こちら「ガンダム00」に心奪われたブログです!
見にくいですが勘弁!愛は本物です。基本、自己満足なんで期待は禁物!
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久し振り過ぎて勝手が分からないよ。
AGEにて、神谷登場記念という事で。
単発、公式設定だよ。
作成開始は去年の10月から。
結構放っておいてたな……。
まあいい、劇場終わって結構経ったし、もう好き勝手やるんだ(`´
未成年せっちゃん可愛いよね。俺ティエも可愛いよ。
--------------------------------
最近、せっちゃんが変な遊びを覚えた件。
「刹那……、俺に何か用か…?」
「別に」
「いや、そんな事言われても……」
頭一つ分も小さな彼は、後ろから突然腰にしがみ付いたのにも関わらず、何も用が無いと言い張る。
彼は元々、無表情で無口で、しかも周りに対して無関心と来た。
こんな事をするなんて、ありえない。
でも、最近はこんな事しょっちゅうなのだ。
前は俺から良く抱き付いてはいた。
14と、完全に子供の域を脱せない年頃の彼を、俺は放っておく事が出来なかったのだ。
あの性格の彼と上手くやって行けそうなのは俺だけだった。
アレルヤはあんなガタイをしているのに、性格は大人しいし。
ティエリアも刹那といい勝負な位、こちらに無愛想だし。
文句の様な理由は綺麗に揃い、俺に降りかかった。
実際問題、関わってやれるのは俺しかいないと戦術予報士から頼まれたし、丁度テロで家族を失ったのも同じ14歳という点も気に掛かっていたし。
だから、隙あらば抱き付いていた。褒めるという名目で頭を撫でてみせたりもした。
犬のトレーナーが如く。
「刹那・F・セイエイ、今彼と俺はミーティング中だ。邪魔をするなら帰れ」
刹那にそう言ったのは俺ではなく、俺の向かい側に立っているヴァーチェのマイスターだった。
デュナメスとヴァーチェ、基本後方で援護射撃をする機体のパイロットのみに渡された戦術の提案書を読んでいる所に彼はやって来たのだ。
「別に邪魔等していない。口を挟んでいる訳でもない」
抱き付いて、ただじっとしているだけ。
「違うか? ロックオン」
下から刹那が見上げて来た。
前を向けば赤い目が俺を睨んでいるし。
「いやぁ……、確かに邪魔はしていないけどさ……」
後ろから抱き付かれているだけなら確かに問題はない。
言えば、他人から抱き付かれて、懐かれて不快感はない。
寧ろウェルカム、警戒していた黒猫ちゃんがやっと懐いてくれた感じ。
「……貴方が、許可するなら……俺はそれ以上言えない」
そう、これが屈せず続けて来たスキンシップの結果なら良かったのに。
「少しでも妨害をしたら、直ぐに出て行って貰うからな」
「ああ、分かっている」
不快そうな顔が、確実に不快な顔付きに変わった瞬間、刹那が少しだけほくそ笑んだ様に見えた。
そうなんですよ、この子、変な遊びを覚えてしまったんですよ。
『何だ! この射撃の成績は!』
シミュレーターの機具が並ぶ一室。トレーニングルームと言う奴か。
怒鳴ったのは当然ティエリア。
刹那は確かに体術・剣術は多少長けていたものの、射撃の成績はサッパリだ。
『こんな事では、マイスター候補どころか、CBのメンバーとしても危ういぞ!』
かなり前からマイスターとしての訓練を受けていただろうティエリアは来たばかりの刹那を頭ごなしに怒る。
それを上手く仲裁し、宥めるのも俺の役割の一つなのだ。
ティエリアが指摘する事は全て的を射ている為、ハッキリ言って、言い返す言葉が無いのは本当なのだ。
『まだ来たばかりなのだから』、なんて生温い言い訳は彼には通用しない。
そこで刹那が思い付いたのが、コレだ。
例えば、マイスター四人集まってミーティングを開くと言う時。
戦術予報士から「ロックオンを呼んで来て」と頼まれた刹那の連れて来る方法。
俺の右腕にひしりと抱き付き引っ張る。それはまるでデートをしている男女の様で。
『連れて来た』
しれっと言いのけた。
またある時は、みんなでご飯を食べている時。
ベシャっと、フォークに刺さっていた肉が刹那の膝に落下する。
当然、兄貴分な俺は隣に座る刹那に「あーあ」なんて漏らしながらもナプキンで汚れたズボンを拭いてあげたり。
よくよく考えたら、小さな子供でもない刹那が物を落とす訳が無い。
そんなドジな面も、必要以上な体の接触も、ティエリアがいる時限定なのだ。
勝る要素が見当たらない相手、ティエリアが唯一刹那に対して悔しそうな顔をする瞬間。
見付けてしまったのだ、この悪戯っ子は。
「―――以上だ、この後もまた目を通す様にして下さい」
「オーケー、っと……刹那、終わったぞ?」
「ん」
そんな可愛い声出して。
「終わったぞ、刹那・F・セイエイ」
「分かっている」
ティエリアが言いたい事はこうだ、
『終わったのだから離れろ』と。
「彼に何か用があったのではないのか?」
「無いが?」
「なっ…?! 無いのにも関わらず、この様なこっ…行為をするとは……理解出来ないな」
「ああ、アンタには理解出来ないだろうな」
止めなさいせっちゃん!!
