こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです!
見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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GW、実家帰る前に、放っておいたのを。
ラノベみたいなタイトル最近好きなのです。
それにしてもラスト詰んだなー……しゅうん(・ω・`
視点コロコロ変わります。
沢山改行で視点変わってます。
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「どう言う事だ? 責任を取れ」
どうしてこうなったのか訳が分からない。
自分がCBに入った事に後悔はしていないが、ちょっと色恋が無さ過ぎる。
普通の会社じゃないんだから、言うならそこら辺の軍よりお堅いんだろうなー、とは考えていたが。
だからって、欲求は何もしてなくても生まれて来るもので。お洒落を知らないフェルトに可愛い服を選んであげたり、オフの日は軽い化粧をしてあげたり。
そう、それと同じ感覚で言ったのだ。
だって、みんな中々の容姿なのに、勿体無いじゃない!
『えへへー、ホントに美人さんだねー』
だって、みんな第一印象そう思ってるじゃない!
『え? 嘘じゃないよ、馬鹿に何てしてないし!』
だってだって、こんな美人さんでしょ?
『さぞかしおモテになられるのかと』
だってだってだって!
『多分ねー、ティエリアに落とせない人はいないと思うよー? うん、そう!
絶対恋に落ちない人はいない!』
「どういう事だ、クリスティナ・シエラ。全く彼は俺に落ちないぞ」
3ヶ月後、勿論私は忘れていた訳だが、彼はしっかり覚えていて、
3ヶ月後、クレームが入りました。
「あー、言ったなぁ私」
思い出しました。
会話も一字一句ほぼ違わず全部思い出しました。
「俺は貴様の『俺に落とせない人はいない』と言う言葉を信じて実行して来た。だがどう言う事だ? 全く落ちて来ない」
アレは本気で思っている事だったが、相手も本気にしてしまったのは予想外だ。
アレは女子特有の『○○ちゃんモテるでしょー? えー、ウッソだぁ☆』みたいな奴でして。
「な、何ででしょうねー………あははは」
は。
カチャ
「おおおおお落ち着こうよティエリアちゃん!」
「お前が落ち着け。後“ちゃん”を付けるな。
俺はこの3ヶ月間、しなければならない訓練・データ収集・他のマイスターの監視を放棄してまで、彼となるべく一緒にいる様にした。なのに全く、寧ろ他の奴の方に傾いている様にさえ思う。どう言う事だ?」
もうこの直ぐ銃を抜いちゃう癖、誰か治してあげてー!
てゆーか訓練とか放っぽっちゃダメ!
ああ、こんな事で私は死ぬの?
いやいややだやだ。
……ん? 待てよ。
逆に捉えれば、誰かと誰かのキューピッドになれるじゃない!
私、そう言うの大好きじゃない!!
この中からカップルが生まれるなんて、面白いじゃない!!!
「わ、分かりました……クリスティナ・シエラ、自分が言った言葉には責任を持ちます!」
「は? ティエリア?」
「そうそう、ティエリアって性格はああだけど、かなりの美人じゃない? どう思ってるのかなーって」
(ティエリアも、予想外な人物を好きになったものねー……)
物静かな人が好きかと思ってたのに。
「まあ、俺からしてみたら、刹那もティエリアも一緒だけどな。手間の焼ける弟みたいな感じかな?」
ロックオン・ストラトス。確かに悪い男じゃない。
でもティエリアはこう言う『世話を焼くのが好き』な性格の人物は嫌いかと思っていた。まあ、自分も大概だが。
突然聞くのも怪しまれるかと思ったが、日頃の立ち振る舞いが幸いして疑われる事なく聞き出す事に成功していた。
そうか、出会って間もない頃、『スメラギさん、凄いセクシーじゃないですか? どう思ってます?!』と直撃した事があった様な。
「ホント、クリスはこう言う話好きだなぁー。
んー、例えば、美術館に行くとするだろ?」
「うんうん!」
「そこで、中世の絵が飾られているとする。凄い美人さん達の絵が飾られているだろ?」
「うんうん!」
「綺麗だなーとは思うけど、抱きてーとは思わないんだろ?」
「…………」
「そう言う事」
ごめんティエリア……、ティエリア美術品レベルらしいです。
「クリス…?」
「あっ、えっと」
「ごめんな、ご期待に沿えなくて」
謝るなら、努力して来たティエリアに言って欲しい。
私の言葉に後押しさせて、気付いて貰おうと頑張って……。
「……そうよ、良く考えたら、私の言葉を信じてアタックしてきたのよね…!」
「ん? 何だってクリス?」
「最低! 鈍感! 女の敵よ!」
ティエリア男だった気がするけど。
「はぁ?! 何だ突然?!」
「私の可愛い妹を泣かせるなんてサイテーよ!」
ティエリア男だった気もするし、泣いてもいないし、勝ってに妹にしちゃったけど。
「クリス、どうしたんだ突然? つか妹って誰?! 可笑しいぞ何か!」
「可笑しいはアンタの頭よバカー!!!」
「ヤバい……、私ったら、ついつい感情的に………」
「本当に、君は何と言う事をしてくれるんだ…!」
私とティエリアと言う、傍から見たら何とも稀な組み合わせ。
使われていないブリーフィングルームで先程の報告をしていた。
「おおお怒らないで銃仕舞って!!!
みゃみゃ脈はあった! 脈アリよ!!」
「みゃく…?」
ティエリアを嫌っていない事は伝えた。
でも、
「………あの餓鬼と同レベルの扱いとは……」
「ガキって……駄目よ、そんな汚い言葉使っちゃ!
嫌いじゃなかったんだから、まだ可能性あるかもしれないじゃない、いいえ、絶対あるわ!」
「だが……ずっと傍にいても、刹那と変わらないんだぞ…?」
『おっ』と、ちょっとドキンとしてしまった自分がいた。
(くぅ、可愛い、今の表情可愛い…!)
