエリアは入って行った。
















ティエリアを車から降ろした二人は、宿舎に使ってる一見廃墟の様な建物の一室で寛いでいた。


「貴方もへまをしたものね」

「言わないで下さい……」

本当にあそこにティエリアがいなければ自分はあの時死んでいた。



「それにしても良かったじゃない、弟さん、幸せそうじゃない」

「ええ、本当に」


嬉しかった。
あの日以来、俺達は幸せなんて二度と手に入れられないと思っていたから。

ヒットマンをやっている自分には当然訪れない事だが、弟は普通に生活している人間だ。
なれて当然。


でも、弟が幸せになった事で、あの子が不幸になったと思うと心から嬉しく思えない。




「凄い運命ね、貴方達」

「え?」

スメラギが立ちあがった。


「たまたま追い詰められた場所と、たまたま死に場所に選んだ場所が同じ且つ同じタイミング。
その二人の兄弟が結婚してた……」


スメラギは車で交わされる会話で、何となく悟っていた。
この二人の歪んだ関係。


「面白がらないで下さい……」

「で、貴方、あの子どうするつもり? このまま怪我が治ったから家に帰りなさいって言っても、素直に帰らないんでしょ?」


何をするかと思ったら、冷蔵庫からビール瓶を出す。
飲むかと、ソファーに座るロックオンに勧めるが断られた。



「貴方、昨日一人取り逃したわね?」


一人…、多分一人目だ。怪我で急所を狙えなかったんだ。


「そのお陰でティエリア…だっけ? ちょっとした有名人よ」


撃たれて朦朧とする意識の中、俊敏に走るティエリアを目撃したのだ。
不幸中の幸いは、その人物の記憶があやふやな事。

あくまでも噂程度だと言う。



「僕が、どうしたんですか?」


有り得ない声。
振り向くとブカブカの服を着たティエリア。


「ティエリア?! どうしたんだこんな早く?!」

「何をするかと思ったらただの採血だ」


ドクターに此処だと送られて来たらしい。
ただ単に、自分の家にある機材で調べたいから足を運ばせただけの様。

それよりも、あんな怪我をしていながら、どうしてこうも歩けるのだろう?
ロックオンの記憶だと、あれは致死量だったから。


「よくこの部屋にいるって分かったな……」
「貴方達の声がしたので」


まただ。こいつは果たしてただ耳が良いだけなのだろうか?
昨日の銃声の聞き分けと良い、こいつのはただ単に耳が良いだけじゃ済まされない様な気がする。



スメラギもティエリアの顔をまじまじと見る。

「ふーん、やっぱり普通の子供にしか見えないけど。そんなに凄い速かったの?」

「まあ…俺の見た分ですけど……」


確かにそうだ。
この細い手足に、そんな動きが出来るような筋肉は見当たらない。


「そんなに凄かったんですか、僕?」

「ああ、凄かった。前からあんなに凄かったのか?」

「知りません……、あの時はただ…ライルが殺されると思ったから……」



ティエリアだって、その時の事はよく覚えていない。

火事場の馬鹿力ではないだろうか?
人間が本当に死の直面に立ったら、脳がミリッターを解除するあれ。


本当にライルだと思ったんだ。

(姉さん、心配してるだろうな……)

窓を見ると太陽はそろそろ真南を指す時間帯。

もう昼だ。流石に家に僕がいない事に気が付くだろう。
自分の部屋が空になっている事にも気付くだろう。





「で、その子、本当にどうするの? 貴方が巻き込んだのよ? どう始末する気?」


始末する気?
ティエリアはやはり自分は殺されるんだと思った。


「分かってますよ」

頭を掻くロックオンの前にティエリアは来た。


殺すなら、出来れば死体は目立つ所に置いて欲しい。
そう言おうと思った。



「ティエリア、俺が責任を持つ」


相手の方が早く口を開いた。


「どう言う、意味ですか?」


「あーら、やっぱりそう来るのね!
家賃2人分は来月からでいいわ、サービスしてあげる」

「マジですか?!」


自分の話を聞いてくれない。
ティエリアはイライラが止まらない。殺すなら、早く。


「ミス・スメラギは此処のマンションの管理人なんだ。さ、俺の部屋に案内する」

「触るなっ!」

何をするかと思えばいきなり手を引く。


「何をする気だっ!」

「……だから、俺が責任を持って……」

「それが分からないと言っている!」


いらない、責任とかいらない。
もっと無慈悲になってくれ。


「貴方は自分の弟の所為で僕の居場所がなくなったとでも思っているのか?!
ああそうだ! ライルさえいなければ僕は姉さんとずっと一緒に入れたんだ! でも…、あんなに嬉しそうな姉さんは見た事無かったんだ……、僕なんか忘れて、幸せになって欲しい………」