心の中で全力で叫んだ。
「じゃ、じゃあ行こうか、刹那…?」
これ以上、彼の前でこうして二人でいる事は危険過ぎる。
さりげない言葉、俺としては最善の言葉。
だが、ティエリアには違った様だ。
「……っ、先に失礼する! 貴方達はゆっくりと、お、ふ、た、り、で、どうぞ!」
いつもより強めに床を蹴ってミーティングルームから立ち去るティエリア。
言葉の選択を誤ったみたいだな……。
「……で、直ぐ離れちゃう訳ね」
もう一度言おう、刹那は俺に決して懐いている訳じゃないのだ。
「もういなくなった」
「そうだけどさー……」
周りに無関心そうな顔して、中身はちゃんと子供の心を持っていた模様。そこは安心した。
悪戯したいお年頃の彼は、ティエリアをおちょくるのが楽しくて仕方ないのだ。
これプラス、この少年と同じ部屋へ帰るのだ。
悪化だ、悪化の一途だ。
気付いた瞬間の傷付いた俺を知っていますか刹那君?
何だか最近慣れて来たぞ。
いかんいかん、慣れてしまっては駄目だ。
いつか俺が仲介して彼等を仲良くさせようと考えていたのに。
俺を介して更に仲が悪くなっているじゃないか…!
「それで、私の所に来た訳?」
「戦術予報士でしょう、何か考えて下さいよ……。俺、胃に穴開きます……」
俺一人では良い案が思いつかないし、解決も出来ないと見越した。
「その前に、聞いておきたいんだけど、」
「はい?」
「貴方の事を、ティエリアは好きなの?」
………。
「あっ、そうなるのか」
「貴方ねー……」
特に何かしてあげた訳じゃないが、刹那同様、気に掛けてやっているのは確かだ。
何が原因なのか……。
「で、貴方としてはどうなって欲しいの?」
「そりゃあ……」
刹那とティエリアが仲良くなってくれれば万々歳。
「そうじゃなくて……」
?
「何でもないわ、忘れて。
で、私に相談しても、何かしてあげられる訳じゃないわ」
「えええ?! そんなぁ!」
「貴方、刹那に言っても聞かないから私の所に来たんでしょ? 私の注意だってあの子聞かないわよ?」
「確かに……そうですね」
「これは、完全なるトライアングルよ」
トライアングル?
三角…関係…?
「どこぞの恋愛漫画みたいな風に言わないで下さいよ……」
彼女は完全に笑っていた。
他人事だと思って。兄弟喧嘩じゃないんだぞ。
「うー……、仲良くしましょうねで手を取り合ってくれる性格じゃないでしょう、どちらも……」
「いいえ、貴方はトライアングルの頂点よ?
いい? 要は貴方がハッキリしないからこうなってるの。
この問題を解決する方法は一つ。貴方が―――」
チャンスは今しかない。
丁度地上に降りているアレルヤが明日には帰って来てしまう。
だから今晩がチャンスなんだ。
戦術予報士から教えられた解決策は、確かに周りを巻きこまず……と言うか、俺が決断しなければならない。
『貴方がハッキリしないから悪いのよ』
『ティエリアが好きなら、ちゃんと刹那に断りなさい』
『ティエリアの好意に応える気がないなら、潔くティエリアにそれが伝わる様、刹那を抱き返しなさい』
「いや、何か可笑しくないか……?