ちょっと羨ましいじゃないロックオン、こんな美人を振るなんて。
「クリスティナ・シエラ…?」
「あっ、ごめん! えっと、何だっけ?」
「その……ひょっとして、もう既に彼には恋人、若しくは妻がいるのではないか…?」
「えええ?!」
この驚きは、ティエリアの弱気発言があまりにも珍しくて。
「何をそんなに驚く。あり得るだろう。そうでなければ俺に落ちて来ない理由が分からない」
「………」
「どうした、クリスティナ?」
何ともナルシストな発言ではあるが、ティエリアは許されるから恐ろしい。
そもそも、ティエリアって、案外人の言葉をスッと受け入れちゃうのね。
他人なんか信じない様な立ち振る舞いな癖して、実は何でも直ぐ信じちゃう。子供みたい、妹みたいに、してあげたくなっちゃうじゃない。
「分かった! 聞いて来る!」
「は?! ちょっと、おい!」
「クリス……お前も随分忙しい人だよなー……」
「さ、さっきは……スミマセンデシタ……」
「いや、いいよ気にしてない。で、今度は何のご用で?」
本日二度目の対面。気にしてないと言いつつも、さっきより若干距離を置かれてる気が……。
「直球で聞くね…! 恋人はいますか?!」
「なっ…! どうしたんだ今日は?!」
「いーから答えて! じゃないと私殺されちゃう!」
ティエリアに。
「殺されるって……、い…いないけど……?」
「妻も含めてで!」
「つつつ妻?! いない、いない、いない! いる訳ないだろ?!」
フッと肩の力が抜けた。これで安心……?
「違う! まだじゃん!
好きな人は? 片思いの相手とかいる?!」
「そ、それは………」
えーーー!
……でも、ロックオンもまだ私達と同じ20代……。
そりゃ恋の一つや二つ………あのティエリアだってこの男に恋してるのだ。
「それより、クリスどうしたんだ今日は…? お前悩んでるっつーか病んでないか…? 俺相談乗るぞ……?」
「えっ?!」
悩みと言えば、背筋がスースーするの。
常に銃口が私の背中を狙っているの。
「なっ、ないないないよ!!」
「そうかぁ? まぁ、ここは個人情報一切口外禁止だからなー。色々あるんだったら、俺に話せよ? 俺はそう言うの気にしてないからな」
おおおおお。
これは確かに惚れるなー。
ティエリアだったら怒りそうな事言ってたけど、確かに『優しい男』の鏡だ。
「クリス?」
「あっ、ごめん、ありがと。それじゃ私行くね!」
ティエリアに伝えなきゃ。
「あ……ああ………って行っちゃったし……」
ティエリアの事どう思ってる?
恋人いる?
結婚してる?
片思いの相手いる?
ティエリアか……。確かに思い返してみればここ数ヶ月、部屋が違うのにいつも一緒に行動していた気がする。
それが気になっている…?
気にしている?
「……まさか、クリスティナっ……!」
勘が良い男は、胸が一瞬高鳴っていた。
「ティエリア、やりましたー! ロックオンには恋人も婚約者もいませんでしたー!」
「君は本当に年中お祭りだな」
テンションの高さで大概悟ったが。
「で、で、で? どうする?! ティエリアちゃん!」
「………ど、どうとは…?」
「待ってちゃ駄目だよ! もうロックオンにアタックしちゃおう! あんな優しい良い男、他にも狙ってる人がいるかもしれないじゃん! 盗られる前にゲットしなきゃ!」
「では! 彼には好意を抱いている相手がまだいなかったと言う事か…?!」
あ……。
「……いたのか?」
「ええっとですねぇ、その質問したら、見事に濁されちゃいまして………えへへ」
カチャ
「もぉぉ! 止めて人に銃向けるのを!」
「話が違うではないか。貴様は『一緒にいるだけで』と言う話ではなかったか?」
「ふえぇ、そうですけどぉ……」
だって! 普通に惚れるでしょう! この容姿!!
「ほ、ほら! 高嶺の花って言葉あるじゃない!? きっとロックオンもきっと『自分じゃ手が届かないー』とかで弟止まりなのかもしれないよ! 告白したら、案外『実は俺も』ってなるかもしれないじゃん!!」
生命の危機になると、私はこうも饒舌になれるのか。
……何だか元からこうだった気もするけど。
目の前に突き付けられた銃口が、不意に下を向いた。
「……無理だ…、そんなの」
これは拍子抜け。
あのティエリア様からこんな弱々しい発言と声色。
「3ヶ月間、ずっと好意を抱く様、傍にいて、接触して来たのに、弟止まりだぞ…? 正直、自分ではもう相手側に僕の好意がばれているのではと考えてさえいた……」
余計な人との関わりを避けるティエリアが、自分から積極的に近寄って来たら………それはきっと、と気付く筈だ。
ティエリアにとって、その行動その物が愛の告白なのだ。
「貴様が……貴様が、落とせるって言うから………こんなにも自分に期待してしまった……信じてしまった………馬鹿じゃないか……。
こんな苦しいの……私は知りたくなかった………」
ピシャアアアアン。と私の脳天に雷が落ちた。
(ティティティティエリア泣かしちゃった私いいい!!!)