僕はいつも姉さんを困らせるばかり。

「だから、憎いけど、感謝してる……貴方に。ライルに仕送りしてくれて……」

「死ぬと言うのか?」

「ええ、そのつもりです」


物凄くロックオンが悲しそうな顔をして、その哀れむ様な瞳が無性に腹立つ。





「っもー、男ってコレだからやだわ。退きなさい、役立たず」

ロックオンの前に割って入り、スメラギがティエリアの前に来る。


「貴方、私の手伝いとしてここで働かない?」


何を言われると思ったら。
ティエリアはこれには驚いた。

ライルの兄だと言われた時よりも、昨日の自分の事を聞いた時よりも。
予想外過ぎた。


「はた…らく?」

「そう。もうどうせ家に帰りたくないんでしょ? なら、そこにいる馬鹿みたいにお姉さんに仕送りしなさい。コッソリと送る方法教えてあげるから」


ティエリアの目に、少し輝きが戻ったのを見逃さなかった。


「普通に働けば足着いちゃうけど、此処は完全に見付からないわ。
今から偽名使って生きて行こうとしても、行くあてもないし方法も知らないんでしょ?」


姉の為に陰で働く。
そんな考え、ティエリアは考えた事無かった。


「お金はいくらあっても邪魔にならない。そうでしょ?」

「ミス・スメラギ、それじゃあ!」

まるでティエリアはいらないが、と言っている様だ。

「黙ってて、今私はこの子と取引してるの。
……嘘は言ってないわ。さあ、どうする?」


姉さんに仕送り……。
金はいくらあっても困らない。

此処にいれば一生見つからない。


「働かせて下さい」

「ティエリア!」


姉さんに、せめてもの恩返しを。
これからの二人の生活に当てて欲しい。


いつか一軒家を建てよう。子供は3人欲しいな。いつかお前が働かなくても良い様に出世してみせるさ。
二人の会話を思い出す。



「良い目よ、ティエリア」

意志を固めたティエリアからは死なんて言葉、もう連想できない。

そうさせた理由が酷く悲しくて、提案した本人であるスメラギは胸が痛かった。






「ちょっと、ミス・スメラギ! ここで働かせるって…!」

「もう、煩い。ちょっと来なさい」

未だにぶーぶー言うロックオンの耳を引っ張る。
部屋の隅に行った二人を不思議そうにティエリアが見ていた。




「この子、帰れって送っても自分で死に場所また探すんでしょ?
なら上手く丸め込んで、生かして、いつか考え変えさせた方が貴方は嬉しいんじゃないの?」


スメラギは笑って見せた。


「あっありがとうございます、ミス・スメラギ!」

「あはは、良いのよー。良い客寄せだわ。ウチには美人さんがいるって」

「………」

それが冗談かどうか見分けがつかなかった。




「あの……?」

「あー、何でもない。じゃ、とりあえず部屋に案内して貰いなさい。詳しい事は同じ部屋のロックオンに聞きなさい」

「はい」


『同じ部屋』、その言葉をロックオンは聞き逃さなかった。


「待って下さい! 俺の部屋ですか?!」

「貴方が責任もって部屋で預かるって言ったんでしょう」

「雇ってるの貴方でしょう?!」

「男は一度行った事を曲げない! あ、ティエリアは明日から出勤ね」

「まっ! 家賃は?!」

「勿論貴方持ちよ。あの子、多分一円たりとも自分には使わないだろうから」

「ええええええ?!」




口論する二人の傍ら、ティエリアは姉を思っていた。

姉さんの生活が少しでも楽になるんだ。
僕もやっと姉さんの役に立てる。

嬉しいよ。
僕の幸福なんていらない。どんな仕事でもこなしてみせる。

姉さん、今幸せですか?


--------------------
≪続きます…いつかやります……≫
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自己紹介:
只今実家を離れて就職中(東北出身)

A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。

映画終わってもまだまだ熱いもん!


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