別にトライアングルしてる訳じゃないんだよ」
それじゃあ刹那とティエリアが俺を取り合っている様に聞こえるが、実際はティエリアを怒らせるのが目的であって、俺がたまたま餌に選ばれただけだ。
だからこの図を絵で表すなら、三角形じゃ無くて、
一番上に刹那がいて、俺を餌に釣るして、一番下で怒っているティエリアを見降ろす……そう、一直線の棒なのだ。
(部屋に行った後、何て言えば良いんだろう……)
タイムリミットがある為、こうしてうだうだと考えている時間等ないのだが、やはりこう言う色恋の話はじっくり考えたいものだ。
まずは刹那との関係の誤解だな。
アイツ、変なところで勘が鈍いから、刹那がお前を怒らせる為にやっているんだと伝えよう。
次は当然怒るだろう。
今からちょっと頭を撃ち抜いて来るとか言い出しそう。
そこで俺の出番。
ティエリアの怒りを抑えつつ、刹那も悪いが、お前の態度も悪いと叱って。
最後は刹那の所に連れて行って和解だな。
刹那も素直に謝りそうな性格じゃないが、無理やり形だけでも謝らせておこう。
(あれ? 良く考えてみたら俺がティエリアをどう思ってるとか全然関係なくね?)
スメラギめ、俺を騙そうとして。
さっきまでチンタラ歩いていた足取りは一気に加速した。
さっさと済ませてしまおう!
「ティエリア!」
部屋の前のインターフォンを押し、『はい?』と言う返事に対して間なく名前を呼んだ。
名乗ってはいないが、声で俺だと判断したのだろう。『ななな何ですか?!』と珍しく慌てた口調の彼が返事を返した。
「話がある、中に入れてくれ」
『話…ですか? 用件ならメールで、もしくは今そこでお願いしたい』
何でそうなる、お前俺が好きなんじゃないのかよ?!
「大切な話なんだ……それに少し急いでる」
『大切な……ですか?』
「ああ、頼む」
我ながら結構なイケ面ボイスじゃなかったか、今の声。
返答はOKだったらしい。
暫く無言が続いたが、ドアのロックを外して貰う事に成功した模様。
「どうぞ」
ドアが開くと、いつも通りに一見見えるティエリアが待ち構えていた。
声色はいつも通りだが、こちらと目を合わせないところを見ると、やはり俺が好きで、それなりに緊張している様だ。
何だ、可愛い一面もあるじゃないか。
「お邪魔します、っと……」
ティエリアは気まずそうに目線を逸らしながら自分のベッドに腰掛けた。
これは隣に座るべきか、デスクの椅子に座るか……。
ミッションのシミュレーション基、恋愛シミュレーションゲーム感覚に近いものになって来た。
「あの……」
「あ、そうだな、大切な話だよな!」
俺は隣を選択した。
その事に少し驚いたティエリアの反応は少し初。俯いて、若干顔が赤くなった様に感じる。
「さっきの事なんだが……」
「さっき?」
「いや、正確に言えばもっと前からになるんだが……。刹那の事だ」
顔色がグッと変わった。
何を考えているのだろう。赤くなったり青くなったり。
済まないが、お前の頭の中が整理されるのを待っている時間はない。アレルヤの帰宅が迫って来ている。
「刹那、さっきもそうだけど、俺に良く抱き付いて来るだろう? わざと失敗して手を焼かせて見せたり。
あれはな、お前が俺の事が好きだから嫉妬させようとしてやっているんだ。お前良くアイツの事叱るだろ? 中々それを恨んでいるらしくてな、無表情の癖して。
俺と仲良くしてる姿を見せ付けて、お前を怒らせるイタズラしてんだよ」
よしどうだ! ちょっと早口だったが理解できたか?
「あ……ぼっ…くが……!」
「ん? 分からなかったか? もう一回言うか?」
「わたっ…! あなた……すっ、すっ…!」
顔が今まで見た事がない位真っ赤になっているティエリアを見て、『あれ?』と思い自分が先程言った台詞を思い返す。
そして漸く自分が何を言ってしまったか分かった。
(うあああああ、説明の時、サラッと『お前が俺の事が好きだから』って言っちまったーーー!)
「違っ…! 違わないけど違う!! これはその!」
馬鹿か俺!!
時間がなかったにしろ、結構何言うか練って此処まで来たのに。
ティエリアはと言えば、アワアワと言うのはこう言うものかと思ってしまう程に慌てており、同じ位慌てていた俺の隣から勢い良く立ち上がった。
逃げられる!
「待て!!」
逃げたお前を追いかけて捕まえる時間なんてないんだ!