ボロボロと涙を零す姿は、予想以上に幼い姿で。
「ごめんね、ティエリア……うぁぁぁぁ」
「な…で、君まで…ひっく、泣くんだぁ……」
「だってティエリアかわいそ過ぎるじゃない~。私の所為でっ…、辛い思いして……ふえええええ」
思わず抱き締めたが、背中に腕を回して来て安心した。
私が蒔いた種だ、私が、責任を持たなくちゃ。
私はティエリアに言ったもの。『自分が言った言葉には責任を持ちます!』と。
「思わず慰めちゃったけど、異様な光景よね、これ……」
独り言が虚しく部屋に響いた。
独り言とティエリアの寝息のみの世界。
そう、子供の様に泣きじゃくったティエリア。
私も相当泣いたが、ティエリアもまあ泣く事。それはもう一生分に匹敵する。
気付くと胸の中で眠っちゃって。
異性とこう言う光景は何とも誤解を招きそうだが、ここは自分の部屋。まあ良いか…と。
(だって、本当に子供みたいに泣くんだもん。美人って泣いても可愛いのよねー、不思議)
フェルトに続いて妹第2号をゲットした気分。
(良いじゃないティエリア、失恋したって。うんと私がお洒落さんにしてあげて、ロックオンを見返してやりましょ)
起きてしまうから声には出さないが、私はティエリアに誓った。
(でもティエリア、私の服、そろそろ離してくれないかなー? 今日の分の仕事、片付けてなかったりするのよねー……)
あー、でもこの寝顔もう少し眺めてても良いかなぁ……。
きっと超レアじゃない、ティエリア今どんな夢見て―――
「何やってんのクリス」
聞き覚えがある声がして、恐る恐る、ゆっくりゆっくりと首を回すと、やはり、スメラギがいた。
「ご……ごきげんうるわしゅー……スメラギさん」
表情がドン引きを超えていた。
まず、この組み合わせ且つ、シチュエーションが天地をひっくり返しても有り得ない事は自分でも分かっている。
ここは天地がない宇宙ですけど。
服を着てるとは言え、ベッドに男女が元に寝ているのだもの。
しかもティエリアと。
弁解しなくては。
その前に正気に戻さなければ。
「すすスメラギさん…! これにはですね、あの、遡る事3ヶ月前にですねぇ…!」
「わわわ私は良いと思うわよっ…! 恋愛は自由だもの……!」
自分の服を握るティエリアの手を乱暴に引っ剥がしたが起きる様子はなかった。
このまま逃げられては困る!
急いで床を蹴り、その場を去ろうとするスメラギの手首を掴む。弁解を試みなくては。
「私があの、責任を取ってですねぇ…!」
「せきっ…、な、何をやったかは知らないけど、私は若くて良いんじゃないかと思うわよ……」
「ち、違います! 勘違いしてます! ティエリア美人だから、私が責任を取って……」
ああああ。私何言ってるの?!
頭が回ってくれない。口が言う事を聞いてくれない…!
さっきまでの私はどこ行ったの?!
悪化の一途。
そんな状況の中、一番聞きたくない声が聞こえて来た。
「何騒いでんだー?」
ぎゃああああ。
ご本人登場。ロックオン登場!!
神様酷いわ。
泣きっ面に蜂とはこの事ね…!?
「ミス・スメラ……ぅおお?!」
あーん、勘違いされた。その反応は勘違いされた!
「これはこれは……」
私の自室。
中で眠るティエリア。
スメラギと口論。
「あー……そういう事だったのか……俺はてっきり、」
てっきり何よ、てっきり何よっ!
「ろろろロックオン! これはね、違うの! これはね―――」
「いやいやいや、俺は案外お似合いじゃないかと思うよ……うん」
「ちーがーうーのーって!」
目を背けんな!
ティエリアに殺されちゃう、遂に殺されちゃう。
「この組み合わせは流石に私も予想外だったけど……いざこうしてみるとお似合いだわ………」
ほら! ロックオン頷いてるじゃない!
何もかもグチャグチャじゃない。
うるさい。
何かが非常に煩い。
泣き疲れた事が初めてな自分は、初めての瞼の痛さと頭の重さを覚えて非常に騒ぐ声が鬱陶しかった。
騒いでいるのは絶対にクリスティナ・シエラ。
だって此処は彼女の自室なのだから。
こんな事で他者の部屋に上がるのは不本意だが、涙が出るものは出るのだ。
「………るさ…い……」
お、起きた。
「………はへ?」
あっはっは、寝惚けた声初めて聴いた。
「…………」
ぼやけた眼にぼやっと映ったのは茶色いふわふわした髪の毛。
だが、彼女ではない。
顔立ちが違うのだ。
これは、成人男性の……。
俺が彼女の部屋を通りかかったのは偶然ではない。
声が聞こえて来たからでもない。
恥ずかしい話なので、一生お蔵入りの話になるが、
クリスティナは俺に気があるのかと勘違いした。
しょーがないだろ!
付き合ってる人がいるとか、好きな人はいるかとか聞いて来るし。
会話もティエリアの事はどう思ってるとか、いつもの茶化しから上手く入ったのかとばかし。
「おはよーさん」
ティエリア。
ああ、恥ずかしい。
誰にもバレちゃいない勘違いだが、恥ずかしい。
「お、起きた」
暗くて良く分からないが、寝ぼけ眼を擦る姿は可愛らしい。
俺がどうしているのか分かっていないのか、「はへ?」何て言う。
「あっはっは、寝惚けた声初めて聴いた」
が、ティエリアが微動だにしない。
「…………」
「…………」
沈黙が続く。
背後でワーギャー騒ぐ声は依然と聞こえているが。
「……ロックオン?」
本当に微かな声だったが、俺の名を呼んだ。
「おめでとうティエリア」
トレミー内、初のカップルじゃないか?
「な…で? ゆめ? え?」
「夢じゃない夢じゃない」
そりゃ、目を覚まして部屋主以外の人物がいたら疑問に思うよな。
ガバっと体を起こす。
「あー、クリスなら」
「く、クリスティナ・シエラから、あああ貴方、え?」
「大丈夫、ここはクリスの部屋で、俺がお邪魔してるだけだから」
状況が把握出来ていない寝起きちゃんはあたふた。
「………ぁ」
かああああっと、顔が赤くなるのがこの薄暗い中でも良く分かった。
「く、クリスティナ・シエラが、貴方に何か言ったのか?!!」
言った? まあ、言ったな。支離滅裂でしたが。
「まあー……色々と」
「……~っ」
耳まで真っ赤に。
「そ、それで、此処に……」
「此処に、ね……」
何故か沈黙。
「か、彼女から何を聞いたのか!?」
「聞いた?」
聞いてはないけど、この状況を見れば……いやでも分かる。
「聞いた…に分類されるかな? うん、聞いた聞いた」
ティエリアが声にならない悲鳴を上げている。
そんなに恥ずかしがんなよ、初心だなぁー。
「あはは、俺は良いと思うよ?」
「…! ほ…本当か? 本当にか?!」
「おう、お似合いだと思うぞ」
凄いなー、クリスティナは。
こんな美人を落とすとは。方法を教えて欲しいものだ。
「おおおおおにあっ……! 貴方にそう言って貰えるなんて……!
クリスティナ・シエラに感謝しなければ…!」
「ん…?」
何やら若干の違和感を覚えた。
「貴方に自らの言葉で伝えられなかったばっかりに、遠回りしてしまった……。
私はずっと貴方とこうなりたかった」
頭が答えを弾き出す前に、ティエリアが答えを言い放った。
「諦めずに、貴方が好きで良かった」
これはどうしたものだろう。
気持ちが高揚して今までずっと言えなかった言葉がいとも簡単に紡いでしまった。
のだが、周りが静まり返っている。
わーぎゃー騒いでいたスメラギも、クリスティナも、ロックオンも。
ハッとした。
この状況に陥る理由に一つだけ思い当たる節がある。
恐る恐る、まるで油を暫く差してない歯車の様に、ギギギっとクリスティナの方を向く。
ブンブンと首を全力で横振る彼女が見えた。
あー………。
声にならない悲鳴。
血が引いて、逆流して、沸騰して。
そんな感覚が一瞬で廻った。
「―――!!」
「ティエリア! 待って!」
部屋から逃げ様と思ったのに、出口でスメラギと口論していたクリスティナに捕らわれてしまった。
手首を掴む等ではなく、ハグ、と言うものだ。
「はっ、離せ! クリスティナ!! でないと…!」
もがくさ中、想い人の顔が視界に入る。
ポカンとした表情、酷く傷付いた。
「逃げちゃダメ、ティエリア…! 告白したんだから、答え聞かなくちゃ…っ、ダメ!」
告白?!
あれが告白であるものか!
あんなの、事故ではないか。
「ほら! 何ボサッと立ってんの! 男ならちゃんと、きっぱり、ズバッと答えなさいよ!!」
「え?! 俺?!」
自分の声でハッとしたロックオンは、赤くなって、泣いて、美人台無しな顔のティエリアを見た。
「えっと、」
「ほら、ティエリア、前に行きなさい!」
首根っこを掴んで、俺の前に突き出して来た。
目がグルグル回って、どうして良いか完全に思考が停止したティエリアと、全く同じ状態のロックオン。
何か言わざるを得ない二人。
始めに口を開いたのはロックオンだった。
「あー…えっと……、最近妙に一緒にいるなーって思ってたけど、アレって故意的に…だったんだな……?」
「……はぃ………」
今にも消えそうな声で返事をした。
そしてまた暫く沈黙が続く。
「………気付いていたのですね……」
次に口を開いたのは何とティエリア。
「そりゃ……お前、基本一人行動だったから、気付くさ………」
「そっ、それでなぜ疑問をぶつけて来なかった?!」
それはそうだ、気付いていたのになぜ理由を聞かなかったのだろうか?
「いや、さ……最近フェルトも俺に懐いて来てくれてるし、刹那も口利いてくれる様になって来たし………、ティエリアもそうかとばっかし……」
やっぱり、私は所詮、刹那と同じ弟レベル…!
ティエリアはまた瞳に涙が溜まって来た。
「もー、いつまでそんな話してんの! 答え!
ロックオン、こ た え !」
うっ、とロックオンも流石に赤面した。
クリスティナに返事を急かされ、久し振りに心臓が高鳴っていた。
「こんなの、10年振りだ……ティエリア」
「あーんがい、ロックオンも初心だったのねー」
「初心とか言うな!」
事の終末はこうだ。
『俺で本当に良いのか?』
何度も何度も尋ねるロックオン。
その回数だけ頷くティエリア。
どっちも乙女。
少女漫画を思い浮かべていたクリスティナは少し残念だった。
チューどころか、手を繋ぐまでどれだけ掛かるのだろうかこの二人。
なーにが「絵画の女性を見ても抱きてーって思えない」だ。
目を逸らして照れくさそうに頭を掻いている。
反対派にティエリアは目を輝かせてロックオンを見上げている。
ティエリアの方が実は積極的なのかもしれない。ストーキング3ヶ月を成し遂げた上、私に突撃しちゃうんだもの。
なんて、出来立てほやほやのカップルを眺めながら考えていると、くるっとティエリアがこちらを振り向いた。
「ふふふ、やっぱり俺に落ちて来ない奴はいないな、クリスティナ・シエラ」
ああそうでした、こんな事を言えちゃって、許されちゃう貴方にはきっと、積極的なんて次元、存在しないのかもしれない。
「え? 何それ?」
振り向いた時のロックオンの顔ときたら。
それだけは、私とティエリアの秘密ね?