「うあっ?!」
咄嗟に伸ばした手が、見事ティエリアの服の裾を掴む事に成功した。
フワッとする服装は、逃げる時不向きなのかも……とかどうでも良い事を一瞬考えてしまった。
当然ティエリアは低重力と言えども重力は重力、尻餅を付いた。
「わ、悪い、つい咄嗟に…! 怪我ないか?!」
急いで駆け寄り、顔を覗き込んだが垂れた髪で表情が見えない。
「いつからだ……」
「ティエリア?」
「いつから知っていた?!」
ギョッとした。
落下の衝撃でずれた眼鏡。その奥にある赤い目からは涙らしき水の筋。
「いつから知っていた?! 刹那か?! 刹那が貴方に言ったのか?!」
「い、いや、刹那は何も……!」
「嘘吐け!! そこまでして彼を庇いたいのかっ?! 狡い…、狡いですっ……!」
ティエリアが泣くとは予想外。
小さい頃、妹の机に置いてあった誰かに送る予定のラブレターをこっそり読んだのがバレて大泣きされた記憶はある。
でも、ティエリアはそこまで乙女だとは思っておらず。どう対処したら良いのか分からなかった。
一応、俺がポロッと零しちゃった好きなの知ってました発言の後、刹那がイタズラで俺にベタベタしている事を話しているのだが。
その前が衝撃的過ぎたのは、後の事は全部聞こえていなかった様だ。
「落ち付けティエリア、だから刹那は俺の事はお前を怒らせる餌としか思ってないし、俺も刹那の事は可愛い弟としか思ってないんだよ!」
「可愛いだなんて……、うぅっ…!」
何でそこだけ抽出してるんですか。
「だああああ、良いから、俺の話をちゃんと聞け!!!」
少し痛かったかもしれないが、ティエリアの両肩を掴み、強制的に顔を上げさせた。
大きく体を揺さぶられ、さっきの衝撃でずれていた眼鏡がカシャンと音を立てて床に遂に落ちた。
「……ぁ」
突然好きな人物に掴まれたティエリアはキョトンとした顔でこちらを見詰めていた。
遮る物がなくなった瞳は、驚きで大きく見開かれ、その中には俺の顔が映っているのが分かった。
俺の顔が赤く見えるのは、きっと元の瞳の色素が赤色だからであって、俺が見惚れていた訳ではないと思いたい。
「ロックオン…?」
ティエリアが小さく俺を呼んだ。
でも俺は何故だか声が出ず、応えられないでいた。
『貴方がハッキリしないから悪いのよ』
不意に、相談相手だった戦術予報士の言葉が浮かんできた。
自分は兎に角、年長者として刹那とティエリアを仲良くさせなきゃと思っていて。
自分がティエリアに好かれているという事実に、どこか他人事の様に、不仲の要因の一つの様にしか考えてなかった。
(………ティエリアは、俺の事が好き……?)
今更ながら、実感が湧いて来た。
「あの、ロックオン…?!」
ティエリアの声でハッとした。何かと思ったら、ティエリアの手を無意識の内に握っているじゃないか!
ジワジワと自分が置かれている状況が分かって来た。リヒティと
『目の保養には最適なんスけどねー。性格がねー』
『分かるか分かる。ちょっとは笑ったり、下手扱いて困っていたり泣いていたりする表情見てみたいなー』
『それ見てみたい!』あはははー……。
何て会話をした事がある。
さっきまで泣いてて、今は俺に手を握られて困った表情してるんですけど!
「すみません……少し落ち着いて来ました………。どちらにしろ、誰にも広言していないので、自分自身で貴方へのこ…好意を……洩らしてしまったのだと思います………。だから、あの、その………」
ふぅ、とティエリアが深呼吸を一つした。
ティエリアが新たな言葉を紡ぐ前に、俺の方が早く口を開いた。
「刹那とは何もない!」
「可愛い……弟ですよね?」
「これ言うの3回目だけど、今度こそ聞けよ?! 頭ごなしに怒るお前に復讐する為にした嫉妬心を煽るイタズラであって、刹那は後で厳重注意する!」
これも3度目となると凄い早口。
初めてちゃんと聞いたティエリアはやっぱりポカンとしていて。
「こっから、本番で……」
戦術予報士さんの言った通り、ハッキリさせます。
「ティエリア、それで俺――――」
少年は目標を確認した。
勿論敵。敵と言うより、犬と猿の様な仲。
二人で会話していると情報が入ったからには行かない訳がない。
「――んでさ、そん時なって、おわっ?!」
これが一番効く。
後ろから腕を回し、その向こう側にある悔しそうな顔を拝む。
これが………あれ?