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≪もう言い訳もできぬ。。。≫
≪クリスティナ結構好きです。でもフィギュアもうオークションでも売ってないんだよなー……欲しいのに≫
ラノベみたいなタイトル最近好きなのです。
それにしてもラスト詰んだなー……しゅうん(・ω・`
視点コロコロ変わります。
沢山改行で視点変わってます。
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「どう言う事だ? 責任を取れ」
どうしてこうなったのか訳が分からない。
自分がCBに入った事に後悔はしていないが、ちょっと色恋が無さ過ぎる。
普通の会社じゃないんだから、言うならそこら辺の軍よりお堅いんだろうなー、とは考えていたが。
だからって、欲求は何もしてなくても生まれて来るもので。お洒落を知らないフェルトに可愛い服を選んであげたり、オフの日は軽い化粧をしてあげたり。
そう、それと同じ感覚で言ったのだ。
だって、みんな中々の容姿なのに、勿体無いじゃない!
『えへへー、ホントに美人さんだねー』
だって、みんな第一印象そう思ってるじゃない!
『え? 嘘じゃないよ、馬鹿に何てしてないし!』
だってだって、こんな美人さんでしょ?
『さぞかしおモテになられるのかと』
だってだってだって!
『多分ねー、ティエリアに落とせない人はいないと思うよー? うん、そう!
絶対恋に落ちない人はいない!』
「どういう事だ、クリスティナ・シエラ。全く彼は俺に落ちないぞ」
3ヶ月後、勿論私は忘れていた訳だが、彼はしっかり覚えていて、
3ヶ月後、クレームが入りました。
「あー、言ったなぁ私」
思い出しました。
会話も一字一句ほぼ違わず全部思い出しました。
「俺は貴様の『俺に落とせない人はいない』と言う言葉を信じて実行して来た。だがどう言う事だ? 全く落ちて来ない」
アレは本気で思っている事だったが、相手も本気にしてしまったのは予想外だ。
アレは女子特有の『○○ちゃんモテるでしょー? えー、ウッソだぁ☆』みたいな奴でして。
「な、何ででしょうねー………あははは」
は。
カチャ
「おおおおお落ち着こうよティエリアちゃん!」
「お前が落ち着け。後“ちゃん”を付けるな。
俺はこの3ヶ月間、しなければならない訓練・データ収集・他のマイスターの監視を放棄してまで、彼となるべく一緒にいる様にした。なのに全く、寧ろ他の奴の方に傾いている様にさえ思う。どう言う事だ?」
もうこの直ぐ銃を抜いちゃう癖、誰か治してあげてー!
てゆーか訓練とか放っぽっちゃダメ!
ああ、こんな事で私は死ぬの?
いやいややだやだ。
……ん? 待てよ。
逆に捉えれば、誰かと誰かのキューピッドになれるじゃない!
私、そう言うの大好きじゃない!!
この中からカップルが生まれるなんて、面白いじゃない!!!
「わ、分かりました……クリスティナ・シエラ、自分が言った言葉には責任を持ちます!」
「は? ティエリア?」
「そうそう、ティエリアって性格はああだけど、かなりの美人じゃない? どう思ってるのかなーって」
(ティエリアも、予想外な人物を好きになったものねー……)
物静かな人が好きかと思ってたのに。
「まあ、俺からしてみたら、刹那もティエリアも一緒だけどな。手間の焼ける弟みたいな感じかな?」
ロックオン・ストラトス。確かに悪い男じゃない。
でもティエリアはこう言う『世話を焼くのが好き』な性格の人物は嫌いかと思っていた。まあ、自分も大概だが。
突然聞くのも怪しまれるかと思ったが、日頃の立ち振る舞いが幸いして疑われる事なく聞き出す事に成功していた。
そうか、出会って間もない頃、『スメラギさん、凄いセクシーじゃないですか? どう思ってます?!』と直撃した事があった様な。
「ホント、クリスはこう言う話好きだなぁー。
んー、例えば、美術館に行くとするだろ?」
「うんうん!」
「そこで、中世の絵が飾られているとする。凄い美人さん達の絵が飾られているだろ?」
「うんうん!」
「綺麗だなーとは思うけど、抱きてーとは思わないんだろ?」
「…………」
「そう言う事」
ごめんティエリア……、ティエリア美術品レベルらしいです。
「クリス…?」
「あっ、えっと」
「ごめんな、ご期待に沿えなくて」
謝るなら、努力して来たティエリアに言って欲しい。
私の言葉に後押しさせて、気付いて貰おうと頑張って……。
「……そうよ、良く考えたら、私の言葉を信じてアタックしてきたのよね…!」
「ん? 何だってクリス?」
「最低! 鈍感! 女の敵よ!」
ティエリア男だった気がするけど。
「はぁ?! 何だ突然?!」
「私の可愛い妹を泣かせるなんてサイテーよ!」
ティエリア男だった気もするし、泣いてもいないし、勝ってに妹にしちゃったけど。
「クリス、どうしたんだ突然? つか妹って誰?! 可笑しいぞ何か!」
「可笑しいはアンタの頭よバカー!!!」
「ヤバい……、私ったら、ついつい感情的に………」
「本当に、君は何と言う事をしてくれるんだ…!」
私とティエリアと言う、傍から見たら何とも稀な組み合わせ。
使われていないブリーフィングルームで先程の報告をしていた。
「おおお怒らないで銃仕舞って!!!
みゃみゃ脈はあった! 脈アリよ!!」
「みゃく…?」
ティエリアを嫌っていない事は伝えた。
でも、
「………あの餓鬼と同レベルの扱いとは……」
「ガキって……駄目よ、そんな汚い言葉使っちゃ!
嫌いじゃなかったんだから、まだ可能性あるかもしれないじゃない、いいえ、絶対あるわ!」
「だが……ずっと傍にいても、刹那と変わらないんだぞ…?」
『おっ』と、ちょっとドキンとしてしまった自分がいた。
(くぅ、可愛い、今の表情可愛い…!)
ちょっと羨ましいじゃないロックオン、こんな美人を振るなんて。
「クリスティナ・シエラ…?」
「あっ、ごめん! えっと、何だっけ?」
「その……ひょっとして、もう既に彼には恋人、若しくは妻がいるのではないか…?」
「えええ?!」
この驚きは、ティエリアの弱気発言があまりにも珍しくて。
「何をそんなに驚く。あり得るだろう。そうでなければ俺に落ちて来ない理由が分からない」
「………」
「どうした、クリスティナ?」
何ともナルシストな発言ではあるが、ティエリアは許されるから恐ろしい。
そもそも、ティエリアって、案外人の言葉をスッと受け入れちゃうのね。
他人なんか信じない様な立ち振る舞いな癖して、実は何でも直ぐ信じちゃう。子供みたい、妹みたいに、してあげたくなっちゃうじゃない。
「分かった! 聞いて来る!」
「は?! ちょっと、おい!」
「クリス……お前も随分忙しい人だよなー……」
「さ、さっきは……スミマセンデシタ……」
「いや、いいよ気にしてない。で、今度は何のご用で?」
本日二度目の対面。気にしてないと言いつつも、さっきより若干距離を置かれてる気が……。
「直球で聞くね…! 恋人はいますか?!」
「なっ…! どうしたんだ今日は?!」
「いーから答えて! じゃないと私殺されちゃう!」
ティエリアに。
「殺されるって……、い…いないけど……?」
「妻も含めてで!」
「つつつ妻?! いない、いない、いない! いる訳ないだろ?!」
フッと肩の力が抜けた。これで安心……?
「違う! まだじゃん!
好きな人は? 片思いの相手とかいる?!」
「そ、それは………」
えーーー!
……でも、ロックオンもまだ私達と同じ20代……。
そりゃ恋の一つや二つ………あのティエリアだってこの男に恋してるのだ。
「それより、クリスどうしたんだ今日は…? お前悩んでるっつーか病んでないか…? 俺相談乗るぞ……?」
「えっ?!」
悩みと言えば、背筋がスースーするの。
常に銃口が私の背中を狙っているの。
「なっ、ないないないよ!!」
「そうかぁ? まぁ、ここは個人情報一切口外禁止だからなー。色々あるんだったら、俺に話せよ? 俺はそう言うの気にしてないからな」
おおおおお。
これは確かに惚れるなー。
ティエリアだったら怒りそうな事言ってたけど、確かに『優しい男』の鏡だ。
「クリス?」
「あっ、ごめん、ありがと。それじゃ私行くね!」
ティエリアに伝えなきゃ。
「あ……ああ………って行っちゃったし……」
ティエリアの事どう思ってる?
恋人いる?
結婚してる?
片思いの相手いる?
ティエリアか……。確かに思い返してみればここ数ヶ月、部屋が違うのにいつも一緒に行動していた気がする。
それが気になっている…?
気にしている?
「……まさか、クリスティナっ……!」
勘が良い男は、胸が一瞬高鳴っていた。
「ティエリア、やりましたー! ロックオンには恋人も婚約者もいませんでしたー!」
「君は本当に年中お祭りだな」
テンションの高さで大概悟ったが。
「で、で、で? どうする?! ティエリアちゃん!」
「………ど、どうとは…?」
「待ってちゃ駄目だよ! もうロックオンにアタックしちゃおう! あんな優しい良い男、他にも狙ってる人がいるかもしれないじゃん! 盗られる前にゲットしなきゃ!」
「では! 彼には好意を抱いている相手がまだいなかったと言う事か…?!」
あ……。
「……いたのか?」
「ええっとですねぇ、その質問したら、見事に濁されちゃいまして………えへへ」
カチャ
「もぉぉ! 止めて人に銃向けるのを!」
「話が違うではないか。貴様は『一緒にいるだけで』と言う話ではなかったか?」
「ふえぇ、そうですけどぉ……」
だって! 普通に惚れるでしょう! この容姿!!
「ほ、ほら! 高嶺の花って言葉あるじゃない!? きっとロックオンもきっと『自分じゃ手が届かないー』とかで弟止まりなのかもしれないよ! 告白したら、案外『実は俺も』ってなるかもしれないじゃん!!」
生命の危機になると、私はこうも饒舌になれるのか。
……何だか元からこうだった気もするけど。
目の前に突き付けられた銃口が、不意に下を向いた。
「……無理だ…、そんなの」
これは拍子抜け。
あのティエリア様からこんな弱々しい発言と声色。
「3ヶ月間、ずっと好意を抱く様、傍にいて、接触して来たのに、弟止まりだぞ…? 正直、自分ではもう相手側に僕の好意がばれているのではと考えてさえいた……」
余計な人との関わりを避けるティエリアが、自分から積極的に近寄って来たら………それはきっと、と気付く筈だ。
ティエリアにとって、その行動その物が愛の告白なのだ。
「貴様が……貴様が、落とせるって言うから………こんなにも自分に期待してしまった……信じてしまった………馬鹿じゃないか……。
こんな苦しいの……私は知りたくなかった………」
ピシャアアアアン。と私の脳天に雷が落ちた。
(ティティティティエリア泣かしちゃった私いいい!!!)