「ごめんな刹那」
理解不能なまま腕を解かれた。
「もうその手は食わなくなっちゃったんだ」
困った様に眉を下げているのに、どこか表情は笑っていて。
ハッと分かった。
ああ、玩具を一つ、いや二つ同時に失った。
何より悔しいのは、アイツの表情だ。
その見下した様な目線。
「ふん、所詮君は可愛い弟………だがこの俺は彼の可愛い恋人なんだからな!!!」
「自分で可愛い言うか………」
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≪ひっそりと運営して行って、末長ーく、やろうかと思います≫
AGEにて、神谷登場記念という事で。
単発、公式設定だよ。
作成開始は去年の10月から。
結構放っておいてたな……。
まあいい、劇場終わって結構経ったし、もう好き勝手やるんだ(`´
未成年せっちゃん可愛いよね。俺ティエも可愛いよ。
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最近、せっちゃんが変な遊びを覚えた件。
「刹那……、俺に何か用か…?」
「別に」
「いや、そんな事言われても……」
頭一つ分も小さな彼は、後ろから突然腰にしがみ付いたのにも関わらず、何も用が無いと言い張る。
彼は元々、無表情で無口で、しかも周りに対して無関心と来た。
こんな事をするなんて、ありえない。
でも、最近はこんな事しょっちゅうなのだ。
前は俺から良く抱き付いてはいた。
14と、完全に子供の域を脱せない年頃の彼を、俺は放っておく事が出来なかったのだ。
あの性格の彼と上手くやって行けそうなのは俺だけだった。
アレルヤはあんなガタイをしているのに、性格は大人しいし。
ティエリアも刹那といい勝負な位、こちらに無愛想だし。
文句の様な理由は綺麗に揃い、俺に降りかかった。
実際問題、関わってやれるのは俺しかいないと戦術予報士から頼まれたし、丁度テロで家族を失ったのも同じ14歳という点も気に掛かっていたし。
だから、隙あらば抱き付いていた。褒めるという名目で頭を撫でてみせたりもした。
犬のトレーナーが如く。
「刹那・F・セイエイ、今彼と俺はミーティング中だ。邪魔をするなら帰れ」
刹那にそう言ったのは俺ではなく、俺の向かい側に立っているヴァーチェのマイスターだった。
デュナメスとヴァーチェ、基本後方で援護射撃をする機体のパイロットのみに渡された戦術の提案書を読んでいる所に彼はやって来たのだ。
「別に邪魔等していない。口を挟んでいる訳でもない」
抱き付いて、ただじっとしているだけ。
「違うか? ロックオン」
下から刹那が見上げて来た。
前を向けば赤い目が俺を睨んでいるし。
「いやぁ……、確かに邪魔はしていないけどさ……」
後ろから抱き付かれているだけなら確かに問題はない。
言えば、他人から抱き付かれて、懐かれて不快感はない。
寧ろウェルカム、警戒していた黒猫ちゃんがやっと懐いてくれた感じ。
「……貴方が、許可するなら……俺はそれ以上言えない」
そう、これが屈せず続けて来たスキンシップの結果なら良かったのに。
「少しでも妨害をしたら、直ぐに出て行って貰うからな」
「ああ、分かっている」
不快そうな顔が、確実に不快な顔付きに変わった瞬間、刹那が少しだけほくそ笑んだ様に見えた。
そうなんですよ、この子、変な遊びを覚えてしまったんですよ。
『何だ! この射撃の成績は!』
シミュレーターの機具が並ぶ一室。トレーニングルームと言う奴か。
怒鳴ったのは当然ティエリア。
刹那は確かに体術・剣術は多少長けていたものの、射撃の成績はサッパリだ。
『こんな事では、マイスター候補どころか、CBのメンバーとしても危ういぞ!』
かなり前からマイスターとしての訓練を受けていただろうティエリアは来たばかりの刹那を頭ごなしに怒る。
それを上手く仲裁し、宥めるのも俺の役割の一つなのだ。
ティエリアが指摘する事は全て的を射ている為、ハッキリ言って、言い返す言葉が無いのは本当なのだ。
『まだ来たばかりなのだから』、なんて生温い言い訳は彼には通用しない。
そこで刹那が思い付いたのが、コレだ。
例えば、マイスター四人集まってミーティングを開くと言う時。
戦術予報士から「ロックオンを呼んで来て」と頼まれた刹那の連れて来る方法。
俺の右腕にひしりと抱き付き引っ張る。それはまるでデートをしている男女の様で。
『連れて来た』
しれっと言いのけた。
またある時は、みんなでご飯を食べている時。
ベシャっと、フォークに刺さっていた肉が刹那の膝に落下する。
当然、兄貴分な俺は隣に座る刹那に「あーあ」なんて漏らしながらもナプキンで汚れたズボンを拭いてあげたり。
よくよく考えたら、小さな子供でもない刹那が物を落とす訳が無い。
そんなドジな面も、必要以上な体の接触も、ティエリアがいる時限定なのだ。
勝る要素が見当たらない相手、ティエリアが唯一刹那に対して悔しそうな顔をする瞬間。
見付けてしまったのだ、この悪戯っ子は。
「―――以上だ、この後もまた目を通す様にして下さい」
「オーケー、っと……刹那、終わったぞ?」
「ん」
そんな可愛い声出して。
「終わったぞ、刹那・F・セイエイ」
「分かっている」
ティエリアが言いたい事はこうだ、
『終わったのだから離れろ』と。
「彼に何か用があったのではないのか?」
「無いが?」
「なっ…?! 無いのにも関わらず、この様なこっ…行為をするとは……理解出来ないな」
「ああ、アンタには理解出来ないだろうな」
止めなさいせっちゃん!!