ボロボロと涙を零す姿は、予想以上に幼い姿で。
「ごめんね、ティエリア……うぁぁぁぁ」
「な…で、君まで…ひっく、泣くんだぁ……」
「だってティエリアかわいそ過ぎるじゃない~。私の所為でっ…、辛い思いして……ふえええええ」
思わず抱き締めたが、背中に腕を回して来て安心した。
私が蒔いた種だ、私が、責任を持たなくちゃ。
私はティエリアに言ったもの。『自分が言った言葉には責任を持ちます!』と。
「思わず慰めちゃったけど、異様な光景よね、これ……」
独り言が虚しく部屋に響いた。
独り言とティエリアの寝息のみの世界。
そう、子供の様に泣きじゃくったティエリア。
私も相当泣いたが、ティエリアもまあ泣く事。それはもう一生分に匹敵する。
気付くと胸の中で眠っちゃって。
異性とこう言う光景は何とも誤解を招きそうだが、ここは自分の部屋。まあ良いか…と。
(だって、本当に子供みたいに泣くんだもん。美人って泣いても可愛いのよねー、不思議)
フェルトに続いて妹第2号をゲットした気分。
(良いじゃないティエリア、失恋したって。うんと私がお洒落さんにしてあげて、ロックオンを見返してやりましょ)
起きてしまうから声には出さないが、私はティエリアに誓った。
(でもティエリア、私の服、そろそろ離してくれないかなー? 今日の分の仕事、片付けてなかったりするのよねー……)
あー、でもこの寝顔もう少し眺めてても良いかなぁ……。
きっと超レアじゃない、ティエリア今どんな夢見て―――
「何やってんのクリス」
聞き覚えがある声がして、恐る恐る、ゆっくりゆっくりと首を回すと、やはり、スメラギがいた。
「ご……ごきげんうるわしゅー……スメラギさん」
表情がドン引きを超えていた。
まず、この組み合わせ且つ、シチュエーションが天地をひっくり返しても有り得ない事は自分でも分かっている。
ここは天地がない宇宙ですけど。
服を着てるとは言え、ベッドに男女が元に寝ているのだもの。
しかもティエリアと。
弁解しなくては。
その前に正気に戻さなければ。
「すすスメラギさん…! これにはですね、あの、遡る事3ヶ月前にですねぇ…!」
「わわわ私は良いと思うわよっ…! 恋愛は自由だもの……!」
自分の服を握るティエリアの手を乱暴に引っ剥がしたが起きる様子はなかった。
このまま逃げられては困る!
急いで床を蹴り、その場を去ろうとするスメラギの手首を掴む。弁解を試みなくては。
「私があの、責任を取ってですねぇ…!」
「せきっ…、な、何をやったかは知らないけど、私は若くて良いんじゃないかと思うわよ……」
「ち、違います! 勘違いしてます! ティエリア美人だから、私が責任を取って……」
ああああ。私何言ってるの?!
頭が回ってくれない。口が言う事を聞いてくれない…!
さっきまでの私はどこ行ったの?!
悪化の一途。
そんな状況の中、一番聞きたくない声が聞こえて来た。
「何騒いでんだー?」
ぎゃああああ。
ご本人登場。ロックオン登場!!
神様酷いわ。
泣きっ面に蜂とはこの事ね…!?
「ミス・スメラ……ぅおお?!」
あーん、勘違いされた。その反応は勘違いされた!
「これはこれは……」
私の自室。
中で眠るティエリア。
スメラギと口論。
「あー……そういう事だったのか……俺はてっきり、」
てっきり何よ、てっきり何よっ!
「ろろろロックオン! これはね、違うの! これはね―――」
「いやいやいや、俺は案外お似合いじゃないかと思うよ……うん」
「ちーがーうーのーって!」
目を背けんな!
ティエリアに殺されちゃう、遂に殺されちゃう。
「この組み合わせは流石に私も予想外だったけど……いざこうしてみるとお似合いだわ………」
ほら! ロックオン頷いてるじゃない!
何もかもグチャグチャじゃない。
うるさい。
何かが非常に煩い。
泣き疲れた事が初めてな自分は、初めての瞼の痛さと頭の重さを覚えて非常に騒ぐ声が鬱陶しかった。
騒いでいるのは絶対にクリスティナ・シエラ。
だって此処は彼女の自室なのだから。
こんな事で他者の部屋に上がるのは不本意だが、涙が出るものは出るのだ。
「………るさ…い……」
お、起きた。
「………はへ?」
あっはっは、寝惚けた声初めて聴いた。
「…………」
ぼやけた眼にぼやっと映ったのは茶色いふわふわした髪の毛。
だが、彼女ではない。
顔立ちが違うのだ。
これは、成人男性の……。
俺が彼女の部屋を通りかかったのは偶然ではない。
声が聞こえて来たからでもない。
恥ずかしい話なので、一生お蔵入りの話になるが、
クリスティナは俺に気があるのかと勘違いした。
しょーがないだろ!
付き合ってる人がいるとか、好きな人はいるかとか聞いて来るし。
会話もティエリアの事はどう思ってるとか、いつもの茶化しから上手く入ったのかとばかし。
「おはよーさん」
ティエリア。
ああ、恥ずかしい。
誰にもバレちゃいない勘違いだが、恥ずかしい。
「お、起きた」
暗くて良く分からないが、寝ぼけ眼を擦る姿は可愛らしい。
俺がどうしているのか分かっていないのか、「はへ?」何て言う。
「あっはっは、寝惚けた声初めて聴いた」
が、ティエリアが微動だにしない。
「…………」
「…………」
沈黙が続く。
背後でワーギャー騒ぐ声は依然と聞こえているが。
「……ロックオン?」
本当に微かな声だったが、俺の名を呼んだ。
「おめでとうティエリア」
トレミー内、初のカップルじゃないか?
「な…で? ゆめ? え?」
「夢じゃない夢じゃない」
そりゃ、目を覚まして部屋主以外の人物がいたら疑問に思うよな。
ガバっと体を起こす。
「あー、クリスなら」
「く、クリスティナ・シエラから、あああ貴方、え?」
「大丈夫、ここはクリスの部屋で、俺がお邪魔してるだけだから」
状況が把握出来ていない寝起きちゃんはあたふた。
「………ぁ」
かああああっと、顔が赤くなるのがこの薄暗い中でも良く分かった。
「く、クリスティナ・シエラが、貴方に何か言ったのか?!!」
言った? まあ、言ったな。支離滅裂でしたが。
「まあー……色々と」
「……~っ」
耳まで真っ赤に。
「そ、それで、此処に……」
「此処に、ね……」
何故か沈黙。
「か、彼女から何を聞いたのか!?」
「聞いた?」
聞いてはないけど、この状況を見れば……いやでも分かる。
「聞いた…に分類されるかな? うん、聞いた聞いた」
ティエリアが声にならない悲鳴を上げている。
そんなに恥ずかしがんなよ、初心だなぁー。
「あはは、俺は良いと思うよ?」
「…! ほ…本当か? 本当にか?!」
「おう、お似合いだと思うぞ」
凄いなー、クリスティナは。
こんな美人を落とすとは。方法を教えて欲しいものだ。
「おおおおおにあっ……! 貴方にそう言って貰えるなんて……!
クリスティナ・シエラに感謝しなければ…!」
「ん…?」
何やら若干の違和感を覚えた。
「貴方に自らの言葉で伝えられなかったばっかりに、遠回りしてしまった……。
私はずっと貴方とこうなりたかった」
頭が答えを弾き出す前に、ティエリアが答えを言い放った。
「諦めずに、貴方が好きで良かった」
これはどうしたものだろう。
気持ちが高揚して今までずっと言えなかった言葉がいとも簡単に紡いでしまった。
のだが、周りが静まり返っている。
わーぎゃー騒いでいたスメラギも、クリスティナも、ロックオンも。
ハッとした。
この状況に陥る理由に一つだけ思い当たる節がある。
恐る恐る、まるで油を暫く差してない歯車の様に、ギギギっとクリスティナの方を向く。
ブンブンと首を全力で横振る彼女が見えた。
あー………。
声にならない悲鳴。
血が引いて、逆流して、沸騰して。
そんな感覚が一瞬で廻った。
「―――!!」
「ティエリア! 待って!」
部屋から逃げ様と思ったのに、出口でスメラギと口論していたクリスティナに捕らわれてしまった。
手首を掴む等ではなく、ハグ、と言うものだ。
「はっ、離せ! クリスティナ!! でないと…!」
もがくさ中、想い人の顔が視界に入る。
ポカンとした表情、酷く傷付いた。
「逃げちゃダメ、ティエリア…! 告白したんだから、答え聞かなくちゃ…っ、ダメ!」
告白?!
あれが告白であるものか!
あんなの、事故ではないか。
「ほら! 何ボサッと立ってんの! 男ならちゃんと、きっぱり、ズバッと答えなさいよ!!」
「え?! 俺?!」
自分の声でハッとしたロックオンは、赤くなって、泣いて、美人台無しな顔のティエリアを見た。
「えっと、」
「ほら、ティエリア、前に行きなさい!」
首根っこを掴んで、俺の前に突き出して来た。
目がグルグル回って、どうして良いか完全に思考が停止したティエリアと、全く同じ状態のロックオン。
何か言わざるを得ない二人。
始めに口を開いたのはロックオンだった。
「あー…えっと……、最近妙に一緒にいるなーって思ってたけど、アレって故意的に…だったんだな……?」
「……はぃ………」
今にも消えそうな声で返事をした。
そしてまた暫く沈黙が続く。
「………気付いていたのですね……」
次に口を開いたのは何とティエリア。
「そりゃ……お前、基本一人行動だったから、気付くさ………」
「そっ、それでなぜ疑問をぶつけて来なかった?!」
それはそうだ、気付いていたのになぜ理由を聞かなかったのだろうか?
「いや、さ……最近フェルトも俺に懐いて来てくれてるし、刹那も口利いてくれる様になって来たし………、ティエリアもそうかとばっかし……」
やっぱり、私は所詮、刹那と同じ弟レベル…!
ティエリアはまた瞳に涙が溜まって来た。
「もー、いつまでそんな話してんの! 答え!
ロックオン、こ た え !」
うっ、とロックオンも流石に赤面した。
クリスティナに返事を急かされ、久し振りに心臓が高鳴っていた。
「こんなの、10年振りだ……ティエリア」
「あーんがい、ロックオンも初心だったのねー」
「初心とか言うな!」
事の終末はこうだ。
『俺で本当に良いのか?』
何度も何度も尋ねるロックオン。
その回数だけ頷くティエリア。
どっちも乙女。
少女漫画を思い浮かべていたクリスティナは少し残念だった。
チューどころか、手を繋ぐまでどれだけ掛かるのだろうかこの二人。
なーにが「絵画の女性を見ても抱きてーって思えない」だ。
目を逸らして照れくさそうに頭を掻いている。
反対派にティエリアは目を輝かせてロックオンを見上げている。
ティエリアの方が実は積極的なのかもしれない。ストーキング3ヶ月を成し遂げた上、私に突撃しちゃうんだもの。
なんて、出来立てほやほやのカップルを眺めながら考えていると、くるっとティエリアがこちらを振り向いた。
「ふふふ、やっぱり俺に落ちて来ない奴はいないな、クリスティナ・シエラ」
ああそうでした、こんな事を言えちゃって、許されちゃう貴方にはきっと、積極的なんて次元、存在しないのかもしれない。
「え? 何それ?」
振り向いた時のロックオンの顔ときたら。
それだけは、私とティエリアの秘密ね?
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≪もう言い訳もできぬ。。。≫
≪クリスティナ結構好きです。でもフィギュアもうオークションでも売ってないんだよなー……欲しいのに≫
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兎羽
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性別:
女性
職業:
実家に帰りたい盛り
趣味:
見ての通り
自己紹介:
只今実家を離れて就職中(東北出身)
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
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