心の中で全力で叫んだ。
「じゃ、じゃあ行こうか、刹那…?」
これ以上、彼の前でこうして二人でいる事は危険過ぎる。
さりげない言葉、俺としては最善の言葉。
だが、ティエリアには違った様だ。
「……っ、先に失礼する! 貴方達はゆっくりと、お、ふ、た、り、で、どうぞ!」
いつもより強めに床を蹴ってミーティングルームから立ち去るティエリア。
言葉の選択を誤ったみたいだな……。
「……で、直ぐ離れちゃう訳ね」
もう一度言おう、刹那は俺に決して懐いている訳じゃないのだ。
「もういなくなった」
「そうだけどさー……」
周りに無関心そうな顔して、中身はちゃんと子供の心を持っていた模様。そこは安心した。
悪戯したいお年頃の彼は、ティエリアをおちょくるのが楽しくて仕方ないのだ。
これプラス、この少年と同じ部屋へ帰るのだ。
悪化だ、悪化の一途だ。
気付いた瞬間の傷付いた俺を知っていますか刹那君?
何だか最近慣れて来たぞ。
いかんいかん、慣れてしまっては駄目だ。
いつか俺が仲介して彼等を仲良くさせようと考えていたのに。
俺を介して更に仲が悪くなっているじゃないか…!
「それで、私の所に来た訳?」
「戦術予報士でしょう、何か考えて下さいよ……。俺、胃に穴開きます……」
俺一人では良い案が思いつかないし、解決も出来ないと見越した。
「その前に、聞いておきたいんだけど、」
「はい?」
「貴方の事を、ティエリアは好きなの?」
………。
「あっ、そうなるのか」
「貴方ねー……」
特に何かしてあげた訳じゃないが、刹那同様、気に掛けてやっているのは確かだ。
何が原因なのか……。
「で、貴方としてはどうなって欲しいの?」
「そりゃあ……」
刹那とティエリアが仲良くなってくれれば万々歳。
「そうじゃなくて……」
?
「何でもないわ、忘れて。
で、私に相談しても、何かしてあげられる訳じゃないわ」
「えええ?! そんなぁ!」
「貴方、刹那に言っても聞かないから私の所に来たんでしょ? 私の注意だってあの子聞かないわよ?」
「確かに……そうですね」
「これは、完全なるトライアングルよ」
トライアングル?
三角…関係…?
「どこぞの恋愛漫画みたいな風に言わないで下さいよ……」
彼女は完全に笑っていた。
他人事だと思って。兄弟喧嘩じゃないんだぞ。
「うー……、仲良くしましょうねで手を取り合ってくれる性格じゃないでしょう、どちらも……」
「いいえ、貴方はトライアングルの頂点よ?
いい? 要は貴方がハッキリしないからこうなってるの。
この問題を解決する方法は一つ。貴方が―――」
チャンスは今しかない。
丁度地上に降りているアレルヤが明日には帰って来てしまう。
だから今晩がチャンスなんだ。
戦術予報士から教えられた解決策は、確かに周りを巻きこまず……と言うか、俺が決断しなければならない。
『貴方がハッキリしないから悪いのよ』
『ティエリアが好きなら、ちゃんと刹那に断りなさい』
『ティエリアの好意に応える気がないなら、潔くティエリアにそれが伝わる様、刹那を抱き返しなさい』
「いや、何か可笑しくないか……?
別にトライアングルしてる訳じゃないんだよ」
それじゃあ刹那とティエリアが俺を取り合っている様に聞こえるが、実際はティエリアを怒らせるのが目的であって、俺がたまたま餌に選ばれただけだ。
だからこの図を絵で表すなら、三角形じゃ無くて、
一番上に刹那がいて、俺を餌に釣るして、一番下で怒っているティエリアを見降ろす……そう、一直線の棒なのだ。
(部屋に行った後、何て言えば良いんだろう……)
タイムリミットがある為、こうしてうだうだと考えている時間等ないのだが、やはりこう言う色恋の話はじっくり考えたいものだ。
まずは刹那との関係の誤解だな。
アイツ、変なところで勘が鈍いから、刹那がお前を怒らせる為にやっているんだと伝えよう。
次は当然怒るだろう。
今からちょっと頭を撃ち抜いて来るとか言い出しそう。
そこで俺の出番。
ティエリアの怒りを抑えつつ、刹那も悪いが、お前の態度も悪いと叱って。
最後は刹那の所に連れて行って和解だな。
刹那も素直に謝りそうな性格じゃないが、無理やり形だけでも謝らせておこう。
(あれ? 良く考えてみたら俺がティエリアをどう思ってるとか全然関係なくね?)
スメラギめ、俺を騙そうとして。
さっきまでチンタラ歩いていた足取りは一気に加速した。
さっさと済ませてしまおう!
「ティエリア!」
部屋の前のインターフォンを押し、『はい?』と言う返事に対して間なく名前を呼んだ。
名乗ってはいないが、声で俺だと判断したのだろう。『ななな何ですか?!』と珍しく慌てた口調の彼が返事を返した。
「話がある、中に入れてくれ」
『話…ですか? 用件ならメールで、もしくは今そこでお願いしたい』
何でそうなる、お前俺が好きなんじゃないのかよ?!
「大切な話なんだ……それに少し急いでる」
『大切な……ですか?』
「ああ、頼む」
我ながら結構なイケ面ボイスじゃなかったか、今の声。
返答はOKだったらしい。
暫く無言が続いたが、ドアのロックを外して貰う事に成功した模様。
「どうぞ」
ドアが開くと、いつも通りに一見見えるティエリアが待ち構えていた。
声色はいつも通りだが、こちらと目を合わせないところを見ると、やはり俺が好きで、それなりに緊張している様だ。
何だ、可愛い一面もあるじゃないか。
「お邪魔します、っと……」
ティエリアは気まずそうに目線を逸らしながら自分のベッドに腰掛けた。
これは隣に座るべきか、デスクの椅子に座るか……。
ミッションのシミュレーション基、恋愛シミュレーションゲーム感覚に近いものになって来た。
「あの……」
「あ、そうだな、大切な話だよな!」
俺は隣を選択した。
その事に少し驚いたティエリアの反応は少し初。俯いて、若干顔が赤くなった様に感じる。
「さっきの事なんだが……」
「さっき?」
「いや、正確に言えばもっと前からになるんだが……。刹那の事だ」
顔色がグッと変わった。
何を考えているのだろう。赤くなったり青くなったり。
済まないが、お前の頭の中が整理されるのを待っている時間はない。アレルヤの帰宅が迫って来ている。
「刹那、さっきもそうだけど、俺に良く抱き付いて来るだろう? わざと失敗して手を焼かせて見せたり。
あれはな、お前が俺の事が好きだから嫉妬させようとしてやっているんだ。お前良くアイツの事叱るだろ? 中々それを恨んでいるらしくてな、無表情の癖して。
俺と仲良くしてる姿を見せ付けて、お前を怒らせるイタズラしてんだよ」
よしどうだ! ちょっと早口だったが理解できたか?
「あ……ぼっ…くが……!」
「ん? 分からなかったか? もう一回言うか?」
「わたっ…! あなた……すっ、すっ…!」
顔が今まで見た事がない位真っ赤になっているティエリアを見て、『あれ?』と思い自分が先程言った台詞を思い返す。
そして漸く自分が何を言ってしまったか分かった。
(うあああああ、説明の時、サラッと『お前が俺の事が好きだから』って言っちまったーーー!)
「違っ…! 違わないけど違う!! これはその!」
馬鹿か俺!!
時間がなかったにしろ、結構何言うか練って此処まで来たのに。
ティエリアはと言えば、アワアワと言うのはこう言うものかと思ってしまう程に慌てており、同じ位慌てていた俺の隣から勢い良く立ち上がった。
逃げられる!
「待て!!」
逃げたお前を追いかけて捕まえる時間なんてないんだ!
「うあっ?!」
咄嗟に伸ばした手が、見事ティエリアの服の裾を掴む事に成功した。
フワッとする服装は、逃げる時不向きなのかも……とかどうでも良い事を一瞬考えてしまった。
当然ティエリアは低重力と言えども重力は重力、尻餅を付いた。
「わ、悪い、つい咄嗟に…! 怪我ないか?!」
急いで駆け寄り、顔を覗き込んだが垂れた髪で表情が見えない。
「いつからだ……」
「ティエリア?」
「いつから知っていた?!」
ギョッとした。
落下の衝撃でずれた眼鏡。その奥にある赤い目からは涙らしき水の筋。
「いつから知っていた?! 刹那か?! 刹那が貴方に言ったのか?!」
「い、いや、刹那は何も……!」
「嘘吐け!! そこまでして彼を庇いたいのかっ?! 狡い…、狡いですっ……!」
ティエリアが泣くとは予想外。
小さい頃、妹の机に置いてあった誰かに送る予定のラブレターをこっそり読んだのがバレて大泣きされた記憶はある。
でも、ティエリアはそこまで乙女だとは思っておらず。どう対処したら良いのか分からなかった。
一応、俺がポロッと零しちゃった好きなの知ってました発言の後、刹那がイタズラで俺にベタベタしている事を話しているのだが。
その前が衝撃的過ぎたのは、後の事は全部聞こえていなかった様だ。
「落ち付けティエリア、だから刹那は俺の事はお前を怒らせる餌としか思ってないし、俺も刹那の事は可愛い弟としか思ってないんだよ!」
「可愛いだなんて……、うぅっ…!」
何でそこだけ抽出してるんですか。
「だああああ、良いから、俺の話をちゃんと聞け!!!」
少し痛かったかもしれないが、ティエリアの両肩を掴み、強制的に顔を上げさせた。
大きく体を揺さぶられ、さっきの衝撃でずれていた眼鏡がカシャンと音を立てて床に遂に落ちた。
「……ぁ」
突然好きな人物に掴まれたティエリアはキョトンとした顔でこちらを見詰めていた。
遮る物がなくなった瞳は、驚きで大きく見開かれ、その中には俺の顔が映っているのが分かった。
俺の顔が赤く見えるのは、きっと元の瞳の色素が赤色だからであって、俺が見惚れていた訳ではないと思いたい。
「ロックオン…?」
ティエリアが小さく俺を呼んだ。
でも俺は何故だか声が出ず、応えられないでいた。
『貴方がハッキリしないから悪いのよ』
不意に、相談相手だった戦術予報士の言葉が浮かんできた。
自分は兎に角、年長者として刹那とティエリアを仲良くさせなきゃと思っていて。
自分がティエリアに好かれているという事実に、どこか他人事の様に、不仲の要因の一つの様にしか考えてなかった。
(………ティエリアは、俺の事が好き……?)
今更ながら、実感が湧いて来た。
「あの、ロックオン…?!」
ティエリアの声でハッとした。何かと思ったら、ティエリアの手を無意識の内に握っているじゃないか!
ジワジワと自分が置かれている状況が分かって来た。リヒティと
『目の保養には最適なんスけどねー。性格がねー』
『分かるか分かる。ちょっとは笑ったり、下手扱いて困っていたり泣いていたりする表情見てみたいなー』
『それ見てみたい!』あはははー……。
何て会話をした事がある。
さっきまで泣いてて、今は俺に手を握られて困った表情してるんですけど!
「すみません……少し落ち着いて来ました………。どちらにしろ、誰にも広言していないので、自分自身で貴方へのこ…好意を……洩らしてしまったのだと思います………。だから、あの、その………」
ふぅ、とティエリアが深呼吸を一つした。
ティエリアが新たな言葉を紡ぐ前に、俺の方が早く口を開いた。
「刹那とは何もない!」
「可愛い……弟ですよね?」
「これ言うの3回目だけど、今度こそ聞けよ?! 頭ごなしに怒るお前に復讐する為にした嫉妬心を煽るイタズラであって、刹那は後で厳重注意する!」
これも3度目となると凄い早口。
初めてちゃんと聞いたティエリアはやっぱりポカンとしていて。
「こっから、本番で……」
戦術予報士さんの言った通り、ハッキリさせます。
「ティエリア、それで俺――――」
少年は目標を確認した。
勿論敵。敵と言うより、犬と猿の様な仲。
二人で会話していると情報が入ったからには行かない訳がない。
「――んでさ、そん時なって、おわっ?!」
これが一番効く。
後ろから腕を回し、その向こう側にある悔しそうな顔を拝む。
これが………あれ?
「ごめんな刹那」
理解不能なまま腕を解かれた。
「もうその手は食わなくなっちゃったんだ」
困った様に眉を下げているのに、どこか表情は笑っていて。
ハッと分かった。
ああ、玩具を一つ、いや二つ同時に失った。
何より悔しいのは、アイツの表情だ。
その見下した様な目線。
「ふん、所詮君は可愛い弟………だがこの俺は彼の可愛い恋人なんだからな!!!」
「自分で可愛い言うか………」
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≪ひっそりと運営して行って、末長ーく、やろうかと思います≫
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実家に帰りたい盛り
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見ての通り
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只今実家を離れて就職中(東北出身)
A型!身長約150!腐女子!
人生最大的にガンダム00にハマった訳で。
映画終わってもまだまだ熱いもん!
※別ブログによってHNが違いますが、私です。
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